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#2000字のドラマ
『告白のタイミング』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2021年9月21日(RE:9月25日)オンエア分ラジオドラマ原稿)
(本作は4月27日放送分「仲良くなりたい」の続編になります)
ゼミで一緒のあの娘に僕は恋をしている。
明るいブラウンだった髪は最近黒くしてショートボブになった。
広いおでこがはっきり分かるくらい前髪は短くしている。
少し目尻の下がった大きな瞳にしっかりした眉毛。
きれいに真っ直ぐ伸びた鼻筋に控えめな小さな鼻。
薄い上唇に反してぷっくりとした下唇。
端っこは常に上がっていて、笑うときは口を大きく
『テキトーな会話』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2021年9月14日(RE:9月18日)オンエア分ラジオドラマ原稿)
残業を終えた彼女が店に入ってきた。
フライデーナイトの店内は、いつもより賑わいをみせていた。
男 「おつかれ」
女 「パンパンよ」
男 「終わった?」
女 「どれ?」
男 「いや、あれ?」
彼女が言葉を発する前に、表情で答えはわかった。
女 「どう思う?」
あえて聞き返してきた彼女。
やりきったという表情だ。
そして、これ以上は愚問だ。
女 「それで?」
男 「いや~」
女 「そうな
『猫と彼女』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2021年9月7日(RE:9月11日)オンエア分ラジオドラマ原稿)
夜中に一人、部屋でボウモアをロックで飲んでいると飼い猫が話しかけてきた。
猫「最近彼女来ないね」
やれやれ。
このシングルモルトは40度もあるんだ。5杯も飲めば猫が話しかけてきてもおかしくない。
猫「どうして彼女は来なくなったんだい?」
猫は大きな目をしてこっちを見ていた。
「君にまだ言ってなかったね。彼女とはもう終わったんだ」
僕は猫に伝えた。
猫は悲しい顔をした。
猫「つまり彼女
『夏の終わり』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2021年8月31日(RE:9月4日)オンエア分ラジオドラマ原稿)
9月。
この時期になると、夏が終わっていくのが惜しくなっていく。
真夏日が続いた8月は早く秋になってくれと思っていたのに。
今年は彼女と一緒に夏らしい夏を過ごすことができた。
一緒に海へ行き、ビアガーデンに行き、浴衣を来て夏祭りへ、そして花火大会へも行った。
どの思い出も彼女の笑顔で溢れている。
そんなことをスマホで撮った写真を見返しながら考えている。
ふと、彼女はこの夏は楽しかったのだろうかと
『君とシェア』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2021年8月24日(RE:8月28日)オンエア分ラジオドラマ原稿)
「ねえこれ借りていい?」
彼女は僕のラルフローレンの白いシャツを掲げてそう言った。
「もちろん。じゅあ君のこれ今日使ってもいいかい?」
僕は彼女のLLbeanのトートバッグを掲げてそう言った。
「どうぞ~」
僕と彼女はルームシェアをしている。
ただシェアするのはルームだけじゃなくなってきている。
「えー何このオーバーオール、買ったの?かわいいじゃん」
「うん、オーバーオール欲しくてさ」
『プールのあとに』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2021年8月17日(RE:8月21日)オンエア分ラジオドラマ原稿)
仕事を終えジムに行きプールでひと泳ぎしたあと、僕は必ずバーに行く。
そして一杯目に必ずビールを頼む。
「ぷはーうまい」
自然と声が漏れる。
「ふふふ、ごめんなさい。あんまりおいしそうなんで」
「いやあ、これは失礼」
「コマーシャルかと思っちゃった」
「これだけ毎日暑いと、思わず声が漏れ出ちゃいました」
「いえいえ、私も少し前に同じ声を出しましたから」
と言って彼女は空になったビールグラス
『フローズンダイキリに必要なもの』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2021年8月10日(RE:8月14日)オンエア分ラジオドラマ原稿)
「フローズンダイキリが飲みたい」
彼女のその言葉を聞いて夏が来たことを僕は知る。
夏になるとどうしても飲みたくなるカクテルがある。
フローズンダイキリだ。
ラムとライムジュースに砂糖を少し混ぜて作るショートカクテル。
それにクラッシュドアイスをミキサーに一緒に入れてシャーベット状にしたのが、フローズンダイキリだ。
「夏になると私はフローズンダイキリを飲まなきゃならないの。そう決まってるの」
『初デート』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2021年8月3日(RE:8月7日)オンエア分ラジオドラマ原稿)
(※本作品は2021年8月31日で閉館のイムズ Inter Media Station IMSに感謝とリスペクトをこめて作成)
「じゃあ、待ち合わせはイムズ前で」
「明日がとても楽しみだわ」
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
少しの間。
「切らないの?」
「あなたから切って」
「じゃあ、せーので切ろう」
「そうしましょ」
「せーの」
「いや切ってないじゃないか笑」
「あなただっ
『バルコニーからの眺め』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2021年7月27日(RE:7月31日)オンエア分ラジオドラマ原稿)
「はい」
「ちょっと冷たいよ!」
「キンキンに冷えてるでしょ」
彼女はいたずらっぽく僕の頬に缶ビールを押し付けた。
(缶ビールを開ける音が2回なる)
「かんぱーい」
「んーおいしい!」
バルコニーのデッキチェアに座って僕らは緑の缶ビールを飲んだ。
彼女はいつも緑の缶ビールだった。
「うん、ビール飲んでるって感じする」
そう言って今度は自分の頬に缶ビールを押しあてた。
その日はとて
『彼女のヒント』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2021年7月20日(RE:7月24日)オンエア分ラジオドラマ原稿)
それは数日前のデートの別れ際だった。
「ねえ、今夜の私、何か気付かなかった?」
「え?」
「私、ヘアーをカットしたのよ」
「あああ」
「さよなら」
彼女は僕に背を向けて歩き始めた。
「あの、気付いていたよ」
僕の言葉は彼女の背中に当たって道端に落っこちた。
僕は少しエゴイストになっていたようだ。
久しぶりの外での食事。
それだけで少し特別な気持ちになっていた。
彼女の些細な変化に気付かな