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イシダカクテル2023グランプリ投票
こちヨロ(こちらヨーロッパ企画福岡支部)が始まったのは、2013年4月のこと。
2023年でシーズン11になりました。
今年はヨーロッパ企画の25周年の記念すべき年。
本当におめでたい
そんな記念の年に、こちヨロも何かできないか?
と考えまして。。。11年やってきて、初めて1年間のラジオドラマ【イシダカクテル】を振りかえよう!と思います。
シーズン11が始まった2023年4月4日の放送から2
ラジオドラマ原稿『趣味と恋愛』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2023年12月12日オンエア分)
女「あなたは釣り、好きなの?」
男「釣りかあ。子供の頃は父親によく連れてってもらったなあ」
マスターが最近釣りにハマっているらしく、
僕たちにさんざん釣りの楽しさを語ったあとだった。
男「待つのが苦手なんだ」
女「たしかにあなたは積極的に行動するタイプね。でも釣りにも色々あるんでしょ。待たないで積極的にあの手この手を尽くして釣ろうとするのも」
男「ルアーフィッシングはそうだね。本物の餌に姿や動
ラジオドラマ原稿『美しい文字の君』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2023年11月28日オンエア分)
バーで飲んでいる男女。
女「男なんてみんな同じよ」
テキーラトニックを3杯飲んだ友人の彼女は決まって僕にこういう。
女「だってさ、どんな男にだっていいところもあれば、悪いところもある。結婚して一生連れ沿ってみたらプラスマイナスゼロになる。そういうもんよ」
彼女はそう言いながら、4杯目のテキーラトニックを頼んだ。
男「本当に、男はみんなおんなじなのかい?」
真面目に酔っ払っている彼女をか
ラジオドラマ原稿『バーにメニューがない理由』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2023年11月7日オンエア分)
マスター「どうされますか?」
男「僕はラフロイグのソーダで、君は?」
女「私はじゃあ…ジントニックで」
マスター「かしこまりました」
マスターは愛想良く頷いた。
そして彼女はそのマスターに聞こえないように気をつけながら僕に言った。
女「ねえ、なんでバーってメニューないの?」
男「あーたしかに。あるところもあるよ」
女「知ってるよ。そりゃあるところにはあるよ。あるんだから」
男「怒ってる?」
女
ラジオドラマ原稿『セーブしますか?』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2023年10月10日オンエア分)
今日も気づけば夕方5時をまわっていた。
夏に比べ、ずいぶんと日没が早くなった。
秋風は、暑さを押し退け、この夏の出来事を思い出へと遠ざける。
すっかり秋っぽくなってきた。
今日もあと少し。
もうひと頑張りの時間帯。
ハッピーアワーの店に消えていくスーツの集団を横目に、僕はカフェに入った。
<カフェ店内>
男「キャメルマキアートをホットで、サイズはグランデ」
午前中なら、きっとトールサイズ。
ラジオドラマ原稿『伝えたいこと』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2023年9月26日オンエア分)
嘘をつかない。隠し事をしない。泣かせない。
僕が彼女にしないと決めたことだ。
けれど、これらを守っていたとしても、
時には喧嘩になることもある。
昨日、僕は彼女と喧嘩をした。
僕もわがままだし、僕が思うに彼女もわがままだ。
原因は、ここでいうほどでもないくらいに、つまらないことだ。
これまでも何度か喧嘩はあった。
けれど、その日の夜に僕がLINEを送り、
一夜明ければ彼女からLINEが届いてい
ラジオドラマ原稿『こだわりの生活』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2023年9月12日オンエア分)
男 「今日から2人でこの家に暮らすんだなあ」
女 「やっぱり広いね!」
男 「4部屋あるからね」
女 「じゃあ私、一番広い部屋ね!」
男 「なんでよ、俺もそこがいいよ」
女 「いいじゃん、早い者勝ち!」
男 「えー」
女 「じゃあ、じゃんけんね!」
男M 「大学生の頃から付き合っていた僕と彼女は、卒業を期に古民家を借りて、同棲をすることになった。
僕は駆け出しのグラフィックデザイナーを、彼女は駆
ラジオドラマ原稿『僕がしてあげられること』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2023年8月29日オンエア分)
彼女が焼酎を買ってやってきた。
女「麦と芋と米。飲み比べをしよう」
そう言っていつものように玄関の靴を脱ぎ捨てて入ってきた。
女「本格焼酎だから、まずは本格的なアテを作る」
そう言っていつものようにキッチンに向かう。
僕は冷蔵庫に入っているソーダを取り出した。
男「とりあえずソーダ割りでいいかい?」
キッチンドランカーの彼女のために素人バーテンダーになるのが唯一僕のしてあげられることだ
ラジオドラマ原稿『一緒に暮らすこと』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2023年8月15日オンエア分)
波の音。
女「波の音を聞きながら料理ができるなんて素敵ね」
波の音。
女「波の音を聞きながら、あなたが仕事から帰ってくるのを待つの」
男「僕にもこのキッチンを使わせてほしい。週末は僕のものだ」
女「じゃあ、コーヒーを飲みながらベランダで待ってればいいのね、美味しいトーストが焼き上がるのを」
男「おいおい、目玉焼きだって焼けるさ」
二人「ふふふ」
波の音。
2年前の僕らの会話は、波に
ラジオドラマ原稿『夕日、沈まないでよ』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2023年8月1日オンエア分)
波の音。ホテルのバーのカウンター。
男「何を考えているんだい?」
男は女にそう聞いた?
女「来年の今日は、何をしているんだろうなって」
男「来年もこのホテルに泊まろう、そしてこのバーで海の向こうに太陽が沈んでいくのを見ていよう」
二人の顔はゆっくりと赤く染まっていった。
それは西の海に沈んでいく赤い夕陽と、二人が飲んでいるテキーラサンセットのせいだ。
女「このバーのバーテンダーさんはとて
ラジオドラマ原稿『出さない手紙』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2023年7月18日オンエア分)
♪ Starting Over / John Lennon
バーのカウンター
男はそのバーに手紙を預けていた。
それは3年前に書いた手紙。
何度も書き直してポストまで行って出せなかった手紙。
捨てることもできなかった。
男「マスター、この手紙持っててくれないかな」
手紙を持ったままバーに入り、男はマスターにそう言った。
マスターは何も聞かずその手紙を受け取って、棚の奥に置いた。
3年前の
ラジオドラマ原稿『あの頃の彼』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2023年7月4日オンエア分)
バーのカウンター。
男「…彼氏とはどう?うまくいってる?」
女「…まあね」
彼女とは半年前に別れた。
理由は、
女「他に好きな人ができた」
そういって一方的に僕はフラれた。
そして半年ぶりにこのバーで再開した。
彼女は髪型もメイクも服の趣味も、
半年前と何も変わってなかった。
変わっているのは、隣を歩く男性が僕じゃなくなったということだろうか。
男「もうここには来ないもんだと思ってた」
ラジオドラマ原稿『私の雨』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2023年6月20日オンエア分)
食事のあと別れを告げられることは分かっていた。
レストランを出ると、彼女は左へ、僕は右へ歩き出した。
振り返ると彼女は前を向いてもう遠くにいた。
先の角を曲がるまでずっと彼女の後ろ姿を見ていた。
雨が降り始める。
雨に気付いて僕はやっと歩き出した。
この雨は僕の涙だろうか。
雨が少し強くなる。
男「やれやれ」
僕は雨宿りをすることにした。
彼女も雨に濡れてないだろうか、
と思った
ラジオドラマ原稿『僕の左に座った彼女』(オトナの恋愛ラジオドラマ・イシダカクテル_2023年6月6日オンエア分)
女「マンションには広いベランダがあること。猫が飼えること。そして近くに素敵なバーがあること」
それが、この街に住む彼女の条件だった。
それを満たすマンションを見つけたけれど、
一緒に住む前に、彼女はこの街から去っていった。
ひとり残った僕は、
この街の狭いベランダのペット不可のマンションに住んでいる。
そしてこの素敵なバーだけは、
僕のいきつけになった。
女「あ、すみません」
その声に