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2022年10月の記事一覧
芥川龍之介の『あばばばば』をどう読むか③ 妊娠三ヶ月半?
そんなわけはない
間違えていた。迂闊だった。柄谷行人や高橋源一郎や島田雅彦同様、こんなことでは文学界から永久追放されても文句も言えまい。私は昨日、
この記事で、
……と書いてしまった。私は小学校七年生なので子育ての経験がない。だから、親子の情愛がよく解らないんだ、という話ではなくて、二月末に生まれた子に「あばばばばばば、ばあ!」はまだ早いということだ。まだ目も開いていまい。つまり子供は
芥川龍之介の『あばばばば』をどう読むか② 燻製は干物ではない
文字は便利
前回私は『あばばばば』は主題が分裂しているように見えるとまるで柄谷行人のようなことを書いただろうか。いや……世界はレキシコンでできていると書いたのか。文字というものは便利なものだ。そして意味も。文字を読めば意味が解る。簡単な図形なら猿にも理解できるかもしれない。しかし「世界はレキシコンでできている」という文章を理解することは永遠にないだろう。本を読むことが出来るのは人間だけだ。読む
あれとこれとそれみたいに谷崎潤一郎と泉鏡花と永井荷風
実際先生は、最も欧化的風潮の盛んであつた時代を生き通した作家であるが、その作品は、純乎として純なる日本的産物である。先生の世界に現はれて来る美も、醜も、徳も、不徳も、任侠も、風雅も、悉く我が国土生え抜きのものであつて、西洋や支那の借り物でない。先生も鴎外の飜訳物などに影響されたことがあり、又先生自身、ハウプトマンの飜訳に従事されたこともあるくらゐで、全然外国文学の感化を受けなかつたとは云へないが
もっとみる芥川龍之介の『アグニの神』を読む 日本の神は役に立たない
これは大正十年の作である。「日米戦争」という文字は明治四十年には書籍の中に現れていた。日露戦争後、貧しくなった日本から食い詰め者が世界中に移民する中で、世界との摩擦が広まっていった。
この当時小説の中には「日米戦争必至論」まで現れる。1910年には「一時日米戰爭は流行語たるか如き觀ありたり」とまで言われ、翌年には「歐洲の或批評家は日米戰爭の場合に起るべき問題を論じ米國は最初二年間連敗ずるも其
芥川龍之介の『早春』を読む 三重子をスポイルしたのは中村じゃないのか
谷崎潤一郎の『痴人の愛』を読みながら、「結局光源氏と違って河合譲治の教育がうまく行かなかっただけなんじゃないのか」と考えてしまった。そもそも天性の悪女などいるものではない。十五歳から十九歳までの間にナオミが受けた影響の多くは河合譲治が与えたものであり、一々指摘すればそれはかなりよろしくないものだった。ナオミを作り上げたのは河合譲治であると言って良いのではないか。
芥川龍之介の『早春』は谷崎潤
芥川龍之介の『歯車』をどう読むか④ 聖人の嘘をつかれる筈はない
聖人の嘘をつかれる筈はない
伝説的動物としてのWormは、いわば翼のないドラゴン、地を這う龍のようなものだ。作中繰り返し現れる翼のモチーフは最終的には歯車の幻覚と入れ替わる。主人公は龍にはなれなかった。翼はなかった。最後に現れた銀色の翼は頭痛を呼び起こす幻覚でしかなかった。主人公はWormでしかなかったのだ。
昔ぶら下がり健康器というものが流行した。これは一年後大抵物干し器に変わった。ブラ
何故か女癖が悪いと言われない芥川の不思議
私は基本的に作家のスキャンダルには興味がなく、なかなか信じられないことかもしれないが、三島由紀夫が自衛隊に突っ込んだことすら知らず、その主要作品を読んできた。夏目漱石、三島由紀夫についてはその後あれこれ読んだが、今芥川のことを調べていて呆れてしまった。ともかく女好きかと思えば、ホモセクシャルな恋文もある。
比較は難しいが、浮気の相手は太宰より多く、三島由紀夫よりホモ、…両刀使いである。夏目漱