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何故か女癖が悪いと言われない芥川の不思議


 私は基本的に作家のスキャンダルには興味がなく、なかなか信じられないことかもしれないが、三島由紀夫が自衛隊に突っ込んだことすら知らず、その主要作品を読んできた。夏目漱石、三島由紀夫についてはその後あれこれ読んだが、今芥川のことを調べていて呆れてしまった。ともかく女好きかと思えば、ホモセクシャルな恋文もある。


 比較は難しいが、浮気の相手は太宰より多く、三島由紀夫よりホモ、…両刀使いである。夏目漱石、にも怪しいところがなくはないが、その恋文は強烈である。


 しかし太宰のマス・イメージが女たらし、であるのに対して芥川のマス・イメージはあくまで知的な愛妻家だ。しかし実際の芥川は結婚後も人妻に対して「いけたらいく」という態度を変えない。資料にない浮気もあるだろう。


 虚弱というイメージのある芥川だが、おぼれて死ぬことは難しいと考えるほど泳ぎは達者だった。隅田川で泳いでいたのだ。太宰が溺れ死んだことを思うとこれは感慨深い。


 太宰の女は太宰を独り占めしたがった。芥川の女は賢い人ばかりだった。言い換えると潔い。妻・文も葬式で芥川の浮気相手に会っている。こんなスマートな追想を読めばさすがはあの芥川龍之介の嫁だなと感心するよりない。



 大正十三年夏、主人は軽井沢に滞在していて、片山広子夫人ともお知り合いになったようです。主人の葬儀には片山夫人が参列してくださいました。(芥川文・述、中野妙子・記『追想 芥川龍之介』)

 そんなスマートさに惚れたのか。



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