自殺対策、勝手にキャンペーン①「聴いてくれてありがとう」
「9月10日から16日は自殺予防週間」と自殺対策基本法で定められています。
今年はコロナで自粛ムードかもしれませんが、各自治体では毎年この時期に合わせて、相談会やこころの健康セミナーなどが開催されています。
バブル崩壊後、我が国の自殺者は一気に30,000人を超えましたが、法律や制度が急ピッチで整えられ、現在は約20,000人にまで減少しています。
とは言え、20,000人です。
およそ25分にひとりが、自らの命を絶っている計算です。
自殺を考えている人は、楽になりたい、このつらさから解放されたい、という一心です。頑張ることも、幸せな未来を想像することもできない状態です。
「まだまだこれから楽しいことが待っているんだよ」「死ぬ勇気があるならなんでもできるでしょ」と言ってみたところで、その言葉を受け入れられる余地は、心のどこにもありません。
やがて、死ぬこと以外の方法は考えられなくなります(心理的視野狭窄)。
ただ、救いは、「楽になれるなら、このつらさから逃れられるなら、もうちょっと生きてみたい」と、生と死の狭間でまだ揺れ動いてくれていること。そして、死にたいというサインを出してくれていることです。
●感情が不安定になる。
●人が変わったように明るく振る舞う。
●投げやりな態度になる。
●身なりに構わなくなる。
●関心のあったことに対して興味を失う。
●仕事の業績が急に落ち、休みがちになる。
●極端に食欲がなくなる。
●大切にしていたものを整理したり、誰かにあげたりする。
●自殺の手段を用意する。
まずは、これらのサインに気付いてあげることが大切です。
そして、「最近元気ないけど何かあった?」「体調が良くなさそうだけど、ちゃんとご飯食べれてる?眠れてる?」と声をかけ、話を聴くこと。
死にたい理由がどんなものであったとしても、小さな悩みに思えたとしても、本人が「死にたいくらいに辛い」ことには変わりありません。「そっか、そういう状況じゃ辛かったでしょ。」「話してくれてよかったよ。」と否定せず、とにかく聴いてあげましょう。
自殺を考える人の心理は、圧力が高い暗い箱の中に閉じ込められ、逃げ場がない状態に例えられると思います。「頑張る力」をこの箱の中に無理やり吹き込もうとしても難しそうですね。まずは少し風穴を開けてあげましょう。
少しでも精神的圧迫感を外に逃せれば、
「聴いてくれてありがとう」
そう思ってくれるはずですよ。
話を整理したら、相談先を一緒に考えてあげてください。頼りになる共通の友人や上司かもしれないし、心療内科などを受診することかもしれないし、行政やNPO、会社の福利厚生で契約している相談先などでもいいですね。もし、相談や受診の予約なども手伝ってあげることができたら、すごく大きな助けになると思います。
そして、そのあとも、落ち着くまでは時々声をかけてあげてくださいね。
国はこれらの役割を担う人をゲートキーパーと呼び、各自治体で養成講座を開催しています。と言っても、資格が必要ということではなく、意識と心がまえが大切なのです。
まとめるとゲートキーパーの役割は4つ。
悩んでいる人に気づき
声をかけ 話を聞いて
必要な支援につなげ
見守る
あなたにもできる、もしくはすでにやっている自殺対策です。
こんな当たり前の小さなコミュニケーションが、この何気ない日常の中で、多くの人の心を日々救い続けていることは間違いありません。
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