- 運営しているクリエイター
記事一覧
俺の家に聖火が一時的に安置されることになって半年が過ぎた
俺の家に聖火が一時的に安置されることになって半年が過ぎた。誰が決めたわけでもない。成り行きでそうなったのだ。あれは四月のある晴れた日のこと、俺は朝早く近所のゴミ置き場にゴミを出しに行った。俺はいつも朝は早くに起きて仕事に行くのだが、ゴミを出す日には特別早く起きる。そうすれば近所の住人と顔を会わせずに済むからだ。
俺がゴミ袋を持ってアパートの二階の部屋から外に出た時、まだ東の空には日が出ておら
侵略兵器VS丁寧な暮らし
車を降りた岸は腕を広げ、深々と息を吸った。高原の空気はひんやりと冷たい。長時間の運転で鈍った感覚を呼び覚ますかのようだ。助手席の石田からバッグを受け取り、後ろ手に閉めたバンの扉には流麗な筆記体で『Día verde』と記されたステッカーが貼られていた。
バンを停めた先には周囲を木立に囲まれた民家があった。へんぴな立地にもかかわらず外観はこざっぱりとしていて、比較的近年に建てられたことがうかが