刷毛や狐

漆を塗るための刷毛"漆刷毛"を作っています。てしごと周辺のことを綴…

刷毛や狐

漆を塗るための刷毛"漆刷毛"を作っています。てしごと周辺のことを綴っていきます。 1990年生まれ 福島県会津若松市出身・在住

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  • 漆刷毛出張講義

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  • 職人よ、大志を抱け

    私が漆刷毛製作という仕事を通して得てきた伝統工芸に対する考えや、仕事への向き合いかたを、ものづくりをする若い人々に向けて書いてみました。

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『プロフェッショナル仕事の流儀 ジブリと宮﨑駿の2399日』を観て

『プロフェッショナル仕事の流儀 ジブリと宮﨑駿の2399日』を観ました。 映画を観たときは、映画に自分の周辺を勝手に重ねて泣き 今日のドキュメンタリーでは、宮﨑さんと(あんまり映っていないけど)それを支えるジブリスタッフの方々、そして(これも映ってはいないけれど)このドキュメンタリーを作り上げたスタッフの方々の狂気的なまでの"表現に対する執着"にぶわぶわと鳥肌が立ちました。 自分がこれまで観て感じてきたままのジブリも、今もそのまま自分の中にはあるのだけれど、 今回のドキ

    • 米津さんの地球儀、立派に生きた全ての人を送るお別れソングにも向いててじーんとくる。儀という漢字の意味は、「見習うべき手本、作法に従った進退、礼式、儀式」など

      • はじめての講義@台湾 その6

        台湾7日目。 台風が近いようで、今朝は曇り空。 でも小雨と風が気持ち良いです。 歩きながら、今後のことを話したりしました。 どうなるかは、私たちにもまだ分かりません。 でもきっと、良いことが起こっていきます!! 長期計画、じっくりやっていきます。 ふふふ、お楽しみに⭐︎ まさか漆刷毛を通して広い世界と繋がることができるなんて。 私はこの仕事を選んで本当によかったなと、今しみじみと感じています。 今思うと、先日ちょうど始まったお祭りも、まさかのサプライズも、全

        • はじめての講義@台湾 その5

          台湾6日目。 昨日で講義も終わり、今日は自由時間です! 朝の散歩。 面白い日本語のお店が多いです。 昔パン屋だったらしいゲーセン 髪の首… ピザハットなんですが、 メインはフライドチキン!? 絶対うまいやつや… そしてパスタの写真が少々。 ピザがあるのかは不明。 そのあと、学校のスタッフの皆さんにいろんな食材屋さんが立ち並ぶ観光商店街へ連れて行っていただきました! 私はハーブやスパイス類が大好きなんです!! あっちもこっちも漢方のお店!見たことのない乾物だ

        『プロフェッショナル仕事の流儀 ジブリと宮﨑駿の2399日』を観て

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          はじめての講義@台湾 その4

          台湾5日目。 今日の講義を受けてくれるのは、ここ大渓漆芸研修所の学生さんたちです。 今後の塗りの授業で使う刷毛をほぐしていくので、ちょっとプレッシャー(汗) でしたが… とにかく、皆さん良い生徒すぎる!!! 良い子たちすぎて、食べられてしまわないか心配!!!(むしろ私が食べちゃいたいくらいでした) とても熱心に話を聞いてくれるし、私が何かを言うと、しっかりと "はーい!"と返事が返ってきます。(私の言葉は全てスタッフさんがしっかりと通訳してくださいます。) 何より

          はじめての講義@台湾 その4

          はじめての講義@台湾 その3

          台湾4日目は日曜日、講義もお休みです。 午前中は洗濯をして、周辺をぶらぶらと散歩しました。 昔、この大渓は木製家具の製造でとても栄えていたそうで、職人が子供たちのために作った遊び道具がコマだったことから、コマがこの地域の郷土玩具になっているそうです。コマのモニュメントがあちこちに見られました。 お昼は朝市でゲットしてきたいろいろ唐揚げです。昨日の講義のお弁当で台湾の揚げ物系がかなり美味しいことがわかったので、目を光らせていました。魚もお肉も衣がパリパリで美味しい!!!

          はじめての講義@台湾 その3

          はじめての講義@台湾 その2

          台湾3日目、いよいよ講義の日です! 今日の参加者は一般公募の方々です。 年齢も本職もさまざまなようです。 おそらく私よりも漆の経験が長い方が多いようでしたが、とても熱心に聞いて取り組んでくださって、とても嬉しかったです!! 刷毛の切り出しほぐし方は、皆さんYouTubeやネットの情報を見て学んでいたようです。 YouTubeやネットにはたくさんの方がいろいろな方法をあげています。どれが間違い、正解ということはありません。 今回は方法のひとつとして、私のやり方をお伝えしま

          はじめての講義@台湾 その2

          はじめての講義@台湾 その1

          これまで漆刷毛の講義のご依頼はお断りしてきました。 私の仕事はほぼ学校や研修所用の刷毛づくりが中心なので、納期までにしっかり納品しないと、授業や研修のスケジュールに迷惑がかかってしまいます。 注文は一年を通して常に詰まった状態です。 刷毛の製作が最優先なので、出張することになる講義のご依頼はお断りしてきたのです。 (少人数ならば、工房にきていただいて、私の道具を使ってもらっての切り出しほぐし体験はしていただいたことはありました) しかし、今回はじめて出張講義をさせていただ

          はじめての講義@台湾 その1

          "君たちはどう生きるか"を工芸職人の立場から読み解く

          宮崎駿最後の監督作品と言われた「風立ちぬ」から10年、まさかの新作「君たちはどう生きるか」が公開されました。 SNSで口コミを覗くと、頭を悩ませている人しか見受けられない状況。 私は数日後に大切な仕事が控えているので、変な悩みで頭を支配されてしまったら困るなぁと見にいくかどうか大変迷いましたが、気になって逆に何も手につかなくなってしまったので公開2日目の7月15日(土)に観に行ってきました。 結論から言うと、観に行って本当に良かったです。 でもこれはあくまでも私の感想です

          "君たちはどう生きるか"を工芸職人の立場から読み解く

          小林賢太郎さんと伝統工芸

          今日は"小林賢太郎さん"から伝統工芸について語っていきます。 脱線でもこじつけでもありませんって!w 2022年の年末…つい3ヶ月前のこと たまたま私のYouTubeアカウントに流れてきたこちらの動画 何気なく見はじめて本気で混乱しました。 明らかに冗談も入ってることは分かるんですが、どこからどこまでがホントでウソか判断できない。だってみんな真面目な顔してやってるし。回らないお寿司行ったことないし。そもそもここに出演している方々が芸人さんだなんてこと知りませんでしたか

          小林賢太郎さんと伝統工芸

          買い支えることの恐ろしさ

          買い支えることは、買った人の単なる自己満足でしかないかもしれません。もしかしたら、悪いほうに舵が向いていることに気づかず、突き進んでしまうことを後押ししてしまっているかも… 意志や意図に感銘をうけ、応援したい、追っかけたい、と思う作り手の方が私にもいます。 でも、愛は盲目! 「買い支える」ことは一概には良いこととは言えない場合もあるよなぁ、と、昨今思うのです。 もしその製品の作り手の労働環境が最悪だった場合、買い支えることでその人は働けば働くほど苦しくなります。 もしそこ

          買い支えることの恐ろしさ

          江戸時代の作り手にできなくて、今できること

          前回の投稿の続きです 私は伝統工芸の製作に使われる道具を作っているので、道具が残っていくためには伝統工芸が続いてほしい。 いや、伝統工芸に続いているほしいから道具を作っています。 だから、伝統工芸の存在意義については自分なりの考えを持っています。 ↓一応貼ってはおきますが今は飛ばして読み進めてください でも、伝統工芸の職人さん作家さんが自分の仕事の存在意義を語るって、少しやりにくいかもしれないと思います。だからこそ、職人さん作家さんに生かしていただいている私が、存在意義

          江戸時代の作り手にできなくて、今できること

          でもやっぱり価値って難しい

          伝統工芸の存在意義や価値について書いてきましたが、正直やっぱり難しい… だって、現代人だもん!! 博物館で見ることができる、江戸時代の素晴らしい漆工作品の数々… とてもすごいと思います。(語彙力w) 技術のことは詳しく分からないけれど、無条件に圧倒されてしまいます。 漆の作家さんや職人さんは、きっともっとすごいなぁと感じるのでしょう。 しかも、ただすごいという感想だけでなく、技術面的な面だとか、素材の選び方や扱い方だとか、たくさんの刺激を受け取ることができるのだと思い

          でもやっぱり価値って難しい

          積み重ねてきたものは簡単に消える

          案外、積み重ねてきたものは簡単に消えるものです。 数々のトライアンドエラーは甲斐なく、一瞬でゼロに戻るものです。 と、前回の寄稿文に書かせていただきました。 しかし、便利な工業製品があふれている今の時代、伝統工芸をそんなふうにとらえている人はいないかもしれません。どちらかというと、現代の生活とはかけ離れた嗜好品だと感じる人が多いかもしれません。 確かに… 時と場合、によってはそうだと認めざるを得ません。 実際、災害時などに人々の命を救うのは使い捨ての衛生的なものです

          積み重ねてきたものは簡単に消える

          漆刷毛と伝統工芸(寄稿原文)

          ある一般向けの冊子に漆刷毛と伝統工芸について寄稿させていただけることになりました。 しかし文字数制限のため伝えきることができなかったのが心残りです。 そこで、noteに全文を載せさせていただくことにしました。 ちょっと長いですが…お付き合いいただけたら嬉しいです🙇‍♂️ 日本各地にはさまざまな伝統工芸や文化があります。そのひとつに漆芸・漆器産業があります。このものづくりで漆を塗る工程で使われる専用の刷毛を漆刷毛(うるしばけ)といい、この漆刷毛を作るのが私の仕事です。 漆刷

          漆刷毛と伝統工芸(寄稿原文)

          キツネのダシコンブ

          今日はキツネのダシコンブを作っています。 ハケキツネに毎日お供えするものは、このコンブからダシをとって作っています。 味噌汁だったり、カレーだったり…寒いこの時期はポタージュを作ることが多いです。 今この記事にたまたま迷い込んでしまった一般の方はいらっしゃいますか? 一体なんの話を書いているのか分からないかもしれませんね。 すみません、一般の方向けに説明しますね。 このダシコンブ、別名を毛板といいます。 人間の髪の毛を、漆と米糊で固めてできています。 ハケキツネにお

          キツネのダシコンブ