嘘の素肌「第34話」
冷えたフローリングに素っ裸で寝そべる自分を想像だけで俯瞰したら、八日目の蝉より哀れで邪魔くさい存在のように思えた。隣で同じように裸のまま仰向けになっているいずみとは指先だけで繋がっている。いずみの腹に飛ばした精液が次第に乾いていくが、彼女はそれを拭き取ろうとはしなかった。汗みずくの背中が床にべったりと貼り付いて、身体を動かす気にはなれなかった。四十度近い発熱時に苛まれる様な、耐え難い頭の鈍痛と眩暈に襲われていた。「なあ」「なに」いずみも僕も、ただ一点の天井を見つめながら言葉