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『タリーズコーヒー—シアトル発、日本流のコーヒーカルチャー』前編調査ノート飲食業界編③全6話
「スターバックスだけじゃない!タリーズコーヒーが日本のカフェ文化に根付いた理由とは?“フレンドリーな接客”と“こだわりの一杯”で、多くのファンを魅了するタリーズ。その成長戦略と、独自のコーヒービジネスモデルを解剖。」
●飲食業界編
①『食の未来を創る—飲食業界の全体像と代表企業』
②『ケンタッキー・フライド・チキン—11種類のスパイスが生んだ伝説』
③『タリーズコーヒー—シアトル発、日本流のコーヒーカルチャー』
④『サイゼリヤ—低価格×高品質を実現したイタリアンの魔法』
⑤『カゴメ—トマトの力で食文化を変えたパイオニア』
⑥『出前館—日本のフードデリバリー革命』
全6話でお届けします!
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「仕事に疲れたあなたへ。タリーズコーヒーが提供する、ホッと一息つける空間と、こだわりの一杯で、自分だけの時間を過ごしてみませんか?」
――そんなメッセージを目にしてふと足を運んだカフェが「タリーズ」だった。シアトル生まれのコーヒーチェーンとしてはスターバックスが有名だけど、実はタリーズコーヒーも同じシアトル発祥。1992年に誕生し、1997年に日本上陸を果たして以来、多くのファンを獲得してきた。その理由を探ってみると、「落ち着いた空間」「日本人好みのメニュー」「店舗ごとの独自性」という3つのキーワードが浮かび上がってくる――前編では、この「タリーズコーヒー――シアトル発、日本流のコーヒーカルチャー」をテーマに、その歴史やこだわりをじっくりとひも解いてみよう。
私(ユキ)は今夜も、闇の組織にウサギの姿に変えられた“うさぎ先生”と一緒に、飲食業界編の第3話をまとめるために夜更かししているところだ。先生は元大学教授で、マーケティングやビジネスモデルに通じた博識の持ち主。ハイブランド特集やファストフード特集につづき、今回はカフェチェーンを深掘りしようと取り組んでいる。そこで大本命スターバックス…ではなく、「タリーズコーヒー」を選んだのは、以前調べたという事もあるのだけど、スタバと似ているようでいて、実は日本人のライフスタイルに合わせたユニークなこだわりを持っているブランドだからだ。
スターバックスの記事はこちらから👇
1. タリーズの誕生――シアトルから日本へ
1.1 シアトル発、1992年に誕生したタリーズコーヒー
「タリーズコーヒーはスターバックスの対抗馬」とよく言われるが、実は同じくシアトルを拠点としつつも別の企業として1992年に誕生した。スターバックスが世界に先駆けてシアトル系カフェとして認知を広げる中、タリーズは少し後発組。しかし“よりゆったりとした空間”と“こだわりのコーヒー”をコンセプトに、地元で徐々に人気を集めていったのだという。
うさぎ先生がソファに腰掛け、柔らかく耳を動かしながら言う。「ユキくん、シアトルといえばスタバが有名だけど、タリーズは ‘もっとゆったり寛げるカフェを作ろう’ と生まれたブランドなんだよ。しかも単にスタバの後追いではなく、いろいろなメニューや空間演出で差別化を図っていたんだ。そこが日本に上陸したときに大きく刺さった理由の一つだね。」
私は「なるほど、スタバより落ち着ける、という声をよく聞くけど、それは創業当初からのコンセプトが反映されているんですね。メインストリームに乗っかるだけじゃない ‘第二のシアトルカフェ’ の気概があったわけだ」と頷く。
1.2 日本市場への進出と成功の理由
タリーズが1997年に日本へ進出した頃、日本のカフェ市場はどうなっていたのか。実は欧米スタイルのコーヒーチェーンが増え始める時期で、スターバックスも1996年に銀座松屋通り店を出したばかりだった。さらに、ドトールコーヒーや喫茶店文化が根付く日本ではコーヒー愛好家が多く、コンビニコーヒーも台頭しはじめるなど競合が激化しつつあった。うさぎ先生いわく、「そんな中、タリーズはスターバックスとの差別化を図りつつ、日本人のテイストに合わせた独自のローカライズ戦略を打ち出したんだ。そこが成功ポイントだね」とのこと。
例えば、“落ち着いた空間づくり”に力を入れたほか、“日本独自のフードメニュー”を充実させたり、地域限定メニューを展開するなど、ローカルニーズに対応しやすい体制を整えた。先生は「スタバが ‘都会的でカジュアル’ なイメージだったのに対し、タリーズは木目調の内装やソファ席で ‘居心地の良い第二のリビング’ を演出したんだよ。それが日本のお客さんに ‘ゆったりできる’ と高評価だった」と教えてくれる。
1.3 ローカライズ戦略の成功例
和風テイストのメニュー開発:抹茶ラテやほうじ茶ラテなど、日本人好みのテイストを取り入れることはタリーズの特徴の一つ。先生は「当時、アメリカ発のコーヒーチェーンが抹茶やほうじ茶を商品化するなんて珍しかったよね。でもタリーズは日本のお茶文化に合わせたドリンクをいち早く出して話題を集めた」と語る。
落ち着いた雰囲気の店舗デザイン:照明を少し暗めにして、木製テーブルやソファ席を多用し、音楽も激しくなく軽めのジャズやボサノバなどを流す店舗が多い。私が「スタバはBGMがもう少しポップな感じですよね。タリーズのほうが読書やPC作業に向いているって聞くことがあります」と話すと、先生は「そうさ。タリーズは客層をビジネスパーソンや落ち着いた雰囲気を好む人に照準を合わせていた面があるんだ」と補足する。
地域ごとの特色を反映した店舗運営:駅前の狭い店舗だけでなく、大きめの商業施設にゆったりしたスペースを確保して出店したり、書店とコラボして店内に本を閲覧できるコーナーを設けたりと、“ここでしか味わえないタリーズ”を作る取り組みが多い。先生は「地域性を活かした限定スイーツやコラボ商品を出すのもタリーズの魅力だね。地元食材を使ったサンドイッチやスイーツが人気の店舗もあるよ」と教えてくれる。
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2. タリーズの理念——『最高の一杯を、最良の空間で』
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