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人新世の「資本論」を読みました〜SDGsは「大衆のアヘン」である!

マルクスの資本論が最近本屋のメイン棚に並んでいるのを見かけて、これはあれかな?民主主義や資本主義へのアンチテーゼかな?と思いつつ手には取ってみたものの、難しくてあまり理解できず立ち読みレベルで終わっていた。

その後ふと新書コーナーの第一位の棚に

2021新書大賞の文字

まだ2月なのにエライ気が早いな、と不思議になり手に取ってみたのが、この斎藤幸平氏の人新世の「資本論」という本。

黒いカバーに2021新書大賞第1位が印字されているので、変わったカバーだなと思ったら二重カバーで、よく文庫本でもあるような小説が映画になったりドラマ化されたりすると販促で使う二重カバーだった。裏を確認すると著名人の推薦がズラリ。

斎藤はピケティを超えた。これぞ、真の「21世紀の資本論である」とあの佐藤優氏の推薦文があるではないか。佐藤優氏は私はお気に入りなので、これは名著っぽい!と思いつつ、下を見ると水野和夫氏まで、常識を破る、衝撃の名著だ、と書いているではないか。

とはいえ、いくら佐藤優氏や水野和夫氏が推薦しようが、原則はじめにと終わりに、そして第一章を読み、立ち読みで終わるか購入するかを決める私としては、すぐには購入しないのだが、その日は競馬のメインレースまでわずかの時間しかなく、即レジで購入。

人新世は、ひと・しんせい、と読むらしい。初めて耳にする言葉だ。人類が地球を破壊しつくす時代という意味を持つ単語らしい。

著者の斎藤幸平氏、プロフィールを読むと1987年生まれ、若い!

読んだ感想。マルクスの考え方や資本論以降の研究を脱成長コミュニズムに紐づけるというか、結論付けして懸命に行き過ぎた資本主義による環境破壊に一矢を報いようとする論旨に、著者の熱は伝わってくるのだが、そりゃ無理じゃね?というのが正直な感想。

日本人には伝わるかもしれないのだけど、資本主義、物欲主義の最先端を走るアメリカや中国の人たちを諭すことができるのかなあと。ヨーロッパやイスラムはどうか、白人欧米に数百年もの間、搾取され続けているグローバルサウスの人たちにも通用するだろうか?と。

資本主義が人間の滅亡を早めているのには同意する。斎藤氏のように、資本論やその他宗教でも何でもいいから人類存続のために何をすべきかを論じることは素晴らしいことだと思う。SDGsのようなテーマについて議論したり、自分でも何かをやろうとすることは必要だし、私自身も少しでも貢献したい。

ただし、もはや時すでに遅し、ではないかと。人間自身が猛烈なスピードで資本主義を暴走させもはやコントロールできないところまで到達している。もうアメリカと中国を誰も止めることはできない。世紀末のパニック映画のように、世界中の人々が人類の滅亡を受け入れないといけない時期が来る、そしてその時期が人間の手によって早められているというのは残念ではある。

座して死を待つ

その覚悟をまずはする。


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世界の覇権を握ってきたヨーロッパとアメリカ、アングロサクソン。ルネサンス、産業革命、帝国主義、資本主義、民主主義、圧倒的な資本と圧倒的な軍力と核兵器。宇宙、インターネットからITプラットフォームとビジネスモデル。哲学、宗教に幸福論、地球全体に覆い尽くされた欧米化。

これにストップをかけ、人間という生物を進化させ存続させる可能性があるとするならば、中国、インド、そして日本、アジアが圧倒的な人口で新しいスタンダードを作って世界をひっくり返すしか道は残されていないのかもしれない。できるだけ血を流さずに。

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何かとりとめのないことになってしまいましたが、この人新世の「資本論」という本が売れているというのは、多くの人が今の資本主義世界に疑問と不安を感じていることだと思うので、この本の役割はそれなりに大きいのではないかと思います。そしてさまざまな差別や格差問題の全てがこの問題の原点とももちろん繋がっているし、人間が抱えている課題の全ての源であると思います。

そういう意味では、少し前に読んだ執行草舟氏の「現代の考察」という本も良書で、これも同じテーマを考える上では参考になるのではと思います。この感想はまたの機会に。

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