とみ

20代男で東京に住んでいます。よろしくお願いいたします。

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最近の記事

サピエンス全史(ユヴァル・ノア・ハラリ著)を読んで

『サピエンス全史』とはイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏によって書かれた、これまでの人類の歴史について綴られた本です。人類の歴史について語るというスケールの大きな仕事で、世界的ベストセラーにもなりました。5、6年前に流行ったので、ご存じの方もいるかと思います。 人類の歴史をたどっていくという非常にスリリングな読書体験を得ながら、その過程で例えば国家や貨幣、宗教、民主主義など我々が現代を生きる上で避けては通れない概念にも手際よく述べられているため、ある種の教養書として

    • 勉強の哲学(千葉雅也著)を実践する

      前回『勉強の哲学』を扱いました。 前回後半に出てきた、自分自身を規定する環境のコードに対して、アイロニーとユーモアを用いてみたいと思います。 その前に、前回のまとめを行います。 勉強とは何か?それは自由になるための手段である、といいます。 ではここでいう自由とは何か。 我々は様々な環境のコード(if-thenプログラム)によって制約を受けているのでした(我々は他者によって構築された存在である)。寧ろその制約がないと、行動できません。よって、ここでいう自由とは、ある支配的な環

      • (2/2)勉強の哲学(千葉雅也著)を読んで

        「勉強とは自己破壊である」というのは私にはすごく分かるんです。この命題は奇を衒ったわけでもなく、謙遜でもないし自虐でもありません。本当にそうなのです。 私も中学生までは周りのノリに乗れて友達もそれなりにいたのですが、高校ぐらいから(勉強ではないですが)本を読むようになって、周りのノリに乗れなくなったり分からなくなったりしました。コミュニケーション能力も落ちた気がします。何かを主張しようとするとき、その主張とは別様の主張が同時に頭をよぎり玉虫色の表現になったり、口を滑らして抽象

        • (1/2)勉強の哲学(千葉雅也著)を読んで

          前回は千葉先生の『現代思想入門』を扱いました。今回は同じく千葉先生の『勉強の哲学』を取り上げたいと思います。 -勉強とは自己破壊である- はじめに千葉先生はそのように言います。 勉強と聞くと、何か今までよりも良くなること、人生のステージをステップアップするものと思われるでしょう。例えば試験で良い点をとるため(そしていい大学→いい会社に行くため)に勉強する、出世をするために資格の勉強をするイメージですね。そういうイメージとは対照的に、勉強をある種マイナスなモノと位置づけています

        サピエンス全史(ユヴァル・ノア・ハラリ著)を読んで

          (2/2)現代思想入門(千葉雅也著)を読んで

          ではこれらの議論を現代にどう生かすことができるのかを考えてみます。 ① 最近(2023年4月)神宮外苑の再開発の話が進んでいたり、京都市が建物の高さに対する景観規制を緩和する動きが出ています。 上述した①に絡めて言うと、思考の根底には二項対立があるとのことですが、ここでは「経済と文化」「秩序と逸脱」「便利快適と不便」といった二項対立が挙げられるでしょう。そしてそれぞれ前者を優位、後者を劣位としています。特に経済合理性ですね。京都市の施策を例にとります。 曰く「(2007年に

          (2/2)現代思想入門(千葉雅也著)を読んで

          (1/2)現代思想入門(千葉雅也著)を読んで

          これまで『危機の構造』『終わりなき日常を生きろ』を取り上げて、近代化に対する社会の矛盾と、それによって発生する社会現象について記しました。今回はそれら近代化の弊害を哲学の面から規定したいと思います。今回扱う本は千葉雅也先生の『現代思想入門』です。 『現代思想入門』は去年(2022年3月)出版されて、ベストセラーになりました。200ページ程の新書で、普段書店に行く方なら平積みされているこの本を見たことある方もいるかもしれません。 その名の通り現代思想の入門書ですが、20世紀後

          (1/2)現代思想入門(千葉雅也著)を読んで

          閑話休題 村上春樹とサリンジャー

          閑話休題と題するのは、エッセイと題すのもなんだかなぁと思うからです。でも本来noteとかブログだと日々の日記的なのを書くのが普通なんじゃないですかね。初回からゴリゴリに書評的なの(と呼ばせてください)を書く方がマイノリティかもしれない。 エッセイで言うと、私の一番好きなエッセイの書き手は村上春樹さんです。村上春樹さんというと誰もが知る世界的な小説家ですが、『村上ラヂオ』とか『村上朝日堂』とかのエッセイ読んでみてください。とても面白いです。 面白いというのは興味深いというより

          閑話休題 村上春樹とサリンジャー

          (2/2)危機の構造(小室直樹著)を読んで

          では以上(1/2)に記述したようなアノミーはこれからどうなっていくのでしょうか? アノミーが構造的であるため、拡大再生産していきます。 時代は高度経済成長期です。敗戦直後の焼け野原から復興し、1970年代にはテレビや車といったモノが溢れるようになりました。戦後吉田内閣のもと、国防という意味での安全保障をアメリカに任せ、1ドル360円という固定為替相場制という国際経済の中(ブレトンウッズ体制)、有利な条件で日本は経済に注力でき且つ経済的に豊かになる事が広く国民の目標として認識さ

          (2/2)危機の構造(小室直樹著)を読んで

          (1/2)危機の構造(小室直樹著)を読んで

          前前々回に「終わりなき日常を生きろ」(宮台真司著)を扱いました。その本は1995年起きたオウム真理教によるテロ行為、地下鉄サリン事件の起きる社会的文脈を考察した本でした。テロ後すぐに上梓されたその本にはオウムに引き寄せられる動機を、社会の共同体空洞化という近代化の大きな流れによる必然的結果と等身大の輝かしさという当時30代の人間が生きざるを得なかった科学の未来(と革命の輝かしさ)の残滓に求めたのでした。 この度扱うのは、そこから約20年前の1976年に書かれた本で、戦後から

          (1/2)危機の構造(小室直樹著)を読んで

          (3/3)洗脳原論(苫米地英人著)を読んで

          ここまで催眠について詳述しましたが、ではオウム真理教の洗脳の現場はどうだったか。 オウム真理教ではサティアンという独自の宗教施設があります。そこに信者が集まって修行するのですが、有名なのは独房修行です。 文字通り独房に入れられるのですが、そこで信者は睡眠が剥奪されます。この睡眠の剥奪が変性意識を引き起こします。そこで戦争映像がサブリミナル的に入った地獄の映像を流し、恐怖を植え付けます。その恐怖をアンカーとして、教祖の「疑念だ 疑念だ」というテープを大音量で流します。そうする

          (3/3)洗脳原論(苫米地英人著)を読んで

          (2/3)洗脳原論(苫米地英人著) を読んで

          これまで洗脳のメカニズムを記したのですが、おそらく何だかなあと思われたとおもいます。理屈は分かったけど、それが洗脳とどうつながるのか今一つイメージが付かないと思います。 以下では、洗脳の現場について記そうと思うのですが、その前に催眠を切り口として取り上げます。ポイントはどのように変性意識状態にするのか、そしてどのように内部表現を書き換えるのか、です。 催眠と洗脳は似ています。違いと言えば、洗脳は本人ではなく明らかに第三者の利益のための情報を書き込むという点と、後述するアンカ

          (2/3)洗脳原論(苫米地英人著) を読んで

          (1/3)洗脳原論(苫米地英人著) を読んで

          前々回は「終わりなき日常を生きろ」(宮台真司著)を基にオウム真理教の地下鉄サリン事件が起きた社会的背景について記しました。 今回は実際に、人はどのように洗脳されるのかを記したいと思います。 人が洗脳されるなんてことが果たして可能なのか、どうも実感が湧いてこないかと思います。ここでは「洗脳原論」(苫米地英人著)を主として題材に扱いたいと思います。 洗脳を行うには、相手を変性意識状態(altered state of consciousness)という特殊な意識状態に陥らすこと

          (1/3)洗脳原論(苫米地英人著) を読んで

          継続するコツ (坂口恭平著)を読んで

          「継続するコツ」を読んで、と題されていますが、まだ読み終わっていません(すいません・・)。最近出版されたのですが、実はここの note でも無料で読むことができます。私はnote の第5回まで読んで、今書いています。note では全部で6回あるので、最後まで読んでからでもいいのですが、書きたくなったので今書いています。 坂口恭平さんは一昔前に流行った「独立国家の作り方」という本を書いたことで有名です。結構売れた本なので、本のタイトルをご存知の方もいるかもしれません。 さて、

          継続するコツ (坂口恭平著)を読んで

          終わりなき日常を生きろ (宮台真司著) を読んで(2/2)

          話を続けます。核戦争後の共同性というイメージが共有されただけではあのようなテロ行為にはつながりません。サリンは良心故にばら撒かれました。サリンをばらまくことに正当性を与えるポアの論理と言う考えがあります。曰く現代社会に生きる人間は誰でもそうとは知れず罪を負っている。これ以上罪を犯さないようにするには殺さなければいけない。それも罪を軽くするために苦しんで死んでいくことがその人のためだ。つまりサリンのばら撒く人は良心故に行動したのです。 なぜこのような考えが是正されずに行為に至っ

          終わりなき日常を生きろ (宮台真司著) を読んで(2/2)

          終わりなき日常を生きろ (宮台真司著) を読んで(1/2)

          表題の本は一見自己啓発っぽいタイトルをしていますが、オウム真理教について考察した本です。オウム真理教とは 1980 年代から 90 年代に存在した宗教団体で、地下鉄サリン事件(1995 年)を起こしたことで有名ですね。この本は事件から数か月後に出版されています。 私が生まれる前に起きた事件なので当時の状況が記憶にありません。初めて知ったのは小学生の頃で、確かテレビの特番か何かで知ったのでした。それを見たときの、子供ながらに興奮と驚愕が入り混じった好奇心を覚えています。人が洗脳

          終わりなき日常を生きろ (宮台真司著) を読んで(1/2)

          デジタル・ベーシックインカムで日本は無税国家になる (苫米地英人著)を読んで(2/2)

          ここまで半減期デジタル・ベーシックインカムについて記してきましたが、皆さんはどう感じたでしょうか? 何年か運用したら年間 300 兆円税収が入り、300 兆円通貨発行し国民に流す。国民レベルでは毎月 20 万円減価するとはいえど入ってくる。一人暮らしなら水道、光熱費、家賃、食事、通信代で 10~15 万円使うため、それでも余りがあるというのは心強いです。その余りプラス月給が本来使っていないだろう消費に使われる。仕事をしなくても生きていける。ただ、そんなに上手くいくのかなぁとも

          デジタル・ベーシックインカムで日本は無税国家になる (苫米地英人著)を読んで(2/2)