デジタル・ベーシックインカムで日本は無税国家になる (苫米地英人著)を読んで(2/2)

ここまで半減期デジタル・ベーシックインカムについて記してきましたが、皆さんはどう感じたでしょうか?
何年か運用したら年間 300 兆円税収が入り、300 兆円通貨発行し国民に流す。国民レベルでは毎月 20 万円減価するとはいえど入ってくる。一人暮らしなら水道、光熱費、家賃、食事、通信代で 10~15 万円使うため、それでも余りがあるというのは心強いです。その余りプラス月給が本来使っていないだろう消費に使われる。仕事をしなくても生きていける。ただ、そんなに上手くいくのかなぁとも思います。

懸念の一つとしては労働意欲が減退する。これは確実にそうと言えるでしょう。現在好きで仕事をしてますという方は少数派ですから、仕事しなくても生きて行けるとなれば、仕事を辞める人が続出します。
しかし制度移行の過渡期では混乱を生むでしょうが、長い目で見ると問題
ないと思います。今やってる嫌な仕事を退職しても、自分で社会とのかかわりあいを持つと思います。これは感想なので再考の余地があります。
他には例えば建設作業員などキツイ仕事をしている人は退職する方が多くなると思いますが、すると残った建設作業員の価値は高まるため給料が上がります。
また、ブラック企業も淘汰されるでしょう。労働者と企業間の雇用契約は多くの場合附従契約といえます。労働者側の選択肢は少なく且つ働かないと生きていけない状況である反面、企業側は多くの選択肢があります。目の前の労働者が拒否しようと他に替えはいくらでもあります。その格差を是正できます。そして現代の悩みの多くが元を正せばお金の問題と言えます。また、自殺の原因も経済的な理由であることも知られています。自殺者数を減らすことができるかもしれません。
これは現在の社会状況にも合っています。つまり労働人口が減ろうとも AI に仕事を任すことができます。スーパーの店員さんが退職しても、AI が代わりになります。AI に仕事を奪われるというのは AIに仕事を任せていいという事です。ブルシットジョブなどと言われますが、実際に必要のない仕事が昔に比べ増えている状況も鑑みると労働人口は減り給与は上がります。減った労働者は自分の好きなことをするのです。そこに社会的機能があれば(お金が稼げるか否かに関わらず)仕事といえます。苦虫を噛み潰して嫌でも仕事をするものだ、楽をしてお金をもらえるなどとんでもないという方も今は少なくなっていますね。

とは言え半減期デジタル通貨(以下デジタル通貨)と通常円が混在する社会というのを想像できていません。私企業はデジタル通貨の所有を嫌うので給与などはデジタル通貨で行うかもしれません。デジタル通貨と通常円の比率を労働者は選べるようにすることが必要かと思います。通常円の方がいいに決まっていると思うかもしれませんが、通常円ですと消費税がかかってきます。その反面デジタル通貨は受け取ってから 55 日以内に消費を行えば(企業ですと原料費の支払いなど)本来かかる筈だった消費税を少なくできます(2 のマイナス 365 分の 55 乗根=0.900823)。
或いは 300 兆円日銀から国民に給付しても、数年後には 300 兆円のほとんどは日銀が吸い上げるとしたら、経済効果はないのではないかと考える方もいるかと思います。しかし景気とは市場に回るお金の、回転速度のことを言います。放っておいたら価値が下がるので使っていきます。A→B→C→・・・とお金が渡る度に付加価値が創出されます(付加価値があるところにお金は行きます)。創出される付加価値の合計がGDPなので景気は良くなります。
そもそも半減期デジタル通貨とは、貨幣は減価するべきだという考えに則っています。モノとモノとの交換の際に、モノは価値が下がるのに貨幣の価値が下がらないのはおかしいという、シルビオゲゼルの経済哲学が反映されています。下がらないどころか、金利で儲けています。これでは貧富の格差が生じるのも仕方ありません。

半減期デジタル・ベーシックインカムの導入によりどのような社会ができるのか我々は想像を逞しくする必要があります。新反動主義のようにベーシックインカムによって生活を保障した上でドラッグ(要するに快楽)とテック(VR によるメタバース)に人々が閉じ込められる世界になるのでしょうか。またはベーシックインカムによって経済が発展し、ますます途上国にコストが外部化する世界になるのか。私としては半減期デジタル・ベーシックインカムによって「人新世」の資本論で詳述した脱成長コミュニズムに近づいていければと思います(ここら辺の話はまた機会を設けたいと思います)。
私としては半減期デジタルベーシックインカムが導入されれば、今ある仕事はやめて好きなだけ本を読み、映画をみたいです。他にやりたかったことがたくさんあります。皆さんはどうでしょうか。


(補足)
 x によって A が半分になる量yは
      y=(A/2)^(ax)
で表される。
y を貨幣量、x を日数とする。365 回毎に A が半分になるとすると、
      A/2=(A/2)^(365a)    を満たす。
よって
       a=1/365
式は
     y=(A/2)^(x/365)=A×2^(-x/365)
となる。
       y=f(x)
とすると、
    f(x+1)=A×2^{-(x+1)/365}=2^(-1/365)×{A×2^(-x/365)}
よって
     f(x+1)= 2^(-1/365)×f(x)
つまり(翌日の残金)=(2 のマイナス 365 乗根)×(本日の残金)になる。
改めて
     f(x)=A×2^(-x/a)   A:給付額(円) a:半減するまでの回数(回)

a は回数であることに注意。2023 年 3 月に給付して同年9月にいきなり半分になる(つまり 1 度目で半分になる)とすれば a=1 で単位は半年。365 回目に半分(つまり日ごと減少)だと a=365、単位は日。逆に言うと、a=7 のとき単位が日であれば 1 週間ごとに半分、単位が年であれば7年ごとに半分となる。

半減期がどのスパンであろうと、半減期に至るまでの回数がどうであろうと下のような指数関数的減少の曲線カーブを描く。

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