(2/3)洗脳原論(苫米地英人著) を読んで

これまで洗脳のメカニズムを記したのですが、おそらく何だかなあと思われたとおもいます。理屈は分かったけど、それが洗脳とどうつながるのか今一つイメージが付かないと思います。
以下では、洗脳の現場について記そうと思うのですが、その前に催眠を切り口として取り上げます。ポイントはどのように変性意識状態にするのか、そしてどのように内部表現を書き換えるのか、です。

催眠と洗脳は似ています。違いと言えば、洗脳は本人ではなく明らかに第三者の利益のための情報を書き込むという点と、後述するアンカーとトリガーという概念を用いて洗脳状態を長期記憶化させる点です。

催眠の導入の一つにハンドシェイクインダクションという手法があります。例えば相手と右手で握手する瞬間に、相手の右手の手のひらに自分の右手の人差し指を軽く触れる、というものです。マービンミンスキーのフレーム理論では、我々は物事をフレームで捉えています。なので、握手しようとした際に、手を差し出して→手を握り→手を離すという「握手フレーム」が作動します。そこで手を握る直前に、手を握らずに軽く触れるという行為によって相手の握手フレームが中断され情報の空白ができます。それが変性意識状態です。その情報の空白に、言語によって内部表現を書き換えます。
実際にそんなことができるかというと、それだけでは内部表現の書き換えはできません。もう少しそこに至る前に仕掛けが必要です。例えば自分が徹底的にリラックスする(変性意識状態になる)。そして、相手の呼吸やまばたきや視線を合わせる(ペーシング)。そうすると同調効果によって相手は変性意識状態になります。そこでハンドシェイクインダクションによって、より強い変性意識状態にもっていくというプロセスです。
ちなみに小泉総理が訪朝した際に、金正日総書記にハンドシェイクインダクションをされていました。映像を見ると、手を握った後にブンブンと大きく縦に手を揺らされ体の硬直(カタレプシー)が起きた後に耳元で何かささやいています。
我々の身近な例でいうと、地震もそうですね。地震が起きた際はそれまでの行為のフレームが中断され、変性意識状態になりカタレプシーが起きます。
他には催眠術師の川上剛史先生の動画などでは、始まる前に毎度お馴染みの「ハアィ!!」と叫ぶのがありますが、あれは驚愕法といって一瞬で変性意識に持っていく技です。

ではどのように内部表現を書き換えていくか。それは言語によって書き換えていきます。
古典的な催眠として、凝視法があります。ある一点を凝視させ、「だんだん瞼が重たくなります」と暗示をかけます。当たり前ですが、一点を凝視せずとも瞼を開け続けると、まばたきします。それをあたかも、催眠術師が言ったから、瞼が重たくなったと勘違いしてくれ、ということです。それは言い換えると、相手の生理現象であるまばたき(相手の内部表現に対するホメオスタシスの外界との相互作用におけるフィードバック)に対して、催眠術師の言語=情報を相手の内部表現に介入するという事です。
他には自分の両手を握った状態で両手の人差し指だけ立てます(やってみてください)。すると、人差し指がくっついていきます。これもただの生理現象にすぎないのですが、だんだん見ていると指がくっつきます、と言って相手の生体レベルにおける内部表現に自分の言語を介入させ、情報空間に揺らがせます。その後、例えば今度は両手が離れなくなりました、というと相手は術師の言語に介入されているので、内部表現が書き換わり両手が離れなくなります。その後腕が固まっていきます・・・といったように、どんどん相手の内部表現に介入していきます。

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