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妄想小説

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妄想の世界を小説にして,まとめてあります。
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記事一覧

妄想である村へ帰ってみた。

 私は道なき道を歩いていた.遥かなる高原には、小さな家々が立つのみだ。私の家もその中の一つ。小さな明かりの灯っている家だ。家ではヤギを飼っている。わが民族にとっては、非常に貴重な資源とみなされている。そのヤギの乳からしぼったミルクを発酵させたものに、いくばくかのお米を加えたものが、好まれて日常的に食べられる。大事な客人が村を訪れた時は、そのヤギの肉でもてなすことが習慣になっている。

 私が玄関に

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妄想の村のある朝

 私はある村へいた。娘はまだ寝ている。いおりで火をくべていた。パチッパチッとした音が鳴り、私は暖をとる。今日は、どの獲物を狙おうか。25㎞程、村の南西に位置する山の中で、大きな鹿の新しい足跡があったと、仲間が昨夜教えてくれた。妻が、木の実を村の近所へ、時折配ってくれているためか、”お礼に”と情報も入りやすくなっている。鹿肉は言うまでもなく非常にうまい。この秋の季節には、鹿も冬に向けて、色々と山の幸

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妄想の村で町へでかけた。

 娘から、今日は町に出かけようと言われた。町といっても、大きなお店が立ち並んでいるわけではない。そこには、一つのお店があるだけだ。半分農業、半分がお菓子屋をして、生計を立てている老婦人のお店を娘は”町”と呼んでいるのだ。老婦人は少し離れた村から、高原にあるこの村へ若い頃、嫁いできた。主は、10年前にはるかなる空へ旅立たれたが、変わったお菓子が評判だったのを思い出し、お菓子を売り始めたのだった。売る

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ミゲルとシゲル (前編・童話)

ミゲルとシゲル (前編・童話)

352さいのミゲルには、3にんのきょうだいがいた。

そのうちのひとり、シゲルはミゲルの3さいうえだった。

あるひ、ミゲルはシゲルにこうきいた。

「シゲルにいさん、こんどのおたんじょうび、なにほしい?」

シゲルはこういった。
「そうだなぁ。なにがいいかなぁ。
そういえば、こんど、まちにでかけるから、
ぼうしがあったらいいかなぁ。」

「それはいいかんがえだね。」

ミゲルは、よるになって、か

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Red carpet 赤いじゅうたん

In the storage of my house, there is red carpet.
私の家の倉庫に、赤いじゅうたんがあります。
One night, I spread out the carpet in my balcony,
ある夜、わたしはベランダでそのじゅうたんを広げました。
then I rode on it.
そして、わたしはそれに乗りました。
I said to myse

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妄想のアラビアの国から。

アラビアの我が国では水が非常に貴重だ。何せこの土地に人々が集まり出したのも、小さな湖があるからという単純な理由が元だった。砂漠を行く旅人や商人がラクダを連れて集まりだしたのだ。私たちは週に一度しかお風呂に入る習慣がない。だから、体を殺菌するために朝日をよく浴びて、あとは、強めの香水をかける。お風呂も大衆風呂でサウナと水風呂が主な入浴施設だ。私たちは子供の頃から水の大切さを教え込まれる。それほど命に

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妄想の忠臣

ふわふわのじゅうたんの上に私はいた。パグが時々こちらを見て、えさがほしそうな顔をしている。私は宝石箱からサファイアを選び指にはめる。なんとなく、このサファイアの指輪を見ていると、採くつした現場の眠っていた土の中まで想いをはせられるようで好きなのだ。思えば、この石だって、まさか人間があくせく、自分を探しているなんて考えだにしなかったかもしれない。土の中でただ、るんるんと日々を送っていたのかもしれない

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妄想の道

私が小屋のわらの中で、身を潜めていると、ヒュッヒュッと音がし、ボゥッと音をたて、たちまち、炎が広がった。火矢を射られたのだ。私は、下へ下へと潜り、小さな木戸らしきものを見つけた。このような大きな商家の倉庫には、念のために備えてある場合がままあるのだ。私は、そこからはしごをつたり、おりていき、どこにつながっているのかを確認しようと、口笛をピュ~ゥと吹いた。かなり、奥行きがあるような音の響きをしていた

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妄想の天幕

私は少しねむたかった。うとうとした眼を開けると美しい白い衣を羽織った王族の女性が天幕の中に立っていた。私は目礼をすると、ニコッと笑い、立ち去った。そして、侍女らしき女性が、白い牡牛を天幕に引き入れた。その女性と牛も去り、今度は楽劇隊が入ってきた。とても愉快そうだ。地面まで届く楽器を携えている者もいる。私は軽くリズムをとった。古里の瀬戸の海の儀式を思い出したのだ。いや、全く似て非なるものだが、よそ者

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妄想の船

風が吹いていた。どこからともなく。我々はある島を目指していた。大亀やフカの肉を目当てにしている。君は大亀の涙を見たことがあるか?水晶のようなきれいな形をしているようだ。我々はラム酒を片手に行く。気の良い海賊だ。けれども特に悪さをしたことはない。元々宣教師だった船員もいるくらいだ。時々、考えるのだ。フカは亀をおそうのだろうか?と。甲らが少し割れかけているのを見たことがあるので、もしかしたら、フカにか

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妄想の旅路にて。

かすみ草が優しく揺れて私は夢の中にいた。夢の中では風を追いかけている少年少女がいる。少年はぼうずで少女は三つ編みを深くあんでいた。だから、遠くからでも正確が分かった。”わ~。きゃ~。”はしが転んでもおかしな時期なのだろう。さっきから、三時間は凧を追っかけている。私はTVをパチッと指をならしてつけた。18chに合わせた。24時間、ラジオ体操をしている番組だ。”一、二、三、四、五、六、九、九”これを永

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妄想の領主

ある朝、私はブレックファーストを食べていた。ベーコンエッグにトーストとコーヒー。おきまりのメニューさ。私のまわりには、バラの庭園で囲まれている。色とりどりの花々、紫、黄色、ピンクをはじめ、緑、エメラルドブルーなんてのもある。私には、バラの花一輪一輪が、笑っているように見える。表情も一輪一輪がちがう。だからバラは面白い。私の少し長めの髪は、もちろん、エメラルドグリーン色のガウンもバラの香りで、満たさ

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妄想という名の冒険

私はある寺院の中にいた。きっと寺院なのだろう。お線香の独特な香りがあたりに漂っていた。私の荷物を背おってきてくれた鹿にお礼をして、私は荷の中のひょうたんに似た植物の中をくりぬいた水筒を取り出した。私は一口一口大事に水を飲んだ。口内からのどから水を体に吸収しているのが分かる。なんて、ありがたいのだ。旅とは水の大切さを知るために、するのではないか?と時々、私は、思わせられる。私は、ひんやりした石畳らし

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妄想の宮殿

風が吹いていた。マリリンモンローのスカートどころか、体ごとすっとんでしまいそうな風が。私は愛馬に乗り、荒野を行く。どこかで男が、吹き矢をとばしてきたので、私は、鍋のふたではじいた。こんなこともあろうかと、スカーレットの台所からかりてきたのだ。私は、愛馬の脇腹をなでると、愛馬は全速力で、走り出した。この荒野で私の愛馬にかなうものはいない。いるとしたら、最近ここらのパブでウワサの人面ワニくらいだ。しか

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