気胸ジェンヌ/健康系編集・ライター

20代でギランバレー症候群になり、健康の大切さに目覚め、体と心の健康本を数多く手掛ける…

気胸ジェンヌ/健康系編集・ライター

20代でギランバレー症候群になり、健康の大切さに目覚め、体と心の健康本を数多く手掛ける。しかしその後、子宮筋腫・卵巣嚢腫、気胸で入院・手術を経験。「健康本編集・ライターの不養生」を改めるべく、さまざまな健康情報を闇鍋的に実践中。noteではおすすめの健康本などを紹介していきます。

最近の記事

術後2年に思うこと

気胸の手術(内視鏡)をしてから、今日で2年が経った。 クリスマスに入院して、病室で年賀状を書き、病院のポストから投函したのも、今となってはいい思い出(笑)。 術後しばらくは、腕は上がりにくいし、圧迫感のある下着をつけられないしで、「ずっとこのままだったらどうしよう」と思っていた。 術後1年くらいまでは、低気圧のとき傷口がシクシク痛んだり、胸のあたりに違和感を感じたりすることもよくあった。「もしかしてまた肺が破れた!?」とあせり、スマホアプリの「頭痛~る」を見て低気圧だと

    • お盆休みに「捨てスイッチ」を入れる!――『わたしのウチには、なんにもない。』

       今、猛烈に忙しい。目の前にはやらないきゃいけない仕事が山積みである。が、そんなときに限って、部屋やデスクまわりのゴチャゴチャ感が、妙に気になって仕方ない。 「きっと、これを片づければ仕事がはかどるはずだ!」と、普段はやらないのに、俄然「片づけ欲」がわいてくる。  しかし、やりはじめたものの、案外ものを捨てられなくて、思ったよりスッキリしなかった――こんな経験はありませんか? 私はあります。 「ものを減らす」って、結構勇気が必要。そんなとき、背中を押してくれるのがこの本

      • 冷えに対する誤解と真実――『新版 万病を治す冷えとり健康法』

         3年前に子宮筋腫&卵巣嚢腫、そして昨年の年末に肺気胸(しかも子宮内膜症が関係している可能性あり)の手術をした身としては、「万病を治す」といわれると、非常に気になる。  子宮筋腫や子宮内膜症は冷えが原因だということもよくいわれており、この本は読まなければ……と思っていた。 筋金入りの冷え症 自慢じゃないが、私の冷え症はなかなかのものだ。  子どもの頃から、冬になると手や足にしもやけがよくできていた。仕事でデスクワークをするようになると、さらに肩こりが追加。しもやけのほう

        • 子どもの目線で描かれる「真実」――『アミ 小さな宇宙人』

           さくらももこさんが表紙と本文のイラストを描かれている文庫本。 「引き寄せの法則」関連の本を書かれている奥平亜美衣さんがすすめているので、かつて手に取ったのだが、最近では元「ブルゾンちえみ」こと藤原史織さんが、「2年前にこの本を読んでからヴィーガンになった」と告白して話題になっており、久しぶりに読み返してみた。 少年と宇宙人の一夜の旅 10歳のペドロがある夏の午後、一人の少年と出会うところから、物語ははじまる。光の塊のような物体が海に転落してしまうところを目撃し、驚いてい

          「いのち」の使い方を考える――『ランド』

          『ランド』の連載が終わってしまった。  著者は『天才柳沢教授の生活』の山下和美さん。最初は単行本が出ては読んでいたのだが、クライマックスが近づくにつれ待ちきれなくなり、『週刊モーニング』の連載を追いかけるようになった。それくらい面白かった。 自給自足の、昔の日本のような村で あまり話すとネタバレになるので最小限にとどめるが、最初の設定からまず引き込まれる。  電気もなければガスもない。当然車なんてない。かなり昔の日本のような、とある村。その村では人は50歳が寿命となって

          「いのち」の使い方を考える――『ランド』

          闘病中じゃない人にもおすすめしたい闘病記――『Passion~受難を情熱に変えて~』

           現在、東京大学医学部で特任助教を務める、放射線科医の前田恵理子さんの闘病記。著者を知ったのは、今年の1月の日経新聞の記事だった。  現役の医師で一児の母、そして4度の肺がん再発を乗り越えたがんサバイバー。しかも、学生の頃は重症喘息で16回の入退院を繰り返していたという。そんな数々の困難を乗り越えてきたというのだから、ただ者ではない。その著者の半生をまとめた手記がこの本だ。 37歳で見つかった肺がん ある日、放射線科医として自分の胸部CTを読影していたところ、肺がんと思わ

          闘病中じゃない人にもおすすめしたい闘病記――『Passion~受難を情熱に変えて~』

          気胸ジェンヌ誕生秘話⑦――あのとき、肺が破れてた?

          「気胸になった」と話すと、「自覚症状はなかったの?」とよく聞かれる。そのたびに「わからなかった」と答えてきた。そもそも気胸が発覚したのは健康診断のレントゲンがきっかけで、まさか自分の肺に穴が開いているなんて思いもしなかったし。  よく言われる息苦しさなどもない、というか自覚がなかった。実はその頃の私は胃腸の調子が悪くて、常に食道から胃のあたりにモヤモヤした感じがあった。でも、前に逆流性食道炎をやった経験があるので、きっとそのせいだろうと思っていたのだ。ただ、下着の圧迫感がつ

          気胸ジェンヌ誕生秘話⑦――あのとき、肺が破れてた?

          気胸ジェンヌ誕生秘話⑥――病院をハシゴする日々

           気胸の症例数が多い病院で、晴れて(?)月経随伴性気胸という診断を受け、次に私が訪れたのが、3年前に卵巣嚢腫と子宮筋腫の手術をした婦人科の病院だった。  私の気胸は呼吸器と婦人科の両方に関係しているため(やれやれ)、一応婦人科の医師の話も聞いておきたかったのだ。  年に1回、術後の診察に行っているのだが、ここでは婦人科検診も受けられるため、午前は診察、午後は検診ということにしている。一日仕事だ。 婦人科の医師の反応 午前の診察は、手術をしてくれたベテラン医師。エコーで見

          気胸ジェンヌ誕生秘話⑥――病院をハシゴする日々

          気胸ジェンヌ誕生秘話⑤ーー気胸の名医の診断

           術後1カ月半を過ぎた頃、主治医に書いてもらった紹介状を手に、気胸の症例数が日本一多いといわれる世田谷の玉川病院を訪れた。  初診は予約なしで順番に診るということだったので、かなり待たされると覚悟していたのだが、10分くらいでまずはレントゲンを撮るよう案内される。  レントゲンから戻ると、ほどなく診察室に呼ばれる(ちなみに再発していなかった)。そうして気胸の名医といわれるT先生の診察がはじまった。 やっぱり月経随伴性気胸だった 初診のT先生に、気胸の発見の経緯や手術の内

          気胸ジェンヌ誕生秘話⑤ーー気胸の名医の診断

          気胸ジェンヌ誕生秘話④ーードクターショッピングのはじまり

           気胸手術からもうすぐ半年が経とうとしている。以前は感じていた、大きく息を吸い込んだときの肺の違和感もほとんどなくなった。  現在、病院には「気になる症状が出たら行く」ということにして、定期的な通院はしていない。そこに至るまでの顛末をまとめておく。 横隔膜で「ブルーベリースポット」発見!? 手術してみてわかったことだが、気胸を起こしていた私の右肺には、病変が3箇所あった。  ひとつは右肺の上部。ここは肺が1回破れてそれが治った跡と考えらえ、癒着を起こしていたという。今回

          気胸ジェンヌ誕生秘話④ーードクターショッピングのはじまり

          風邪を引きたくなってくる――『風邪の効用』

           身近な病気である風邪だが、わざわざかかりたいと思う人はいないだろう。しかしこの本を読むと、「風邪ってすごい!」「風邪引きたい!」と思ってしまう。  なぜなら風邪を引くと、いろいろな「いいこと」がありそうだからだ。 整体的に見た風邪 この本は「風邪」を切り口にしているが、テーマは病気全般、つまりは健康について述べたものだ。  しかも著者は、野口整体の創始者である野口晴哉先生。整体というと、骨や筋肉にかかわること、つまり肩こりや腰痛などをメインに診るというイメージがあるが

          風邪を引きたくなってくる――『風邪の効用』

          何も起こらないのに、なぜかほっとする――『週末、森で』

           結婚、転職、出会い、別れ……人生ではさまざまな出来事が起こる。そして、多くの物語はそれを描いている。しかし、この本にもそれを期待したら、少し肩透かしをくらうかもしれない。  ネタバレになってしまうが、この本のなかでは、読者が期待するような怒涛の展開は起こらない。ただ淡々とささいな「日常」を描いているだけだ。  なのに、読んでいると癒されるのはなぜだろう? これが本当のスローライフ? 物語は、都会育ちの「早川さん」が、田舎暮らしをスタートさせたところからはじまる。  

          何も起こらないのに、なぜかほっとする――『週末、森で』

          本当の心の強さとは、つぶれる前に休めることだ――『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』

           「心を鍛える」「メンタルが強い」という表現がある。裏返すと、落ち込みやすかったりストレスに弱いのは本人の努力が足りない、という暗黙の了解があるような気がする。  では、心も筋肉みたいに鍛えられるのか? そうではない、というのが、自衛隊メンタル教官(今は退官している)の著者の考えだ。 「倒れる前に休ませる」ことの重要性 紛争地域や災害の被災地などに派遣される自衛隊の隊員たちは、何があってもへこたれない鋼のメンタルを持っている――ほとんどの人がそういう先入観を持っているので

          本当の心の強さとは、つぶれる前に休めることだ――『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』

          町田康、酒やめたってよ――『しらふで生きる』

           今年の正月はアルコールなしで過ごした。こんなの四半世紀ぶりだ。さぞ肝臓はびっくりしたことだろう。  理由は単純で、年末に気胸の手術を受け、退院したばかりだったからだ。痛み止めが手放せず、タクシーで実家に帰るような状態だったから、さすがに酒どころではなかった。  そこから数カ月経った今はさすがに解禁しているが、最近、むくむくと「酒をやめてはどうか」という気持ちが持ち上がってきた。  同じことを考えた人がいる。芥川賞作家の町田康さんだ。 酒は人生をプラスにするのか、とい

          町田康、酒やめたってよ――『しらふで生きる』

          毎日を見直すきっかけに――『丁寧に暮らしている暇はないけれど。』

           職場よりも家にいる時間が長くなると、どうしても家の「粗」が目に付くようになる。同じことを考える人は多いようで、片付けしてゴミを出す人が増えているとか。  でも、きれいに片付いた家も、維持できないと意味がない。そこで、「これから」の暮らし方を変えるきっかけとして、この本を紹介したい。 面倒くさがりで多忙でも、このツボをおさえておけばいい! 著者は、雑誌『暮らしのおへそ』(主婦と生活社)の編集ディレクターをしている一田憲子さん。素敵な人の料理やら洋服やらに日頃から接している

          毎日を見直すきっかけに――『丁寧に暮らしている暇はないけれど。』

          多様性を知るということ――『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

           編集やライターという仕事だから、さぞ本をたくさん読んでいると思われる。もちろんそうなのだが、それは資料本だったり、今進行中の本の校正紙(ゲラ)を何度も読む、といった仕事がらみのものが圧倒的に多い。  だから、読みたい本を思う存分読める時間は貴重! ということで、気胸の治療で入院することになったとき、ここぞとばかりに読みたい本を持って行った。その1冊がこの本だ。普段は紙派の私も、荷物をコンパクトにまとめたいため、今回は電子書籍である。 いい意味でカバーに裏切られるノンフィ

          多様性を知るということ――『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』