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気胸ジェンヌ誕生秘話⑤ーー気胸の名医の診断

 術後1カ月半を過ぎた頃、主治医に書いてもらった紹介状を手に、気胸の症例数が日本一多いといわれる世田谷の玉川病院を訪れた。

 初診は予約なしで順番に診るということだったので、かなり待たされると覚悟していたのだが、10分くらいでまずはレントゲンを撮るよう案内される。

 レントゲンから戻ると、ほどなく診察室に呼ばれる(ちなみに再発していなかった)。そうして気胸の名医といわれるT先生の診察がはじまった。

やっぱり月経随伴性気胸だった

 初診のT先生に、気胸の発見の経緯や手術の内容、そして月経随伴性気胸の可能性を指摘されるも、病理では子宮内膜組織が出なかったことを説明する。そんな状態でホルモン療法をするか迷っているので、主治医以外の先生の意見を聞きたいと思い、今日ここに来たことを話した。

 先生曰く、

「ブルーベリースポットがあったなら、月経随伴性気胸ですね。病理では出なかったというけど、うちの病院で調べれば(子宮内膜組織は)出ますよ」

 そのうえで、ホルモン治療は、やっている間はいいがやめると再発するのであまり意味がないこと、手術で癒着療法をおこなうと次の手術がやりにくいからおすすめしないことなどを丁寧に説明しつつ、気胸や月経随伴性気胸の資料を渡してくださった。

「次に再発したら手術です」。そして、生理の日付だけでなく、胸の痛みなどがあったときなどもメモしておいておくようにいわれる。これがいつ気胸が起きたかを知る参考になるそうだ。

 先生の迷いのない診断に、モヤモヤしていたものがすっきりした。「では、今度再発したら、こちらの病院に伺います」といい、診察室をあとにした。

再発予防のためにできることはあるのか

 気胸は原因不明と言われているが、T先生は気胸とストレスや睡眠不足が関係していることを指摘していた。確かに気胸が発覚する前の私は、輪をかけて仕事が忙しかった。

 だから再発予防のために、まずはストレスをためないこと。これに尽きる。

 そして、婦人科に関連した気胸ではあるものの、ホルモン治療をしないとなると、何か別のアプローチでできることはないかと考えてみた。

 前に取材した栄養医学の先生の話では、子宮内膜症には、血流をよくするビタミンEや、細胞の分化や増殖のかかわるビタミンAがいいということだった。まずはこれらのサプリメントをとってみよう。

 インターネットでは、漢方薬がいいという情報もあるようだ。いい漢方薬局を探して相談してみてもいいかもしれない。

意外に多い「原因不明の病気」

 かつてギランバレー症候群になったときに身をもって知ったことだが、現代医学をもってしても「原因不明の病気」というのは結構ある。

 もちろん、気胸の場合なら「肺の組織に穴が開くことで空気がもれる」というところまではわかっているけれど、なぜ穴が開くのか、そしてどうすれば防げるかというところまではわかっていない(タバコはよくないことはわかっているが、タバコを吸わない私にとってはやっぱり原因不明である)。

 だとすれば、再び病気になるのを手をこまねいて待っているのではなく、よさそうなことならなんでもやってみる、というのが私の考えだ。もちろん、あまりにお金がかかりすぎることや、あまりにも根拠がないものは除く。

 もう1つ、「原因不明」とされ、治療法が確立していない病気については、「どの病院にかかかるか(誰に診てもらうか)」というのも、結構重要だと思う(いずれ詳しく触れたいと思うが、私がギランバレー症候群になったときは、たまたま入院した病院で、当時はじまったばかりの「血漿交換」という治療法をおこない、劇的に回復した。違う病院だったら、こうはならなかったかもしれない)。

 もちろん、病院に行くのは待ったなしの状況もあるが、調べられるなら自分の病気の治療実績のある病院を探しておくのに越したことはない。この世にたった1つの大切な自分の体を、人任せにしてはいけないのだ。


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