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気胸ジェンヌ誕生秘話⑥――病院をハシゴする日々

 気胸の症例数が多い病院で、晴れて(?)月経随伴性気胸という診断を受け、次に私が訪れたのが、3年前に卵巣嚢腫と子宮筋腫の手術をした婦人科の病院だった。

 私の気胸は呼吸器と婦人科の両方に関係しているため(やれやれ)、一応婦人科の医師の話も聞いておきたかったのだ。

 年に1回、術後の診察に行っているのだが、ここでは婦人科検診も受けられるため、午前は診察、午後は検診ということにしている。一日仕事だ。

婦人科の医師の反応

 午前の診察は、手術をしてくれたベテラン医師。エコーで見たところ、卵巣も子宮も問題なしだった。そこで、医師に今回の件を報告する。

「実は年末に気胸になって手術したんですが、月経随伴性気胸と言われました」

 話を聞いた医師は、やはりホルモン治療を勧めてきた。ひと口にホルモン治療といっても、今はいろいろな種類のものがあるらしい。使用する薬の詳しいパンフレットをいくつか渡してくれた。「少し考えてみます」といって診察室をあとにする。

 会計を待つ間、それらの薬について調べてみたが、やはり副作用は避けられないようだ。いろいろとアドバイスしてくれた医師には申し訳ないが、お金をかけて、効くかどうかわからないホルモン治療を受ける気持ちには、どうしてもなれなかった。

 ちなみに午後の婦人科検診で担当した女性医師に、月経随伴性気胸と診断された話をしたところ、「症例では知っているけど、実際の患者さんに会うのははじめてです」と言われる。「婦人科の先生でもそうなのか!」とびっくりした。

町医者にレントゲンを頼む

 婦人科の診察から数日後、近所の町医者へ胃がん検診を受けに行く。市町村でやっている無料検診(胃カメラ)だ。実は気胸の手術前に予約していたのだが、術前ということで延期になった経緯がある。

 カルテを見た医師が気胸のことについてもいろいろと聞いてきたので、手術の内容も含めて詳しく説明する。

 この病院は町医者といっても、医師は二人いて、内科と外科をうたっている。胃カメラもあればレントゲンもある。そこで私は前から考えていたことを相談してみた。

「今後、肺の調子が気になるとき、ここでレントゲンを撮ってもらえませんか? そのたびに手術した大学病院に行くのも大変なので……」

 医師は「いいですよ」と二つ返事。気胸の確定診断にはレントゲンが欠かせないが、手術した大学病院も気胸の名医の病院も、遠いし混んでいる。その点この町医者は、以前診察してもらったときとても的確な診断をしてくれたし、患者さんがひっきりなしに訪れている様子からしても腕がいいことは間違いない。

 ここでレントゲンを撮ってもらって、何かあったら手術ができる大きい病院に行こう。それ以外にも、年に1回は健康診断でレントゲンを撮るから、それで経過を見ればいい。あとはホルモン療法以外で、肺や婦人科系にいいことをやっていこう。

 これが、いろいろな病院を訪れて、最終的に私が決めたことだった。

「終診」っていい響き!

 町医者を訪れてから2週間後、今度は再び手術した大学病院へ。目的は、紹介状を書いてもらった気胸の名医の診察の報告をするためだ。

 病理では何も出なかったということだが、月経随伴性気胸という診断をされたことを伝える。同じことを、先生は大学病院のほうにも手紙で伝えてくれていたようだ。担当医から、「もう一度病理に調べてもらって、何か出たら連絡します」と言われる(後日談:今のところ連絡なし)。

 そして私は、ホルモン治療はあまり効果がないと言われたこと、今後もし気になる症状があったら町医者でレントゲンを撮ってもらうので、何かあったら来ます、と医師に告げた。

「わかりました。では『終診』ということで」

 この「終診」という言葉、はじめて聞いた。無罪放免、もう病院に来なくていい、という意味だ。なんていい響きなんだろう!

「ありがとうございます! もうお世話にならないようにしますけど、何かあったときにはお願いします」と言って、診察室を出る。今後手術することになったときは、気胸の名医にお願いするつもりだけど、何かの事情でこちらの病院に来ることになるかもしれない。

 こうして私は、気胸に関連して、結局4つの病院を渡り歩いたことになる。術後から半年が過ぎたが、今のところ再発の兆候はない。

 次回は、「もしかして、これが肺が破れた瞬間!?」という自覚症状についてお話しよう。

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