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毎日を見直すきっかけに――『丁寧に暮らしている暇はないけれど。』

 職場よりも家にいる時間が長くなると、どうしても家の「粗」が目に付くようになる。同じことを考える人は多いようで、片付けしてゴミを出す人が増えているとか。

 でも、きれいに片付いた家も、維持できないと意味がない。そこで、「これから」の暮らし方を変えるきっかけとして、この本を紹介したい。

面倒くさがりで多忙でも、このツボをおさえておけばいい!

 著者は、雑誌『暮らしのおへそ』(主婦と生活社)の編集ディレクターをしている一田憲子さん。素敵な人の料理やら洋服やらに日頃から接している、いわば「暮らしの目利き」だ。

 さぞ素敵な生活を送っているのだろうと思いきや、「面倒くさがりでいつも時間に追われている」。あれ、私と同じ? 仕事で多忙な私は、冒頭からググッと心をつかまれた。

 この本は、掃除、片付け、料理、おしゃれなど、すべて完璧にこなそうとするのではなく、「ここだけやっとけばOK!」というツボを伝授してくれる。

 例えば、私も早速取り入れた、消毒用エタノール。料理したあと、シュッと一吹きすれば、ガスレンジについた油汚れがスッキリとれる。においもとれる。

 著者はゴミ箱の内側を拭いたり、冷蔵庫の中を拭いたりと、いろいろなところに活用しているとか(ただし、材質によっては使えない場所があるので要注意)。

 確かにスッキリ感が違う! これはいい! しかし最近はエタノールの品切れが続いていて、今自宅にあるストックが切れる前に入手できるかちょっと不安なのだけど……。

暮らしの「いいかげん」が見えてくる

 ほかにも、「(引き出しなどの)中は片付いていなくてOK」という発想は画期的だと思った。プロセスよりも、結果よければすべてよし! 例えば皺がきにならない靴下だったら、いちいちきれいに畳んで収納しなくたっていいのだ。

 同じように、毎日の食事の献立だってワンパターンでいい。服も特別おしゃれなものではなく、「普通の服」でいい。

 忙しい人は、「忙しい」というストレスだけでなく、「きちんとしなきゃ」というストレスも感じているのではないか。

 昔、片付け本をつくったとき、ある著者が言っていた。

「ブログとかインスタとかで自宅をアップしている人がいるけど、あれは見せるためにやってる部分もあると思う。いつもあの状態ではないだろうし、見せないところまではあんなにきれいにしていないはず」

 だから「あの人の家はあんなにきれいなのに、自分の家は……」と比べること自体が、そもそも無意味だというのだ。

「きちんとしなきゃ」と思うと、苦しくなる。私の場合、仕事は「きちんとしなきゃ」と思ってなんとかやっているけれど、家でもそれを続けるのはしんどい。仕事だけでなく子育てや介護など、何かを抱えている人も、きっと同じだと思う。

 だから、手を抜くところは抜いていいのだ。

 ただしそれも行き過ぎると、今度は暮らしがすさんでしまう。その「ちょうどいいかげん」を、この本は教えてくれる。









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