風邪を引きたくなってくる――『風邪の効用』
身近な病気である風邪だが、わざわざかかりたいと思う人はいないだろう。しかしこの本を読むと、「風邪ってすごい!」「風邪引きたい!」と思ってしまう。
なぜなら風邪を引くと、いろいろな「いいこと」がありそうだからだ。
整体的に見た風邪
この本は「風邪」を切り口にしているが、テーマは病気全般、つまりは健康について述べたものだ。
しかも著者は、野口整体の創始者である野口晴哉先生。整体というと、骨や筋肉にかかわること、つまり肩こりや腰痛などをメインに診るというイメージがあるが、「風邪」という内科系の病気について語っているところが、なんとも興味深い。
本の内容自体は、「胸椎5番」「腰椎1番」「体癖」などといった専門的な用語がところどころで出てくるため、読んですべてを理解することは難しいかもしれない。
それでも、温めることの効果、病気と潜在意識の関係など、西洋医学のアプローチとはまったく異なる視点で風邪について語られていて、目から鱗が落ちまくる。
風邪を利用して、体を整える
この本のなかでは、具体的な風邪の治し方も説明している。症状が出たら後頭部を温めるとか、お風呂にはこれくらいの温度で入れ、といったものだ。健康オタクとしては、読んでいるだけで試したくてうずうずしてくる。
しかも著者によると、風邪を引くと、体のクセや偏った疲労がリセットされるというではないか! これはぜひとも、風邪を引かなくてはならない。
しかし残念なことに、私はここ数年、風邪で寝込むことがほとんどなくなってしまった。理由は、これまで取材で教わった健康情報を実践してきたためだと思っている。
ちなみに、私の実践している風邪予防のポイントは以下の2つ。
1.外から戻ったら「うがい、手洗い」
いまや「うがい、手洗い」は当たり前となっているが、私はもともと出勤時、帰宅時はうがい、手洗いを徹底していた。そして冬場でもマスクなしで過ごしていた。
ウイルスをマスクでどれだけ防げるかというのはよく議論になるが(人に感染させないというのは別として)、それよりも「うがい、手洗い」のほうが確実だ、と取材した内科医に教えてもらったからだ。
2.食事の「前」に歯を磨く
朝起きたら歯を磨く。これも誰もがやっていることだ。しかし、私が磨くのは食事の「前」。
このとき、歯磨き粉はつけなくていい。歯ブラシを水で濡らして歯を磨き、口をゆすぐ。食事をするのはそのあとだ(もちろん食後も歯を磨く)。
なぜかというと、口の中、特に朝起きたときの口の中には菌が多いからだ。こうした菌が誤って肺に行ってしまえば誤嚥性肺炎になる。だから、食事の前に歯磨きで菌を取り除くことが重要になってくる。これは歯科医の先生情報。
とはいえ、野口先生によると、体が鈍くて風邪を引かない人もいるという。もしかして、そちらの理由だったりして……。
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