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JW601 産まれてない

【垂仁経綸編】エピソード23 産まれてない


第十一代天皇、垂仁すいにん天皇てんのう御世みよ

西暦10年、皇紀こうき670年(垂仁天皇39)10月。

ここは、纏向珠城宮まきむくのたまき・のみや

地図(纏向珠城宮)

垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊いくめいりひこいさち・のみこと(以下、イク)は、大連おおむらじや五人の大夫たいふ、そして、皇子みこ五十瓊敷入彦いにしきいりひこ(以下、ニッシー)と共に、驚きの声を上げていた。

人物一覧表(大連、大夫たち)
系図(ニッシー)

一柱ひとはしらの神が降臨こうりんし、神託しんたくくだしたのである。 

神「一千口ちふりつるぎ石上いそのかみ神宮じんぐうおさめなさい。春日かすがおみ市河いちかわもうものに納めさせなさい。」 

石上神宮(鳥居)
石上神宮(拝殿)

イク「えっ?」 

ニッシー「ちょっと! どういうこと?」 

神「以上!」 

そう言うと、神は消え去った。 

イク「か・・・春日かすがおみ市河いちかわなんて、聞いたことないんだけど・・・。」 

ニッシー「えっ?」 

するとそこに「くにお」の息子、和珥わにおみ大口納おおくたみ(以下、オクタン)がやって来た。 

系図(和珥氏:オクタン)

オクタン「大王おおきみ! おつたえせねば、ならぬことが、ござりまする。」 

くにお「おお! 『オクタン』か? 如何いかがいたしたのじゃ?」 

オクタン「父上も、聞いてくだされ。春日かすがおみ市河いちかわもうもの・・・。拙者せっしゃ曾孫ひまごにござりまする。」 

一同「ええぇぇ!!」×8 

ニッシー「そ・・・それじゃあ、石上いそのかみ神宮じんぐうおさめることが出来できないよね?」 

オクタン「そういうことに、なりまする。」 

ニック「大王おおきみ? どうなされますのや?」 

イク「よし! こうなったら、無視する。」 

武日たけひ「そんげコツして、ええんか良いのか?」 

ちね「せやけど、まだ、産まれてないんやで?」 

ニック「せやっ。それに、神託しんたくくだりは『日本書紀にほんしょき』の別伝べつでんや。本文やないんやからではないんだから、無視しても、ええやろ?」 

オーカ「とにかく、納めておけば、文句を言われないのでは?」 

カーケ「それがしも、そう思うんだぜ。納めておくべきなんだぜ。」 

イク「よし! じゃあ、納めるだけでも、やっておこう。では『ニッシー』!」 

ニッシー「えっ? なに?」 

イク「『ニッシー』に、石上いそのかみ神宮じんぐう神宝しんぽうあずかるつとめをあたえる。はげむように!」 

ニッシー「ええぇぇ!! そうなっちゃうの?! そんなことしたら、いくさに行けなくなっちゃうんだけど!」 

イク「これは『日本書紀にほんしょき』の本文に、書かれたことなんだ。だから、ちゃんと、受けてもらうよ。」 

ニッシー「わ・・・かりました・・・(´;ω;`)ウッ…。」 

ちね「ところで、皇子みこ? 石上いそのかみ神宮じんぐうが、何処どこ鎮座ちんざしてるか、知ってますか?」 

ニッシー「えっ? 何処どこなの?」 

ちね「しゃぁないなぁしかたないなぁ。ほな、解説しましょか。」 

ニック「奈良県ならけん天理市てんりし布留町ふるちょうに鎮座してるんやで。」 

地図(石上神宮)

くにお「たしか、エピソード34で、武甕雷神たけみかづちのかみが、初代、神武じんむ天皇てんのうに贈られた神剣、韴霊ふつのみたままつやしろであったな?」 

ニック「せやで! エピソード70以来、物部もののべ一族いちぞくまつってたんやけど、エピソード264で、石上邑いそのかみ・のむらうつしたんや。」 

ニッシー「それが、今の石上いそのかみ神宮じんぐうなんだね?」 

ちね「せやっ。」 

武日たけひ「ちなみに、遷座せんざされた年は、紀元前91年、皇紀こうき570年(崇神天皇7)やじ。」 

ちね「補足説明、おおきに。」 

カーケ「それだけではないんだぜ。」 

ニック「その通り! 物部氏もののべ・しの御先祖様、饒速日命にぎはやひ・のみことが、高天原たかまのはらから持って来た、天璽あまつしるしも共におさめてるんやで。」 

ニッシー「す・・・すごい・・・。」 

イク「そういうことで『ニッシー』・・・。よろしく頼むよ。」 

ニッシー「かりました!」 

こうして「ニッシー」が、石上いそのかみ神宮じんぐう神宝しんぽうを管理することになったのであった。

それから、しばらくの時が流れ・・・。

西暦14年、皇紀こうき674年(垂仁天皇43)となった。

ここは、針間国はりま・のくに(現在の兵庫県南部)。

地図(針間国)

日嗣皇子ひつぎのみこ大足彦忍代別尊おおたらしひこおしろわけ・のみこと(以下、シロ)は、若日子建吉備津日子わかひこたけ・きびつひこ(以下、タケ)の屋敷をおとずれていた。 

系図(シロ、タケ)

シロ「タケ先生。今年、海の向こうで、なにやら、恐ろしいことが有ったと、およびもうしたが、御存知ごぞんじにござりまするか?」 

タケ「うむ。秋津洲あきつしまの者が、海をわたった話であろう?」 

シロ「左様さようにござりまする。」 

海を渡ったとは? 

次回につづく

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