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JW314 美保神社参拝

【丹波平定編】エピソード21 美保神社参拝


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

出雲(いずも)へ戦勝報告に訪れた、彦坐王(ひこいます・のきみ)(以下、イマス)の一行。

同行するのは「イマス」の息子にして、四道将軍(しどうしょうぐん)の丹波道主王(たにわのみちぬし・のきみ)(以下、ミッチー)。

そして、黄沼前来日(きぬさき・の・くるひ)(以下、クール)である。

一行は、出雲君(いずものきみ)の息子、飯入根(いいいりね)を先導(せんどう)に迎え、美保神社(みほじんじゃ)目指し、船路を急ぐのであった。

系図(イマス、ミッチー)
系図(飯入根)
地図(美保神社へ)

クール「それにしても、宍道湖(しんじこ)っちゅうのは、大きな湖だわいや。」

飯入根「太古の昔は、海とつながっていたのですぞ。されど、だんだんと砂が陸(おか)となり、海を塞(ふさ)いでしまいましてな・・・。ついには、湖となりもうした。」

地図(太古の昔)

ミッチー「す・・・砂が溜(た)まっていったと?」

飯入根「左様。それゆえ、大きな港が失われたのでござる。」

イマス「今よりも大きな港が有ったと?」

飯入根「左様。これから向かう、中海(なかうみ)も、かつては、海とつながっておりもうした。されど、今は、砂洲(さす)が、海を塞いでいるのでござる。」

ミッチー「そのようなことになっていたとは・・・。海とつながっておれば、交易が盛んになるものを・・・。」

飯入根「その通り・・・。奈良時代には、海水面が上昇し、再び海とつながるようですが、我(われ)らの時代は、湖となっており、交通の便は容易(たやす)うござりませぬ。」

イマス「時代によって、海水面が変化すると、作者から聞いておったが、ここまで様変わりするのか・・・。」

飯入根「出雲の国力が弱まっているのも、ひとえに、この海水面の変化によるものにござる。」

そんな解説をしている間に、一行は、美保神社に到着したのであった。

ミッチー「ここが、美保神社にござりまするか?」

飯入根「左様にござりまする。祭神は、えびす神となっておりまする。」

イマス「右手に釣り竿、左脇に鯛を抱えた、商(あきな)いの神様にござるな?」

飯入根「左様にござりまする。」

美保神社(神門と拝殿)

クール「ところで『えびす様』には、いろんな神様の説が有ると聞いたっちゃ。この神社では、どっちの『えびす様』を祀(まつ)っとるんかいや?」

ミッチー「どっちとは、どういうことじゃ?」

クール「エピソード114で紹介されとりますが、事代主神(ことしろぬしのかみ)や、蛭子神(ひるこ・のかみ)、少彦名命(すくなひこな・のみこと)、山幸彦(やまさちひこ)など・・・。諸説有るんだわいや。」

ミッチー「そ・・・そんなに?!」

飯入根「たしかに、多くの説が有る神様なれど『クール』殿? ここは出雲にござりまするぞ。」

イマス「なるほど・・・。こちらでは、事代主神を祀っておられるのじゃな?」

飯入根「その通りにござりまする。事代主神は、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)の息子にござりますれば・・・。」

クール「そうだったわいや! 忘れとったわいや!」

飯入根「されど、事代主神だけではないのですぞ。」

クール「えっ? 他にも居(お)るんかいや?」

飯入根「大国主大神の妃、三穂津姫命(みほつひめ・のみこと)が祀られておるのです。」

イマス「大国主様の妃? さすれば、事代主神の母神(ははがみ)にござりまするか?」

飯入根「それが違うのです。」

ミッチー「で・・・では、なにゆえ?」

飯入根「これぞ・・・・・・ロマンにござるな。」

クール「出たぁぁ! ロマンっ。」

飯入根「致し方ござらぬ。分からぬモノを語ることは能(あた)いませぬゆえ・・・」

イマス「ところで、鎮座地(ちんざち)は、二千年後の地名で、どこになりまする?」

飯入根「島根県松江市(まつえし)の美保関町(みほのせきちょう)は美保関(みほのせき)にござる。」

地図(美保神社)

ミッチー「海の傍(そば)に鎮座しておるのですなぁ。」

飯入根「江戸時代には、出雲大社(いづもおおやしろ)だけの参拝では、片詣(かたまいり)と言われ、両社を共に祀るのが流行ったそうですぞ。」

イマス「では、美保神社への参拝も済(す)みもうしたし、我(われ)らは、これにて御免仕(ごめん・つかまつ)る。」

飯入根「もう帰られるのですか?」

イマス「帰り道においても、いろいろと伝承が残っておりますゆえ・・・。」

クール「ええぇぇ! 帰りも、何か有るんかいや!?」

ミッチー「大きな鮑(あわび)が、何か『しでかす』のやも、しれんぞ!」

クール「つつがなく帰れますようにぃぃ!」

こうして「イマス」たちは帰路に就いたのであった。

一方、案内をした飯入根は、出雲君の世毛呂須(よけろす)(以下、ケロロ)に報告をおこなっていた。

飯入根「夜麻登(やまと)の一行が、お帰りになられもうした。」

ケロロ「そげか・・・。務め、大儀であった。」

するとそこに「ケロロ」の息子にして、飯入根の兄、振根(ふるね)が飛び込んで来た。

系図(ケロロと振根)

振根「父上ぇぇ! これは、どういうことだっちゃ!」

ケロロ「おお・・・振根か・・・。どげした?」

振根「わしが狩りに行っとる間、夜麻登の奴原(やつばら)が来訪しとったとか?!」

ケロロ「うむ。そげだ・・・。」

振根「そ・・・それも、出雲大社と美保神社の参拝を許したと聞きましたが、まことですか?」

ケロロ「まことだに。」

振根「父上ぇぇ! それが、何を意味するか、分かっとるんですか?!」

ケロロ「振根よ・・・。汝(なれ)が言いたいことは、よう分かっとる。」

一体、何を意味するのであろうか・・・。

次回につづく

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