JW581 物具を捧げよ
【垂仁経綸編】エピソード3 物具を捧げよ
第十一代天皇、垂仁天皇の御世。
紀元前3年、皇紀658年(垂仁天皇27)8月7日。
ここは、纏向珠城宮。
垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊(以下、イク)は、祭祀官の中臣大鹿島(以下、オーカ)を呼び出していた。
オーカ「大王? 如何なされました?」
イク「うん。ちょっと占って欲しいんだよね。」
オーカ「占う?」
するとここで、大連の物部大新河(以下、ニック)が口を開いた。
ニック「物具を神々への幣としても、ええのか、占って欲しいんや。」
オーカ「えっ? 武器を、神への御供え物にすると申されますのか?」
イク「そうだよ。武器の生産技術は、年々、進歩している。特に、鉄製の武器は、高価な物として、扱われているよね?」
ニック「せやから、御供え物にもなるんやないかと、思うたんや。」
オーカ「は・・・はぁ・・・。とにかく、占ってみますぅ。」
こうして、占われたところ・・・。
オーカ「こんなん出ましたけどぉ。」
イク「とうとう出たね。」
オーカ「・・・吉し。」
ニック「ほうかぁ、せやったら、弓矢と横刀を、諸々の社に納めるでぇ。」
オーカ「かしこまりました。」
イク「それから、神地と神戸も定めよう。そして、季節ごとに祀らせるんだ。」
オーカ「かしこまりました。ちなみに、神地は、供物となる収穫物を育てる土地、神戸は、神に仕える者たちのことにあらしゃいます。」
ニック「たぶん、物具を御供え物にしたんは、これが初めてやと思うでぇ。」
イク「えっ? そうなの?」
ニック「わても、よう分かりまへんけど『日本書紀』に、そう書かれてるんですわ。」
イク「そういうことなら、仕方ないね。」
とにもかくにも、武器が、御供え物となったのであった。
その翌月・・・。
ここで舞台は、伊勢に移る。
倭姫(以下、ワッコ)と従者たちは、不眠症に陥りそうになっていた。
ワッコ「い・・・いつになれば、鳴き止むのじゃ・・・。」
市主「御杖代・・・。もう、堪えられませぬ。」
おしん「いつからだべ? 鳥が、やって来て、鳴き出したのは?」
インカ「いつからであったか、その辺は『倭姫命世記』に書かれておらぬが、甲高い声で、昼も夜も鳴き続けたと書かれておるのう・・・。」
ねな「かなりの音量よね?」
アララ「あらら・・・。いつまで、続くのやら・・・。」
カット「と・・・とにかく、この騒がしい鳥を、なんとか、せねば・・・。」
ワッコ「そうじゃな・・・。よし! 『ワクワクさん』と『キーマ』よ!」
ワクワク「何だい?」
キーマ「お初にお目にかかりまする。初登場の紀麻良こと『キーマ』にござる。」
乙若「ここで、いきなり登場する、舎人じゃな?」
キーマ「左様。いきなりステーキならぬ、いきなり舎人にござる。」
ワッコ「と・・・とにかく、二人は、鳥が、何処で鳴いておるのか、見て参れ。」
ワクワク「分かったよ。ついでに、弟も連れて行くよ。」
ワッコ「弟? 汝には、弟がおったのか?」
ワクワク「何、言ってるの? ずっと前から、出演してるでしょ?」
ねな「えっ? どこで?」
ワクワク「乙若だよ。」
一同「えぇぇぇぇ!!」×8
乙若「騙していたわけでは、ありませぬぞ・・・。」
おしん「でもよぉ? 乙若は、いつも『ワクワクさん』と呼んで、兄上とは、呼んでなかったぞ?」
乙若「兄が『ワクワクさん』と呼べと、うるさいゆえ・・・。」
ワクワク「うるさいって、そんな言い方しなくてもいいでしょ!? プンプン!」
ワッコ「と・・・とにかく、鳴いている理由も調べて参れ。」
ワクワク・キーマ・乙若「かしこまりました。」×3
こうして、三人は、鳥の居場所を探し求めた。
そして・・・。
キーマ「あっ! あちらに、鳥が居りますぞ! 真っ白な真鶴にござりまするな・・・。」
乙若「あっ! 飛び立ちましたぞ!」
ワクワク「これは、追い駆けろってことだね。見失っちゃダメだよ!」
飛んでいく真鶴。
追い駆ける一行。
一体、どこへ向かうのであろうか?
次回につづく
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