JW340 温羅のすべて
【桃太郎編】エピソード10 温羅のすべて
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
吉備(きび:現在の岡山県と広島県東部)では、温羅(うら)が暴れまわっていた。
鎮圧の使命を受けたのは、彦五十狭芹彦(ひこいさせりひこ)(以下、芹彦)と稚武彦(わかたけひこ)(以下、タケ)。
一行は、吉備中山(きびのなかやま)の山頂に陣を敷いた。
そして、軍議をおこなうのであった。
参加者は、下記の通り。
芹彦の家来、犬飼建(いぬかいたける)(以下、犬)と留玉臣(とめたまおみ)(以下、トメ)。
吉備の住人、ジョン。
ジョンの妻、ヨーコ。
二人の息子、ジュリアンとショーン。
タケの息子、武彦(たけひこ)(以下、たっちゃん)。
高田県主(たかだ・の・あがたぬし)の楽楽森彦(ささもりひこ)(以下、サモリ)。
サモリの娘、高田姫(たかだひめ)(以下、たか)。
日差(ひさし)の住民、夜目主(やめのぬし)(以下、ヤメ父)と夜目丸(やめまる)(以下、ヤメ子)の父子である。
タケ「とりあえず、温羅について『おさらい』しようぞ。」
芹彦「忘れている読者のためじゃな?」
タケ「その通りじゃ。」
トメ「ええ・・・。では、まず、温羅についてですが、百済(くだら)の王子様です。」
ジョン「百済は、半島に有る国だな。」
サモリ「他にも、王丹(おに)という弟がいるみたいですねぇ。」
犬「つづいては、温羅が重ねている悪行についてじゃが、これが酷(ひど)い話でな・・・。」
ジュリアン「西国からヤマトに向かう船を襲っとるんじゃ。」
ショーン「品物を奪うだけじゃのうて、オナゴ(女)も攫(さら)って行きよるんじゃ!」
たか「真に、恐ろしいことですね。」
ヤメ父「それだけじゃのうて、鬼ヶ嶽(おにがたけ)に陣取って、その道を通る者たちからも、物を奪っとるみたいじゃ。」
たっちゃん「陣を設(もう)けておるのは、そこだけか?」
ヤメ子「いやいや、他にも有る。吉備中山からも見える、あの城を見てみぃ!」
タケ・芹彦・一同「あっ!」×多数
芹彦「と・・・とてつもない大きさの城ではないかっ!」
ジョン「あれが、鬼ノ城(きのじょう)だ。地元の者は、城が有る山を鬼城山(きのじょうさん)と呼んでるぜ。」
タケ「温羅の根城(ねじろ)は、その二つか?」
ヨーコ「すぐ近くの新山(にいやま)にも砦(とりで)が有るみたい。総社市黒尾(そうじゃし・くろお)には、温羅が使っていたという『鬼の釜』が、二千年後にも残ってるのよ。」
たか「それだけではありませぬ。鬼ノ城の背後に有る、総社市の奥坂(おくさか)に有る、岩屋山(いわややま)には、住居が有りまする。『鬼の差上げ岩』と言われておりまする。」
芹彦「と・・・とにかく、鬼ノ城の一帯を根城にしておるわけじゃな・・・。」
驚きを隠さず、唸(うな)る芹彦。
するとそのとき、矢が飛んできた。
芹彦「なっ!? なんじゃ!? 矢が飛んできたぞ!」
山頂に飛来する矢。
これはいったい?
次回につづく
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