JW333 豊穣を願って
【桃太郎編】エピソード3 豊穣を願って
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
彦五十狭芹彦(ひこいさせりひこ)(以下、芹彦)と稚武彦(わかたけひこ)(以下、タケ)は、吉備(きび:現在の岡山県と広島県東部)に向けて進軍していた。
付き従う者は下記の通り。
芹彦の家来、犬飼建(いぬかいたける)(以下、犬)と留玉臣(とめたまおみ)(以下、トメ)。
それから、タケの息子、武彦(たけひこ)(以下、たっちゃん)である。
さて、ここで、タケが、ある提案をしたことにしようと思う。
タケ「・・・ということで、軍を二手(ふたて)に分けることにした。私と『たっちゃん』は陸(おか)の道を、芹彦たちは海の道を行け。」
芹彦「なんじゃと!? 海の道では、危ない目に遭(あ)わぬではないかっ! 汝(なれ)が海の道を行け!」
タケ「芹彦? 海が危なくないと? 海賊や嵐が待ち受けておるやもしれぬのじゃぞ?」
芹彦「海賊? 嵐? う・・・腕がなる! よし! 海の道に参ろうぞ!」
犬「さすがは皇子(みこ)! 自ら死地(しち)に飛び込まれるとは!」
トメ「やっぱり、そうじゃないとダメですよね!」
たっちゃん「ど・・・どういう基準なのか分からぬ・・・。」
とにもかくにも、軍は、二手に分かれたのであった。
さて、まずは、タケたちの動向を辿(たど)ることにしたい。
タケ「・・・ということで、吉備に入ったぞ。」
たっちゃん「入ったは良いものの、これより如何(いかが)なされるのです?」
タケ「うむ。五穀豊穣(ごこくほうじょう)を願い、味耜高彦根命(あじすきたかひこね・のみこと)を祀(まつ)ろうと思う。」
たっちゃん「たしか、先ジャパンウォーズのエピソード16に登場した、死人に間違われ、御怒りになられた神様ですな? 農業の神で、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)の御子神(みこがみ)だったと思いまするが・・・。」
タケ「その通りじゃ。して、神を祀ったことにより、社(やしろ)が建ったぞ。」
たっちゃん「なんと言う社にござりまするか?」
タケ「その名も、片山神社(かたやまじんじゃ)じゃ。鎮座地(ちんざち)は、岡山県赤磐市由津里(あかいわし・ゆづり)じゃ。」
たっちゃん「当然、創建は、紀元前88年、皇紀573年(崇神天皇10)にござりまするな?」
タケ「いや、社伝によると、紀元前219年、皇紀442年(孝霊天皇72)となっておるぞ。」
たっちゃん「なっ?! 『古事記(こじき)』の年代が採(と)られておるのですか?」
タケ「まあ、古ければ、古いほど、有難味(ありがたみ)も増すというモノよ。」
たっちゃん「そ・・・そういうモノなのですか?」
怪訝(けげん)な顔を隠さず、首を傾(かし)げる「たっちゃん」。
そこへ、地元の民が駆け寄ってきた。
地元の民(い)「もしや? 汝(いまし)が、稚武彦様にござりまするか?」
一体、何事であろうか?
次回につづく
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