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だまされたと思って、明日の夜からクツを磨いてみてほしい。

なぜなら真に信頼できる人は、
靴が綺麗な人が多いから。

成功者から人生に関するアドバイスを聞くと「靴には気を遣いなさい」とよく言われる。

誰かが書いた自己啓発本を読んでも、狂ったように「靴に気を遣いなさい」と書いてある。

親戚の中に「あのおばあちゃんは品があって良いこと言うんだよね」という謎のおばあちゃんがたまにいるでしょう。私にはいないけど。そのおばあちゃんも「いいかい、靴には気を遣うんだよ。靴で人が分かるから」と言ってきそうだ。そんなこと言われたことないけど。そんな親戚のおばあちゃんがいる人がうらやましいよ、あたしゃ。


靴には品性が出る、とズバリ思われる。


どんなに美しい腕時計をしていても、どれだけ体にフィットしたスーツを着こなしていても、どれだけ眉毛の手入れが行き届いていても、その足元にある靴を見た瞬間、興ざめすることがままある。

「マジかよ、靴が汚いじゃねーか」

やっぱり靴を確認しちゃう。


もしも私が女性だとしよう。マッチングアプリでいい感じの男性に会うことになった場面を想像してみる。

初対面の彼からダイニング風の居酒屋を指定されて行ってみると、彼はすでに席に座っていて洒脱だけど嫌味のないスーツを着こなしている。

身長が181cmらしいが座っているので分からない(早く確認したい!)。顔は写真の通りの塩顔でテンションも上がる。

さらに彼は話を聞くのもお上手で、私の話すことを否定することもない。家族構成を聞くとなんと次男だというではないか!

「これはアタリなんじゃない?
 キョーコに報告しなきゃ」

なんて思いながら食事は終わって、
お会計に向かう。


彼は「ここは私が出しますから次回お願いしますね」なーんて上級者的な感じで言ってきて「えっ、次回もあるんすか!?」と嬉しさを押し殺しつつ、警戒も怠らない。私が女性ならそう思う。


で、思い出す。
親戚の謎のおばあちゃんが言ってたことを。

「いいかい、靴には気を遣うんだよ。
 靴で人が分かるから」

この言葉が頭の中にリフレインするんだ。
だから最後に確認してみる。

彼の靴はどうだろう?
ちらっと見てみる。





「おい!汚ねーじゃねーか!!!」

千年の恋も冷める瞬間である。
キョーコに報告だ。



思うに、意識が向く最後の場所が足元だろう。だから、そこまで気が回るか、気を遣えるかに品性が現れるからこそ「靴は大事だよ」ということなんだろう。


かくいう私はどうか、というと、そりゃあこんなとりとめのない記事を書くぐらいだから、一応靴には気を遣っている。一応。

「ストレートチップ」の黒の革靴、自分のお気に入りの形とメーカーがあるので全く同じモデルを4足持っている。それを毎日ローテーションで履いている。オホホ、である。

もちろん、毎日靴を磨いている。毎日。ほこりや汚れをふき取って、クリームを染み込ませて、光沢が出るまで磨く。だからいつだって靴はピカピカ。


以前、友だちと待ち合わせて札幌のススキノの居酒屋に向かって歩いていたところ、その友だちに肩を叩かれて声をかけられた。


「やっぱり〇〇だ。やたら靴が綺麗なビジネスマンがいるなと思ったら、やっぱり君だったよ」


自尊心。保たれる。
友だち、ありがと。



なんとなく靴を大切にしてきた私だが「より一層、靴たちを大切にしようと思ったエピソード」があるので、それを紹介してこの記事を終わりたい。


ある日、いつものように自宅に帰った私は、玄関で靴を磨いていた。すると妻がヒョコヒョコ来て、こう言い放った。


「うん、感心カンシン!いいぞいいぞ!その靴があなたを次のステージに連れて行ってくれるからね!大事にするんやで!」




(え、たしかに)と思った。

そうだ、この靴たちが私を次のステージに連れて行ってくれるんだ。シンデレラだってそうだったじゃないか。あのガラスの靴がシンデレラを舞踏会に連れて行ってくれたではないか。



靴が私を次のステージに連れて行ってくれる。


他人からどう評価されるか?だけに目を向けて靴を綺麗に保ってきた私だったが、この妻からの一言によって靴たちを愛しく思えるようになった。

「お疲れ、そして頼むぜ相棒たち、
 俺を次のステージに連れて行っておくれ」


いつもそう思いながら私は靴を磨くのだ。


小さな頃から「物を大切にしなさい」と誰もが親に言われてきたことだろう。しかし、その理由を語れるだろうか?「なぜ物を大切にしなければいけないのか」を語れる人は少ないように思われる。


どうか靴を大切にしてあげてほしい。
靴は私たちを次のステージに
連れて行ってくれるから。


この記事で一番言いたかったことはこれだ。


これを読んでくださった人たちが、より豊かなステージに進めることを祈って、今記事を結びたい。


ではまた。


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