ギリシャのキオス島からトルコに上陸
この長い旅も徐々に終わりが近づいてきました。
1ヶ月も旅をし続けるのは僕にとって初めて。
昔からひとり旅が大好きだったけれど、長くやっていると疲労も溜まってくるし、なんとなく寂しい気持ちも出てきます。
根っからの飽き性で、ずっと同じ場所にはいられない僕にとって、旅はそういったモヤモヤを感じない時間ではあるものの、それでも長くやっているとその状況にも飽きてしまいそうになる自分がいました。
異国にいるという「非日常」を「日常」と捉えてしまうと、もうそれは旅行ではないし、ワクワクするものでもなくなってしまいます。
あと1週間と、残りも短くなってきたので、改めて初心を忘れずに今という時を楽しみたいと思います。
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キオス島という島
昨日、僕はギリシャのキオス島(Chios)を出発し、トルコのイズミル(İzmir)に向かいました。
ギリシャとトルコはどちらも長い歴史を持ち、王国や帝国を築いてきました。そんな背景から、現在でも両国はそこまで良好な関係とは言えません。
そのため、エーゲ海を挟んで対岸に向かうのにも、少々面倒です。
当初は、ギリシャのアテネからトルコのイズミルに直接向かいたかったものの、直通フェリーが存在しなかったため、キオス島に一度立ち寄ることにしました。
キオス島を選んだ理由は、ずばりトルコに行けるから。
エーゲ海の島々の中でも、極めてトルコに近い位置にあり、調べていく中で、キオス島からトルコのチェシュメ(Çeşme)へのフェリーが出ていることを発見しました。
そのため、アテネからイズミルに向かうのに、キオス島を経由することにしました。
キオス島は今から200年前、ギリシャ独立戦争の舞台となった重々しい歴史があるものの、現在はとても穏やかなのんびりした島でした。
そんな島でリラックスした時間を過ごしてから、トルコに向かいました。
今回もネットでフェリーのチケットを予約しました。
ギリシャとトルコには1時間の時差があるため、計算したところ実際の航行時間はわずか40分でした。
たしかにキオス島から対岸のトルコは肉眼でもよく見えるため、これだけの時間で到着することは納得できます。
ただ、地味に値段は高く、国境を越えるとは、そういうことなのだと思いました。
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キオス島を出発
アテネからキオス島に向かうフェリーでは、搭乗がギリギリになってしまったので、その反省として今回は早めに着くように向かいました。
15:30を少し過ぎた頃、荷物を持ってフェリー乗り場に着きました。
キオス港は、海に突き出した半島のような場所にあり、強風に煽られながらもなんとかスーツケースを引っ張って向かいました。
まずは出国検査場に向かいます。ここは、周りを海に囲まれて、ぽつんと立つ小屋です。
中に入ると、まるで町医者の待合室かのような小さな部屋でした。何人かの人が座っていたからここで合っているとは思ったものの、ずいぶん簡素です。
ここがイミグレなの?
今まで何度も国境を越えてきた僕ですが、こんな小さなイミグレは初めてでした。一応、ゲートは存在しますが、係員のような人は誰もいませんでした。
「まだパスポートコントロールが始まっていないから、待っている。」
近くにいたロシア人にそう言われて、僕もベンチで待機します。
16時、何人かの係員が来て、出国検査が始まりました。みんな、私服です。ずいぶんとラフな格好でした。
僕の番になると、パスポートを入念にチェックされました。
前回の出国時も同じように入念にチェックされたため、ギリシャはなかなかに厳しい国だと感じました。EUという事情もあるのでしょう。
これまでのEUへの入国について聞かれ、パスポートのスタンプをベースに話しました。でも、今までのイミグレの人たちはスタンプの上にスタンプを押すので、見てもよくわかりません。
なんとか説明できて、やっと出国できました。小さなイミグレでも、国境は甘くはないと思いました。
全イミグレ職員さんよ、スタンプはちゃんと見えるように押してくれ。
外に出ると目の前にフェリーが停泊していたので、そのままスーツケースを引っ張って向かいます。
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フェリー
フェリーに乗る際に、スタッフに名前を聞かれました。答えると、スタッフはスマホを開いて僕の名前を確認します。
「OK!」
元気よく答え、フェリーに乗り込みました。オンラインチケットは見せなくても良かったみたいです。
車が何台か乗り込めるものの、小さなフェリーでした。
階段で2階に上がると、そこは客席で、荷物を置いて休憩しました。全席自由席で、このフェリー自体に個室などの優等席は存在しませんでした。
3階に上がると外のデッキでした。とても眺めは良かったものの、風が強かったため、すぐに退散。それからはずっと屋内の客席で過ごしていました。
徐々に人が増えてきます。さっきの待合室には10人もいなかったのに、結果的に50人くらいはいたと思います。ギリシャ人の年配の人が多い印象を受けました。
お喋りしている人たち、突然歌い出す人、横になって寝ている人、いろんな人がいました。
時間通りにフェリーは出発。エーゲ海をのんびりと進んでいきます。
船はあまり大きく揺れることがなく、快適でした。
僕はスマホでKindleを読みながら、この時間を過ごします。もちろん、船内にはWi-Fiはありません。
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チェシュメに到着
出発から50分で対岸のチェシュメに到着しました。10分遅れたものの、1時間かからないあっと言う間の船旅でした。
スマホの時計を直してから、フェリーを降り、みんなが歩いていく方向に向かいます。その先にはイミグレがありました。
先ほどのキオス島の簡易的すぎるものとは異なり、チェシュメのイミグレはちゃんとした施設でした。
入国検査の列に並びます。他のフェリーの時間とかぶっていたのか、人が多く、20分くらいは並んでいたと思います。
自分の番になりました。トルコの入国はとてもスムーズでした。
特に何か言われることなく、スタンプを押されて終了。良かった。
この旅では、これまで何度も国境を越えてきたけれど、これが最後の入国です。そう思うと、少し寂しい気持ちも出てきました。
イミグレを出るともう道路でした。ここから、トルコ語で「オトガル」と呼ぶバスターミナルに向かいます。
事前に場所を調べていたので、その方向に向かって歩いていきます。
今日も天気は良く、徐々に傾いていく夕日に照らされて、街自体が美しく輝いているように見えました。時刻は18:45。少し前にいた国々では、この時間ですでに真っ暗だったため、不思議な気分です。
この街はオスマン帝国の貿易拠点という歴史があるため、遺跡もあります。加えて、リゾート開発されたことから、観光客も多く訪れる場所です。
本当はチェシュメの街も見たかったけれど、今回は時間の都合もあるため、残念ながらスルーすることにしました。
フェリーの中で、スーツケースを確認したところ、壊れていたタイヤの部分がかなり限界に近くなっていました。加えて、壊れているものと別のタイヤもかなり壊れかかっていました。
強い衝撃が加わるとすぐに外れてしまいそうな脆い状況に焦りながら、道を歩いていきます。そのため、オトガルまでわずか1kmの距離だったものの、大変な苦労でした。
なんとかオトガルに到着し、カウンターでイズミル行きのバスチケットを購入します。価格は70リラ(500円)でした。安い。
バスに乗り込むと、ちょうど19時になったこともありすぐに出発しました。このままイズミルに向かいます。
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イズミルに到着
徐々に空は暗くなっていきます。薄暮の空はとても綺麗です。
帰ったあと、どうしよう。
外の様子を見ながら、僕はいろんなことを考えていました。
日本に帰国した後、僕は転職活動を始めます。これからの不安定さに怯えている自分もいます。
ただ、やってみないとどうなるかわかりません。心折れないように、少しでも楽観的に務められるようにしたいものです。
1時間ちょっとでバスはイズミルに到着しました。イズミルはオトガルが郊外にあるため、バスは市街地にも停車してくれます。
降りたのは、市内西部のファフレティン・アルタイ広場でした。地図を見ると、すぐ近くに地下鉄の駅があることを発見したので、とりあえず駅に向かいました。
今日泊まる宿へは、地下鉄の駅から向かえる距離だったことを事前に調べていました。そのため、このまま地下鉄に乗ることにします。
駅の改札の前に着いたものの、切符の買い方がわかりません。ここではネットが繋がらないため、調べることもできません。
近くに機械があったものの、よくわからず、もう夜で窓口は閉まっていたため、どうしようもできません。
すると、通りすがりの人が、「VISAカードで通れるよ」と説明してくれました。
たしかに、改札にはVISAのロゴマークが書かれています。そのまま改札にクレカをタッチすると、普通に通れました。
やった!
切符を買わなくても、クレカだけで電車に乗ることができました。これはありがたい。
優しいトルコ人のおかげで、僕はまたひとつ難局を突破しました。テシェキュルエデリム!
駅のホームでは、モーツァルトのトルコ行進曲が流れていました。トルコだから?そういうのも面白いですね。
この駅は終着駅のため、来た電車にそのまま乗り込みます。
電車の中はとても綺麗でした。モニターもついてるため、駅の確認もできました。
宿の最寄駅について、ここから15分ほど歩きます。繁華街を歩くと、改めてトルコに来たという実感が湧いてきました。屋台のものはどれも美味しそうで、お腹が減ります。
幸い下りの坂道が続いていたことから、なんとか宿までたどり着けました。
段差もそうだし、宿にはエレベーターがなかったことから、何度もスーツケースを持ち上げることになりました。そのため、両手にはマメができていました。
そもそもたくさん歩いて両足の裏にマメができていたので、両手両足にマメがあります。
満身創痍の旅となってしまいました
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まとめ
キオス島ののんびりとした時間とは裏腹に、イズミルへの道のりはなかなか過酷なものでした。
というより、スーツケースが壊れかかっていることがなによりも負担となってしまいました。なんとか日本に帰るまでは頑張ってほしいものです。
イズミルでは4日間過ごします。
観光もしつつ、ここでは個室の宿を取っているため、今後のことも考えながら時間を過ごそうと思います。
旅は残り一週間。
最後まで楽しんでこの時間を過ごしていきたいと思います。
まだまだ旅は続きます。
旅の様子はこちらにまとめています。
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それでは、また明日お会いしましょう!