【過酷?】トビリシからイスタンブールまで27時間半バスで移動してみた【2023年】
7ヶ月間過ごしたジョージアの生活は記憶に残るとても良い時間でした。
人生と向き合い、仲間と切磋琢磨し、青春を取り戻すかのような日々に、充実感がありました。
しかし、次のステップに向かいたいし、これからまた次の人生を送りたいと思い、このタイミングでジョージアを離れることを決断しました。
これから1ヶ月程度、トルコやギリシャを旅行をしてから、3月末に日本に帰る予定です。
まずはジョージア脱出から。ジョージアの首都のトビリシからトルコの観光都市イスタンブールへ、バスで向かうことにしました。
今回はその体験記をお送りします。
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きっかけ
トビリシからイスタンブールへ向かう王道のルートは飛行機です。ターキッシュエアを始め、いくつかの便が飛んでいます。
僕も飛行機で行くことを検討しましたが、せっかくならともっと安くて面白いルートはないかを考えてみることにしました。
探してみると、黒海沿岸の都市バトゥミから陸路でトルコに入国するルートがありました。
それでもまだ他にも何かあるはず。そう思ってネットで情報を調べていたら、バスでトビリシからイスタンブールまで直通する路線を発見しました。
これだ!
そう思い、勢いのまま予約をしていました。
真面目なくせにどこか無茶なことをしたい僕にとって、一見過酷に見えるバス旅にはなにか面白いものが詰まったマジカルボックスのようでした。
時間を計算したら29時間(ジョージアとトルコは1時間の時差あり)。
日本で新宿から出雲大社まで13時間の夜行バスを経験したことはありますが、その倍となる移動時間に後悔している自分もいました。
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出発
そして出発当日。見送りに来てくれた友達の前で、ついつい目に涙が溜まってしまいました。
ジョージアでの日々を思うと、懐かしさが溢れてきます。
eチケットを見せて、紙の領収書をもらい、目の前のバスに乗るように指示されます。
感動の別れをして、バスに乗り込みました。
バスは、ジョージアでよくあるマルシュルートカと呼ばれる乗合いのバンではなく、日本でもあるような大きな観光バス。メルセデスベンツ製です。
各席に画面がついていたものの、見ることはできませんでした。2席に1つプラグがあり、充電ができる上、弱いながらWi-Fiもありました。最初は寒い車内でしたが、暖房が効き始めると足先が少し冷えるくらいで適温に感じられました。
むしろ快適なんじゃないかとすら思えました。
9時00分、バスはトビリシのセントラルバスターミナルを出発して、イスタンブールに向かいます。乗客はボチボチ。隣の席はいなく、大半がジョージア人とトルコ人のように思えました。
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トラブル発生
僕は充電器をスーツケースに入れてしまったことを思い出します。
やってしまった。
あと29時間、スマホやパソコンのバッテリーが保つとは思えなかったので、どこかのタイミングで取り出すことを考えます。
バスはゴリを過ぎ、クタイシ方面へ高速道路を走らせます。徐々に雪が深くなってきました。ジョージア中部は、山間の豪雪地域で、途中一般道を走る局面もありました。
もちろんスピードは徐行。長い旅がより一層長く感じられます。
そのうち、一つのトラブルが発生します。
それは、僕の尿意が限界に近いこと。
朝、家を出る前にトイレに行き、コーヒーのようなものは飲んでいなかったものの、次第に尿意が限界に達し始めます。バスターミナルでトイレに行かなかったことを後悔します。
徐々に冷や汗が出始めます。やばい。
一番前まで行き、添乗員に「トイレに行きたい」と伝えると、英語がわからないため、何言ってるの?といった様相。近くの人に翻訳をお願いしたら、休憩まであと1時間とのこと。
無理だ。お願い!バスを止めて!
徐々に立ち往生の様子になってきた雪の道で、運転手はしぶしぶバスを止めてくれました。
そして、大吹雪の中、5mくらい離れた物陰で用を足します。
あー、すっきり。寒さも感じさせないくらいの大きな安心感に包まれます。
まさかジョージア最後にこんな思い出をつくってしまうなんて。旅の恥はかき捨て。
それでも、気分は爽快です。「マドロバ」(ありがとう)と伝えて、何もなかったかのように席へ戻りました。
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雪の道
しばらく立ち往生や徐行運転が続き、それから2時間後に休憩に入りました。2時間も待ってられなかったから、あの時バスを止めてもらって正解でした。
休憩場所となるサービスエリアは、ほったて小屋に食堂とトイレがあるようなところ。トイレは1ラリでした。
この時、すでに14時。朝から何も食べていなかったことから、売店でナッツを買いました。地味に高かったため、残りの小銭を全て使ってしまいました。
充電器を取り出したかったから、運転手に頼んで、スーツケースの中身を開けさせてもらいました。極寒の吹雪の中、バスの下の荷台にあるスーツケースから充電器を取り出します。
ジョージア最後にとんだ思い出です。
無事に取れて、席に戻ります。これで普通にケータイを使える。精神衛生が全回復しました。
バスは黒海沿岸へ向かいます。
徐々に雪がなくなり、緑や茶色の地面が見えてきます。峠を越えて、ジョージア西側の地域へやってきました。
昨年の夏に旅行で訪れたバトゥミの街中を通り抜けます。
ジョージア国内の高い建物トップ10全てを抱えるバトゥミは、「黒海のラスベガス」の異名を持ち、カジノや高級ホテルが林立するバカンスです。
しかし、冬場は閑古鳥状態。実際、街はどこかゴーストタウンのようにも見えました。
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トルコ入国
再び雪がちらつくようになった頃、ジョージアとトルコの国境に到着します。
ここでジョージアの出国審査とトルコの入国審査を行います。バスを降り、持ち物を全て持って、変な形のジョージアのイミグレーションビルに入ります。
不法滞在や犯罪行為をしたことはないものの、イミグレーションを通る時はいつも緊張します。しかし、ジョージアの出国審査は一瞬でした。
1年間ビザなしで滞在でき、再入国にも特に制限がないジョージアは、出入国の審査もとても寛容です。
スタンプの貯まったパスポートを眺めながら、歩いてトルコ側に向かいます。ここには国境を表す印のようなものはなく、気づいたらトルコ側に入っていました。
トルコの入国には多少時間を取られました。パスポートをパラパラと眺め、電話をし始めます。
なんだろう?
以前、アルメニアに入国した時は敵国・アゼルバイジャンの入国歴があったことから、なかなかに大変でした。今回も同様のことかと思いましたが、特に何も言われず、ハンコを押されました。
よかった。
思わぬ入国拒否がチラつきましたが、無事、トルコに入国できました。
トビリシを出発して9時間が経過。時差が1時間あるため、ここからは18時が17時になります。
イミグレの先は、免税店がありました。トイレに寄り、歯を磨いてから、免税店を眺めます。タバコもお酒も宝飾品も興味のない僕には、一生こういったお店は無縁なのでしょう。
すると、先ほどのバスの添乗員に声をかけられます。現金100ユーロを握りしめられ、タバコとお酒を買うことを求められます。
パシられた。
免税店はパスポートの提示が必要なため、一人当たり購入できる量が限られているのでしょう。添乗員は僕に買うものを指示しました。
嫌だったけど、先ほどのお礼もある為、仕方なく言われたものを買います。一部始終を見ていた店員は苦笑していました。
購入した商品を渡そうとしたところ、荷物検査を通ってと言われます。入国のために荷物検査があったことをここで初めて知りました。
荷物検査を通り、購入した商品も持ってバスへ向かいます。
外はすでに暗く、うっすら吹雪いていました。目の前にモスクがあり、ここがイスラム教国であることを実感します。
黒海からの冷たい雪混じりの風を受けながら、再びバスに乗り込みます。
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夜
バスの中では、本を読んだり、書き物をしたり、ぼーっとしたり、リラックスして過ごしました。Wi-Fiが弱かった為、電話や動画はつらいものがありましたが、基本的には快適に過ごせました。
休憩後のタイミングで添乗員がチャイを飲むかと聞いてくれますが、朝のことがあったため、僕は飲めずにいました。
バスは黒海沿岸の道を進みながら、日が暮れた夜のトルコを走ります。
トルコの最初の休憩は黒海沿岸の保養地トラブゾンを過ぎた辺りでした。時刻は21時30分。出発して13時間半が経過しています。
ここのトイレは4リラ(29円)と有料でした。ジョージアですでに現金をトルコリラに換金していたので、ここでトイレに寄ります。休憩のたびにトイレには行くと決めました。
トルコに入って初めて使ったお金はトイレでした。売店を物色しますが、既に歯を磨いていたため、水のペットボトルだけ購入します。お菓子を食べる気にもなっていませんでした。
再びバスは出発し、静かなバスの中、僕は気づいたら寝落ちていました。
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起床
夜中、何度も目が覚めます。やはりバスの中で寝るのは楽ではなく、睡魔に任せても、体勢の悪さや足元の寒さで起きてしまいます。
何度か体を動かして再び寝ることを繰り返します。隣の席に人がいなかったため、多少姿勢を崩して寝れました。ありがたかった。
朝7時、自然起床。出発から既に23時間が経過していました。
すぐに休憩に入ります。場所を見たら、アンカラを過ぎたあたり。イスタンブールへはあと100kmほど。
いよいよだ。
サービスエリアで軽くストレッチをしてから、売店や飲食店を見てみます。トルコに来た実感をじわじわ感じていきます。
全然名前のわからない料理がたくさんありました。僕は寝起きは食欲が皆無なので、無理して食べず、何も買わずに再びバスに戻ります。
ここから見た外の景色が素晴らしく、朝日が昇る前の薄暮の空を眺めました。
良い一日が始まる兆しを感じて、爽快な気分でした。
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到着
バスは途中、いくつかの都市で停車し、数人が下りていきます。
青空に朝日がぎらぎら輝く中、徐々に街は発展していきます。車窓からの景色は、それまでの雪や土から、人工物へと変わっていきます。
高揚感を感じながら、バスは西に向かって走って行きます。
そして11時30分、細い路地を抜け、終着地のイスタンブールへ到着。
ついに着いた!!
出発から27時間半。予定よりも1時間半早く着いたものの、長い長い旅になりました。予約した際に記載されていたアジア側のHarem Otogariではなく、ヨーロッパ側のEmniyet Otogariというバスターミナルに到着していました。
イスタンブールは人も多く、トルコのイメージのど真ん中の印象を受けます。いろんな人から声を掛けられるあたり、さすがトルコです。
長旅を終えた安心感と、トルコの活気による高揚感が入り混じります。
世界都市イスタンブールにいる!
晴れやかな気分でした。
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まとめ
ずっと座っていたから腰が痛いけれど、思っていたほどの過酷さは感じませんでした。
リクライニングのできる座席、Wi-Fiと電源で暇のない時間、移り変わる自然や都市の光景、そしてちょっとしたハプニング。どれも僕にとっては楽しく感じられ、有意義な旅だったように思います。
ジョージアの名残惜しさを断ち切る長いバス移動は、これからの旅をわくわくさせてくれる気分転換になりました。
先日トルコでは大きな地震があったけれど、今日の活気ある光景に安心感も覚えます。
今後、イスタンブールは1泊だけして、明日の夜にはギリシャのテッサロニキに向かって再びバスで移動する予定です。
これからしばらく旅の様子をお届けします。
みなさんもぜひ27時間半耐久バスに乗ってみて、過酷で楽しい旅を体験してみませんか?きっと新しい何かが見つかると思います。
旅の様子はこちらにまとめています。
僕のことは以下の記事で紹介しています。
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それでは、また明日お会いしましょう!
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