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『暗黒館の殺人/綾辻行人』~驚きが足りなくなるくらい驚いた~

30、31、32、33冊目/2021

綾辻行人氏の「館シリーズ」の第7弾です。

最終巻である4巻は驚きの連続。

2000ページ以上の長編。

第7弾にして「館シリーズ」の原点であり核心である話である。


物語のベースは、伝説や民俗信仰をもとにした都市伝説。

昔はこんなこともあったのだろう、そして今なおそのような歪(いびつ)な風習がある地域もあるのかもしれない。

決して、否定はできない。

そこに、ミステリとしてのトリックが絡んでくる。

しかし、単なるミステリではない。

人間の持つ、欲望、エゴ、邪悪、秘密、愛、優しさなど。

そして、宗教などの概念。

それらすべてを箱に詰め込み、その箱が爆発してできた混沌の世界観が広がるミステリである。

生きるとは何なのか、本当の幸せや優しさとはいかなるものだろうか。

そんな哲学的なことも考えさせられる作品である。

その世界にのめり込んでしまったからだろうか、2000ページもあるのに500ページくらいのものに感じられた。

賛否はあるだろうが、僕にとっては素晴らしい作品であったことは間違いない。

登場人物のその後を描いたスピンオフも見てみたいものだ。

最後に、注意事項として1つばかり。

この作品は、この作品だけ読んでも、ほんとの驚きやおもしろさは得られないだろう。

もし読むなら、第1弾(十角館の殺人)から読まれることを強くお勧めしたい。


それでは、いい1日を。

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