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Good to Great ― KC B team

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小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
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2022年9月の記事一覧

現預金の保有は現状維持への投資

国連総会出席のためニューヨークを訪問した岸田総理が、9月22日にニューヨーク証券取引所(NYSE)を訪問し講演を行いました。日本の代表者が同所で講演したということは、(各論でいろいろな意見もあるかもしれませんが)その内容に今の日本を表す社会的、経済的なポイントが、一般的、専門的な見地から統合的に織り込まれていると見るべきだと言えます。 9月24日の日経新聞から、同講演のポイントを一部抜粋してみます。 同内容からは、大きく2つの点を感じます。投資の促進が大きな課題であるとい

お客様貢献から始め、その後に費用対効果を高める

子いわく「君につこうるには、その事をつつしみて、その食を後にす」(衛霊公第十五) (先生が言われた。「主君の下で仕事をするに当たっては、まずなによりもその仕事を誠心誠意しっかりこなし、報酬や待遇のことは後回しにすることだ」) 上記の文章は「主君」を上司とかで捉えると狭小で、「会社」であったりとか、「お客様」の下で仕事をする、という風に考えた方がよいのではと思います。 仕事をするにあたって、これは割に合うのだろうか、とか、費用対効果がどうなのだろうか、とか考えがちなこと

社員への手当支給を考える

先日、ある企業の人事担当の方から問いかけがありました。「現在家族手当を正社員にしか払っていない。正社員以外のいわゆる非正社員も支給対象とするよう制度改定を進めている。ただ、非正社員は労働時間が明らかに正社員より短い。例えば、労働時間の長さに応じて家族手当を割り引くなどの考え方は妥当だろうか?」 雇用形態の違いなどに関わらず、やっていることが同じなら同じ賃金を支払うべきだという「同一労働同一賃金」の動きがあります。その動きに合わせて、正社員のみに与えていた待遇についても、非正

アジャイルをヒントに「チーム観」を見直す

20代のころ、ソフトウェア開発の制作現場でプロジェクトマネジャーをしていました。もう20年以上も前の話です。 お客さまとミーティングをして、仕様や納期を決めます。それを社内のタスクに落とし込んで、指示書を書き、ガントチャートを書いて、進捗を管理します。最後は、仕様通りにできているか確認し、修正を加えて納品となります。 開発現場のほとんどが、このような「ウォーターフォール」型でした。 この考え方には隠れた前提があります。それは、チームメンバーに「何も考えずに作業させること」

円安に向き合う(2)

前回の投稿では、最近動きが急な円安をテーマにしました。円安にはかつてほどのメリットは見出しにくくなっている、円安の流れの反転は簡単ではないものの、さらなる規模の円安が見込まれるかというとそうでもないかもしれない、ということを考えました。 このような環境下で私たちは実務的にどのように向き合うとよいのでしょうか。3つ目の視点は、商品・サービスの高付加価値化、価格転嫁による輸出を目指す、ということです。 9月24日の日経新聞で、「円安が変える企業行動」というタイトルの記事が掲載

円安に向き合う

先週、政府・日銀が24年ぶりの円買い介入に動いたことが話題になりました。今年1月は1ドル=110円台前半だったのが、22日には146円台目前まで円安が進みました。9か月間で30円以上も円安という、変動幅としては過去最大規模と言われています。この円安をどのように捉えて向き合うべきなのか、改めて整理してみたいと思います。 ここでは、3点考えてみます。ひとつは、円安にはかつてほどのメリットはないだろうということです。このことの指摘は、様々なメディアでも散見されます。 円安にはメ

「管理職になりたくない、出世したくない」という人が増えていることについて

近年、「管理職になりたくない、出世したくない」という人が、比較的若い世代を中心に増えていると言われます。実際、弊社のお客様の中にも、そのような人が増えていることに対して悩まれている経営者様も少なくありません。 これは、一定の世代以上にとっては理解できない部分が少なくないと思います。しかし、そういう方々にとっての言い分もあると言われます。 そうした中の一つとして、管理職になっても、責任が増えるばかりで、対価が見合わない、また見合うようになるには時間がかかる、というものが

タイパ思考の今後を考える(2)

前回は、タイパ(タイムパフォーマンス)をテーマにしました。かけた時間に対して得られることを追求するタイパに関連し、「徹底してタイパのよさと効率的な便益を訴える」ことと「自分の価値観に合ったスローな時間の充実を訴える」ことが、買い手に向き合う上で今後ポイントになるのではないかと考えました。 9月14日の日経新聞記事「倍速ニッポン(中)Z世代、最速で学びたい 情報の耐えられない薄さ」でもタイパについて取り上げられていました。一部抜粋してみます。 同記事からも改めて感じるのは、

横着心では事実を収集し、よいアウトプットすることが難しいのでは

先週まで、ベストセラーとなっていた「ファクトフルネス」という本を読んでいました。 本書は人間の色々な本能が、事実と異なる認識をもたらしてしまうと分析しており、それぞれの本能は非常に説得力があるものでした。 どのような本能が事実とは異なる認識をもたらすかは(もしご興味があれば)本書をお読み頂きたいのですが、 これは私の持論なのですが、事実を確認せずに、「あれはこうだ、これはこうだ」と認識したり、決めつけるのには、非常に人間の横着心もあるのでは、と思っています(これは私も

9/18-9/24日経新聞レビュー

この1週間で気になった日経新聞の記事を5つほど取り上げてみたいと思います。 「働く高齢者、最多909万人」(9/19 朝刊総合・政治面) この記事によると65~70歳の就業率が50%を超えたとあります。生産年齢人口は15~64歳と定義されていますが、生産年齢人口の定義自体を見直す段階にあるのでは、という気もします。 一方で、やはり若い人のエネルギーも活用しないと未来への継続性がない為、ベテランの経験・知恵と若手のエネルギーのバランスを取ることも今後の課題となりそうです。

インタビュー調査で大切にしているたった一つのこと

コンサルティングでは、様々な情報を扱います。 社員さんへのインタビューもその一つです。 インタビューの際に大切にしていることは、「相手にとって気づきがあること」です。1時間~2時間くらいお話を聴きます。せっかく時間を頂戴するのですから、インタビューの時間が有意義なものだったと感じてもらいたいのです。 氷山の海面下にあることを語ってもらうここでの気づきは氷山の下にあるものに目を向ける、とか、それを自分の言葉にしてみるといったイメージです。 上の図は、組織開発でよく使われる

時間を守ることは信用と安心感に繋がる

大学時代に所属していたワンダーフォーゲル部では伝統的に時間に厳しく、時間厳守を強力に叩きこまれました。当時はちょっとしたトラブルが発生したとしても時間に遅れることは許されず、部活の集合時間にはかなりの余裕を持って行動する習慣が身に付きました。 部活を引退してから20年近く経ちますが、今でも当時身に付いた時間厳守の意識は強く持っています。何か待ち合わせをする場合も、誰もがやむを得ないと感じるような大きなトラブルは別として、ちょっとしたトラブルで時間に遅れることはありません。

企業様の歴史から読み解くべき強みとは

企業様の長期事業構想・経営計画書策定のご支援にあたり、その企業様の強み・弱みの分析から入っている案件があります。 企業様に強み・弱みを分析頂いている一方で、我々としてもその企業様の強み・弱みの仮説を持つ為に、本案件の担当メンバーに企業様の社史を読み込んでもらい、仮説を考えてもらうことにしました。 最近、その担当メンバーから社史を読んだ内容を整理したもの、考えたものを聞いていると、 企業様の長い歴史の中では、その時々の環境、つまり社会やお客様等の状況に合わせて商品を

目標とは自分との約束である

月刊「致知」の9月号を読んでいたら、こんな言葉に出会いました。 9月号のテーマは「実行するは我にあり」でした。思うだけで実行しないと何も分からないし、成果もでません。やるもやらないも結局は自分で決めているのです。 平澤氏の言葉を反芻するうちに、ここで言っている約束とは目標のことなのではないか、と思い至りました。 目標を「約束」と捉えた場合、守らないとどうなるのか。 他人との約束であれば、信頼を失います。 自分との約束では、自分で自分への信頼を失うことになります。 逆に