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Good to Great ― KC B team

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小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
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記事一覧

出社回帰を考える

9月27日の日経新聞で、「経営者「出社求む」8割 KPMG調査、昨年比19ポイント増」というタイトルの記事が掲載されました。コロナ禍で出社できない状況への対応が後押しとなって広がったリモートワークですが、その揺り戻しで出社を促す動きが進んでいることを取り上げた内容です。 同記事の一部を抜粋してみます。 世界で1300人の経営者の83%、つまりはほとんどの経営者が、オフィス勤務への完全回帰を目指しているということになります。オフィス出社に回帰する動きがあるということも聞かれ

助けを求める

先日、経営者や経営幹部、住職の方などが集まる勉強会に参加する機会がありました。その機会に、ある経営者様が話したエピソードが印象に残りました。 そのエピソードというのは、次のような内容でした。 同エピソードからは、困っているなら「困っている」ということを明確に発信することの大切さを感じた次第です。 そのエピソードに関連して、住職の方からは次のようなお話がありました。 つまりは、助けてほしいと思うなら、声をあげないと助けてもらえない、というわけです。 言われてみれば当然

海外での保育園事情を考える

日経新聞で9月16日から4回にわたって、「保育園「大閉鎖」の波」というタイトルの記事が掲載されました。各地の保育園事情や保育園の取り組みを取材し、今後の保育事業について考察した内容で、たいへん示唆的でした。 9月19日の記事「保育園「大閉鎖」の波3 日本の集団保育、世界へ」から一部抜粋してみます。 同記事からは、主に3つのことを考えてみました。ひとつは、普段何気なくやっていることに強みが見出せるかもしれないということです。 保育園での集団保育は、日本では見慣れた景色です

日本人の「熱意」は本当に低いのか?― 勤勉さと熱意の違いを考える

会社の仲間とギャラップ社の「例の調査」の話になりました。 #日経COMEMO #NIKKEI 日本人の「熱意ある社員」は5%。この結果は様々な議論を呼んでいますね。そこまで低いかな、というのが私の最初の印象です。日本の奥ゆかしい文化からすると「私、熱意あります!」とは言わないだろう、といった意見もあります。とはいえ、低いのは確かなので率直に受けとって要因を考えていく方が建設的だと思います。 「そこまで低いかな」の隠れた前提は、「勤勉な」日本人像にあるように思います。「熱

「過去最高」を考える

先日、ある経営者様とお話する機会がありました。米国での経験も長く、国際感覚が豊かな方です。「日経平均株価がバブル期の高値を更新して最高値になったと喜んでいる。しかし、それを喜ぶこと自体が大問題」と改めて問題提起されていました。 同経営者様の発言は、世界経済と比較してのことです。「そもそも株は高値を更新し続けるのが普通。国内総生産(GDP)も同様。1990年から30年あまりで、世界の株価がどれだけ伸びたか。その当然のことも認識せず、日経平均過去最高値更新を喜んだり、逆にバブル

選べる働き方の事例を考える

9月17日のNHKニュース(おはよう日本 6:30~)で、「”選べる働き方”で人材を確保!」という特集が放送されました。4月からの時間外労働の規制強化に伴って、流通業界では人手不足がさらに進んでいます。そのような環境下で、人材を確保できた会社について紹介した内容です。 同番組で紹介されていた主な内容を一部挙げてみます。 同特集から改めて感じたことを、3点挙げてみます。ひとつは、選択肢を準備することの意義です。 同社の事例では、働き方のコースを3つ準備しています。その中か

「ゆるブラック」と若手人材を考える(2)

前回は、9月20日の日経新聞記事「「ゆるブラック」にご用心 残業や待遇を改善…若手なぜ辞める?」を参考にしながら、若手人材のキャリアについて一考しました。そして、働きがいを求めている人材は多いだろうということ、自己成長できないと感じることはそのまま勤続することへの危機感を高めてしまうだろうということについて考えました。 3つ目は、個の対応の有効性です。 同記事のように、労働時間もいとわず成長欲求や働きがいの充足を最優先にする人材もいれば、そうしたくても育児・介護などいろい

「ゆるブラック」と若手人材を考える

9月20日の日経新聞で、「「ゆるブラック」にご用心 残業や待遇を改善…若手なぜ辞める?」というタイトルの記事が掲載されました。待遇はいいが、仕事にやりがいがなくスキルアップできる環境が乏しいと感じてしまう「ゆるブラック企業」を辞めた若手人材との対話を取り上げた内容です。 同記事を抜粋してみます。 以前の投稿で、「衛生要因」「動機づけ要因」から考える離職対策についてテーマにしました。株式会社カイラボ様の提唱する「早期離職のタイプ別 ナインボックス」に沿って自社の現状、目指す

2015年大河ドラマ「花燃ゆ」

2015年の大河ドラマ「花燃ゆ」がNHKオンデマンドで公開されています。幕末の吉田松陰先生の妹であり、久坂玄瑞や吉田先生の同志であった楫取素彦(かとりもとひこ)の妻であった美和子さんの生涯を描いたものです。視聴率は残念ながら低調だったのですが、松陰先生好きな私としては印章深い大河でした。 松陰先生を描いた伊勢谷友介さんは、彼自身も松陰先生を尊敬していたこともあり、大変好演でした。伊勢谷さんは残念ながら2020年に大麻所持により逮捕され、執行猶予付有罪となっています。罪は償い

対話を通じて経営者の軸を磨き、人を動かす力に変える

経営とは経営者の意志が表れたものである これは稲盛和夫さんの言葉です。 盛和塾の世界大会で以下のように話しています。 最近、会社の仲間とこの意志について「経営者の軸」という言い方で対話を深めています。軸というメタファーにしたのは、ブレる、ブレないを意識しているからです。軸を中心に組織が回るとして、組織のサイズが大きくなるほどに遠心力が働きます。ゆえに求心力を高めるべく、自分の意志と人間性とを磨いていく必要があります。 稲盛和夫さんは、成功の方程式として「成功=熱意×能力

吉野家のオペレーション変化からの考察

私は学生時代から牛丼屋のヘビーユーザーです。家族と一緒に居る際はメニューが豊富でテーブル席も多いすき家に行くことが多いのですが、自分一人の時は断然吉野家です。 私が普段行っている吉野家ではここ最近オペレーションに変化がありました。一つはオーダーが座席でのタッチパネルになったこと。もう一つはタマゴを自分で割るようになったことです。 なぜタッチパネルが導入されたのか?それは外国人の店員が増えている中でオーダーの聞き間違えを防ぎ、店員の言語ストレスを減らすためだと思います。また

新社屋への移転の例(2)

前回は、北海道帯広市にある、宮坂建設工業株式会社様の新社屋をテーマにしました。地域との共生を目指し、社をあげたプロジェクトとして進め、完成させた社屋だということを取り上げました。 同社屋の設計、施工、完成後の活用の取り組みによって生み出されるであろう効果について、私なりに想定してみます。 ・従業員間の関係性が高まる 移転前の社屋は、事業部によってフロアが別になっていました。フロアが別になっていると、わざわざ上か下の階にまで行かないと様子がわからないため、自ずとお互いが見

新社屋への移転の例

先日、北海道帯広市にある、宮坂建設工業株式会社様を訪問する機会がありました(同社様の許可を得て、社名を紹介しています)。同社様では、3年前の2021年に新社屋が完成し、本社移転されています。今回、新社屋に初めて訪問し、ご案内いただく機会があったのですが、たいへん印象的な体験でした。 見た瞬間に、まず見事な外観に圧倒されます。 同社屋は2021年に、帯広市が優れた景観、まちづくりに貢献している建築物を表彰する、帯広市まちづくりデザイン賞に選ばれています。 参照URLは、例

自分を「主人公」と捉える(2)

前回は、私が参加した「知心会」の9月定例講での内容をテーマにしました。特に印象に残った2つのことのうち、「主役としての自分がどうなりたいかのイメージを明確にもつ」について取り上げました。 もうひとつは、「掛け算の法則」です。 何かの領域で、専門家やプロと言われる人材になりたければ、1万時間の研鑽が必要だと言われることがあります(もちろん、どういう時間の使い方=研鑽の仕方をするかにもよりますが)。1年365日で、1日あたりの時間に換算すると(曜日による差分は度外視)、毎日平