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魔々勇々第29話感想 感完想走 ありがとうございました(ジャンプ19号)

この記事で掲載している画像は全て2024年週刊少年ジャンプ19号「魔々勇々」(林快彦)から引用しています。著作権・肖像権等は全て権利所有者に帰属致します。

感完想走の記事サブタイトルは10年後とかに使う予定だったのに…

サブタイトルは「CLOSER」
「近い」の比較級の意味もあるけど、シンプルに野球のほうかな。
因縁を終わらせる者としてのコルレオ。

記事を書く気力、なかなかわかなかったなあ。
心配をかけてしまった方々、申し訳ないです。
更新が遅れたのは単純に私生活が忙しすぎたせいってところもあります。

人生で初めて、終わって欲しくないと本気で思う漫画が終わるという経験をした。
別にジャンプの打ち切りシステムに文句があるわけじゃない。
でも、部活の試合で負けたら悔しいのと同じ。
「スポーツなんだから敗者がいるのわかってるでしょ?」って理屈では本気で取り組んでいる部活動の負けを受け入れられないのと同じように、悲しいものは悲しいのだ。
ただ、情熱を注いだからこそ、傷が癒える頃には良い思い出になるってことでもある。
魔々勇々のおかげで自分の人生がより豊かになったことは間違いない。

最終話までしっかり面白かったし、感想記事は完走しようと思う。

◆私の存在が全てを不幸にし続ける…

1コマ目、エンドの台詞の吹き出しが半分透けていて、その奥のコルレオが見える演出ほんと好き。
自分自身を痛めつけようとする言葉なんかでは足止めされずエンドに近づくコルレオの意志が見える。
最後まで漫画という媒体を存分に生かしている。

獅子凛々で精神世界に干渉していても、目隠しを物理的に取り払うコルレオ。
最後まで対話を重視したコルレオだからこそ、強引に目隠しを取るという行為から「穢れてなんかいない」というメッセージが強く伝わる。
対話のために物理的な干渉もできる空間を作り出す獅子凛々は、考えれば考えるほどコルレオにぴったりの紋章術。

◆俺が その証明なんだ

そのまま読者にも当てはまる台詞。
というかあらゆる事象に当てはまる。

自分以外がどう思っているかは関係ない。
それが、自分以外にどんな影響を与えたのかも関係ない。
ただ、自分が救われたことだけは間違いない。

死屍累々は全てを不幸にし続けるだけの能力なんかじゃないという否定の言葉は、エンドに命を奪われたコルレオだからこそ説得力がある。
エンドの力は、終わらせることも救うこともできる。
両方を体感したコルレオがエンドに伝えたのは感謝。

仲間と過ごした目標のある時間は、一度命を奪われても、未来の命運を握られたとしても、かけがえのない時間だった。
その時間が「幸せだった」ことを誰にも嘘だなんて言わせない。

打ち切りになっても、この漫画を読んで自分が楽しんだ時間は誰にも否定できない。
アンケートは入らなかったかもしれないけれど、自分にとって最高の漫画だったことは自分が証明できる。
最後まで、思うままに感想を書き続けてきた自分が肯定された気がした。
幸せだった気持ちが林先生に届くといいなと思う。
ファンレターでも書くか。

最後まで最高の表情

このコマ読んだとき、完全にエンドと同じ顔してたよね。

◆エヴァンに会いたいだけなんだよな

自分にとっては、表情と、コルレオの対話重視の姿勢がこの漫画最大の魅力だった。
最終話でも、上のエンドをはじめとして、表情による演出は神がかっていた。
そして、コルレオの対話スタンスは最後まで崩れなかった。
エヴァンに会いたいという簡単なことを、コルレオ以外は誰も理解しようとしなかった。
相手の立場、本質を理解することに全力を尽くすコルレオの姿勢がエンドの心を開いた瞬間を読んだとき、この漫画を応援してきて良かったと心から思った。
対話の可能性を信じるコルレオならではの勇者性を一貫して示してくれていたし、壁にぶつかるたびにコルレオが精神的にも成長する様が、勇者としての成長を読者に伝えてくれていた。

◆”刻印解放”!!

回収してくれるとは!
寿命をストックとして使うという思った以上にリスクの高い奥の手。
主要キャラが寿命を犠牲にして戦うシーンはちょっと辛くて見てられなかったかもしれない。
全キャラが仲間のためなら自分の寿命くらい喜んで差し出しそうなんだよな…
でもそれぞれの紋章術が限界を超えたシーンは見たい。
綺羅綺羅星が限界突破したらどうなるんだろうか。

そしてしれっと紋章見せてるけどグリシャ勇者だったの!?
勇者と魔王とは別次元の存在だと漠然と思っていたから、めっちゃ意外だった。
エヴァンの世界の勇者ではないだろうし、全く正体が掴めない。
コミックスに期待。

◆全員集合

あまりにも感慨深い

全員好きだった

主要キャラの集合絵で最終話を締めること自体は、ジャンプの打ち切り作品にはありがちなことではある。
それでも、各キャラへの思い入れが段違いなせいで言葉に尽くせない感動があった。
マジでいい漫画だった…。

反面、このコマを見るたびに本当は読めたかもしれない展開を思って悲しくなる。
指示待ちのラルフレッドが自分の意志で戦うシーンが見たかった。
自己肯定できるようになった全力の最強アイドルミネルヴァが見たかった。
真意を明らかにしたエスカバとの和解シーンが見たかった。
コルレオの生きがいになれたことを平和な世界で噛み締めるエリシアが見たかった。
弁当は…まあいいや。
自分も仲間に恵まれることができたと気付くサディコが見たかった。
心から信頼できる仲間達に妹のようにかわいがられるモニカが見たかった。

単行本では何を読ませてくれるだろうか。
六法全書くらいの厚さで刊行されるといいな。

◆まとめ

間違いなく、自分にとって特別な漫画だった。
感想を書くために細部まで読む→新たな発見によりもっと面白いと思う→感想が捗る→こんなにも読み込んだのに、ネット上には自分に気付かない視点がゴロゴロ転がっている→すげえ漫画だ!っていうサイクルを全29話の間ずっとやってくれた。

打切りが決まったのがいつなのかは分からないけど、短い連載期間の中でストーリーの幹となる部分をしっかり見せてくれた林先生には感謝しかない。
次回作ももちろん楽しみだし、いつかは看板作家になることを信じて疑っていないけれど、魔々勇々は自分にとって特別な漫画であり続けると思う。

ありがとう林先生。
ありがとう魔々勇々。
そして、拙い感想記事を読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
7ヶ月間、恵まれた幸せな時間を過ごせました。
3巻、4巻の感想でまた会いましょう!

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◆特別編 魔々勇々の魅力
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