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魔々勇々第17話感想・考察「また助けに来てくれるだろ?」(ジャンプ6,7号)

この記事で掲載している画像は全て週刊少年ジャンプ「魔々勇々」(林快彦)から引用しています(掲載号は画像に付記)。著作権・肖像権等は全て権利所有者に帰属致します。

次話はこちら

サブタイトルは「My First KIss」
いや、本当にキスすると思わないよね。サブタイトルさすがに意識してなかった…

ジャンプが一回休みなだけでこんなに辛いとは思わなかった。
まあ、通常憂鬱なだけの仕事が始まる年始が魔々勇々のおかげで楽しみになったので良しとしよう。

あまりに衝撃を受けすぎてて一周目で咀嚼しきれなかった。
ほんと面白ェな!

※1月10日追記
の勢いで書いたらさすがに感情がほとばしりすぎてたのでミネルヴァ周りを中心に全面改稿。
と、アンケート結果も追加。
愛なんてものがテーマの回に感情のまま書くとオーバーヒートするので、冷静に分析するくらいでちょうどいいのかなと思いました。
暑苦しい感想くらいならいいけど痛々しい感想にはなっちゃいけない。反省。

◆遭遇

1ページ目を見たときには、気になるマッチアップにミネルヴァとケモ耳ちゃんがいないぞ…?とか悠長なことを思っていました。
一話でここまで劇的に展開が動くとは思ってなかった。

このページ、
上段は表情→二人の絵とすることで対面即バトルの「動」の表現
下段は二人の絵→表情とすることで悠然と構える二人の「静」の表現
をそれぞれしてるように見えて、林先生のコマ割と表現力のセンスが出てると思う。

エスカバvsラルフ

おお!対面させるのか!
決着するかは分からないけど、二人の因縁の一端くらいは見たい。
やっぱり対面の瞬間のエスカバの表情が当初イメージとかみ合わないんだよな。

2023年週刊少年ジャンプ46号
この顔はどうした

コルレオに怒りパンチくらったときのこの悪い笑顔のことを考えると、驚きが先行しているのはおかしいと思うんだよ。
本当に悪い奴なら今こそこの表情するときでしょ?
ラルフが思い込んでる純粋な悪とはやっぱり違うんじゃないかなあ。

それはそれとして、「動」で表現された、ラルフの剣を握りにいく手のスピード感と足元から既に影を出しているエスカバのバトル慣れ感がかっこいい。

パンネロvs弁当

いい加減弁当以外で呼ばせてくれ。
顔に影がかかったパンネロさんかっこいい。
今のところこの作品でパンネロさんが苦戦するところが思い浮かばないんだけど、弁当も不気味な迫力あるんだよな。
「静」で表現された二人の冷徹な眼差しに強者のオーラを感じる。

◆「何で服を剥ぐんだ!!!」

本当に何で剥ぐんだよ。
読者サービスするならエリシアの胸の部分の服の破れをでかくすればよかったじゃないか。
基本的に理由付けがしっかりしている魔々勇々の中で、体力低下しやすいようにというかなりギリギリの理由でクプトゥラを剥きにくる林先生の癖が好きです。
確かに拘束では紋章術を防げないから方法として正しいんだろうけど、どうしても「クプトゥラを剥ぎたかったんですよね?」が先にきてしまう。
だってコルレオに助けられた瞬間のこのコマさすがにえっちすぎん…?

2024年週刊少年ジャンプ6、7合併号
コルレオの鋼のメンタル

そしてコルレオとエリシアは隙あらばいちゃいちゃしはじめるな!

2024年週刊少年ジャンプ6、7合併号
ふたりともかわいい

自分で「完全な拘束は防げない」(起きたら氷でなんとでもされちゃう)って言っておきながらコルレオのほうを完全に向いちゃうエリシアポンコツかわいい。
クプトゥラが攻撃しようとしたら隙だらけじゃないか。
まあ、さすがにこのシーンで「緊張感が…」とかいうツッコミは野暮です。決着はついてる。
ガッシュのバトル中のギャグ描写もそうなんだけど、張り詰めたシーンに差し込まれる作者の味というのが好き。
今後も隙あらばラブコメを差し込んでほしいし、隙がなくてもラブコメを差し込んでくれ

◆「まるで親戚の子供だぜ!」

怒らせたことを全く意に介しておらず、「見ないうちに成長する」という要素でしかコルレオを見ていない。
このセリフと「きったねー!!このコート1軍なんだぞちくしょう!」の台詞の軽薄さすっごいな。
人命軽視と尊厳軽視が甚だしい。
「蘇生する」を形式的に蘇生を試みるという意味でしか捉えていないし、生き返った命が再び崩れてしまったことを「失敗」としか捉えていない。
捉えることができない?
グリシャに他の敵キャラにはない固有のカラーが出てきた。
あえてやってるというよりは、思ったままのことをただ言っている、そしてそれを相手がどう感じるかを一切考えていない。
ここまでくるとコルレオの「お前に人の心は無いのか!!」にただの啖呵以上の意味が込められてる気がするんだよな。
人間性を失っている何らかの理由があるんじゃないだろうか。

その反面、グリシャは感情を排せる分損得には非常に聡い。
自分の目的達成に「約束」を用いるのがベストだから約束を強調する。
提示する約束は相手にとって受けざるを得ないもの。
そして、約束を反故にしないことが、他者を操るのに最適であることは理解している。
守れない約束は人を縛れない。
形式的ではあるが、グリシャは今のところ約束を破っていない。

こいつの目的が俄然気になってきた。
人を舞台装置としてしか捉えられない者に何の望みがあるというんだろう。

◆考察:「いや・・・アリだ」

これまでのグリシャのスタンスからすると、「無関係な人を巻き込まない」「ミネルヴァをすぐ殺す気はない」は本心。
約束は少なくとも形式的には守る。
だとすると、これを守って尚、グリシャには目的達成が近づくメリットがあるということになる。
グリシャの目的は、育成した紋章の回収。
ミネルヴァを利用すればそれが達成できると判断した。

目的予想

①容易にはたどり着けない場所で、
②ミネルヴァと別世界から召喚した魔王勇者を戦わせるんじゃないだろうか。それこそ悪趣味なリングでも用意して。

①により、コルレオはそこにたどり着きミネルヴァを助けるためにこれまで以上のスピードで紋章を成長させる。
エヴァンの紋章には瞬間移動能力もある。

②は、そもそも本来これが紋章回収にはベストだったはず。
呼び寄せた魔王勇者にメリット提示の上でそこで戦わせて弱った方を回収。
それができなかったのは、呼んだ両方が応じなかったときに、両者がグリシャの敵になってしまうから。
そして、それだけをしていては、最もおいしいコルレオの紋章が成長しないから。

グリシャの手駒として確実に動くことが確約され、コルレオの成長の糧にもなるミネルヴァは、グリシャにとってこの上ない人材だった。
そしてミネルヴァの紋章術はタイマン性能が高い。
グリシャがお膳立てすれば大概の相手には勝てるんじゃないだろうか。

ミネルヴァはなぜ応じたか?

「いいよ」と言う前のコマで、ミネルヴァはしっかり考えを巡らせた上で、明らかに勝算を立てている。
グリシャの意図を読んでメリットデメリットを比較したんじゃないだろうか。

エンドのコピーが多数来襲している状況から、自分が行く以上に被害を減らす手段がないと考えたなら応じる理由がある。
そして、グリシャに拘束された場所で戦わされるとしても、そして、その相手の紋章がグリシャに回収されるとしても、それが最も少ない犠牲と考えたのでは。
自分が協力している間にエンドの紋章が100%になっては本末転倒だが、その前にコルレオが助けに来てくれることを信じたということだろう。

もちろんこの予想が正しいとは限らないけど、どの判断にせよミネルヴァがしばらく戦線離脱するのは辛いなあ。

◆「お前はどうせまた助けに来てくれるだろ?」

「うるせえ口だ!!」
の直前、コルレオがごちゃごちゃ言ってるのミネルヴァは本当は嬉しいんだろうと思う。
いつもだったら理由を尋ねるコルレオがまるで駄々をこねるように「駄目だ!」と否定の言葉を重ねるくらい動揺している。
グリシャを信用できないのももちろんあるけど。

アイドルとしての興行的価値から必要とされていた時とは違い、コルレオに「希望」として必要とされていることの照れ隠しやら愛しさやらがいろいろ詰まった悪態なんだろう。
しかしキスで黙らせる男前っぷりを見せた後で全力のヒロイン感を出してくるのがすごい。

2024年週刊少年ジャンプ6、7合併号
画像採用率の高いミネルヴァの表情

今回のMVPはこの表情。
この表情をこの文脈で読ませてくれる漫画、古今東西存在しないって。
唯一無二だって。

敵地に飛び込む不安はあるけど、コルレオは絶対に助けてくれる。
助けに来てくれることに疑いはないけど、返事をしてくれるかは不安がある。
返事をしてくれたなら迷う理由はない。
「必ず」で返される直前の不安の表情と、返された後の笑顔とハグも合わせて、魔々勇々の良さが凝縮されたシーンだったと思う。

紋章術

キスの瞬間のエリシアの意識が星でずらされていて、エリシアは見ていない。
harutaさんのポストで気づきました。
さすがの視点。
※追記:一番最初はharutaさんだと思うけど、たくさんの人が気付いてました。俺が鈍感だったようです。しっかり読んでる読者多いなあ。

ミネルヴァのキスは恋愛というより親愛のメッセージ寄りだと思うけど、そりゃエリシアには見せないよね。
この配慮をするミネルヴァってキャラも、配慮を漫画の表現に落とし込む林先生も、これにちゃんと気付く読者も全部最高。
人の感想読むのも含めて人生で一番漫画読んでて楽しい。

そして、恋愛経験がなさすぎてこの後のハグを見て嫉妬とかではなくあたふたするエリシアがまたかわいい。

グリシャとエンド!お前…お前らまで…くそ、かわいいじゃねえか…人の感情理解できねーくせに何でそこは戸惑うんだ…

アンケート&考察:ミネルヴァのコルレオへの感情

さて、ミネルヴァはコルレオに恋愛感情を抱いているかという点についてX(Twitter)で初めてアンケート機能を使ってみた。
ご協力ありがとうございました!

アンケートしておきながら、恋愛と親愛の違いってなんだ?って考えてしまった。
結論として、見返りを求めるかどうかの差なのかなと。
恋愛には「相手も自分を好きだから好き」であったり、「相手にも自分を好きでいてほしい」という相手に委ねる部分があると思う。
別れた上で「相手に幸せになってほしい。自分のことは好きじゃなくていい。」というのはもはや親愛。
そんなわけでアンケ結果

割れている中でも恋愛感情がトップ。
具体的な票数は29:21:21。
身長聞いたくだりからは恋愛感情とスムーズに解釈できるもんなあ。

ただ、ここまで割れている以上、どっちにも解釈していいんだと思う。
こういう表現ができる漫画が好きなんです。正解が絞れないから考えるし、考えるのが楽しい。

個人的には三つ目の選択肢で、
「恋愛を含んだ親愛の感情。ただし、ミネルヴァは自分の感情を整理しきれていない。」
と解釈した。

母の愛をしっかり受けたエリシアと違い、ミネルヴァは誰からも本当の愛を受けていない。
一応、コルレオとの「彼女いないだろ」やらのやり取りからすれば、それなりに恋愛はしてきたんだと思う。
けど、羨ましい、分けてくれよと言っていたくらいだから、少なくともそれは求めるものではなかった。

そんなミネルヴァがコルレオに助けてもらった時の感情は、それまで知っていた恋愛感情とは違った。
身長を聞いたのは、190以下は対象外のはずの自分の基準を確認し、戸惑いの正体を確かめるためだった。
とはいえ190を超えていないことは聞くまでもなく明らかで、ミネルヴァ自身は結局何か分かっていない。

と解釈しました。
咄嗟にわざわざ身長を聞くくらいだし、深層心理に好意の返報を求める気持ちはあるだろうから恋愛は含まれている。
けど、今回グリシャの元に行ったのは見返りを求めてのことではなく、コルレオと目的を重ね、最も犠牲の少ない方法を選んだからという意味で親愛。
こんな結論に落ち着いた。

◆それでも主人公はコルレオ

コルレオのかっこ良さにもちゃんと触れるぞ。
俺は人の痛みを、人の決意を自分のものとして感じとれるこの主人公が大好きなんだ。

「お前に人の心はないのか!」

ユージーンが崩れた瞬間のクプトゥラの絶望は凄まじいと思う。
自分のいわばエゴで生き返らせようとした息子が目の前で崩れるって、精神崩壊してもおかしくない。
クプトゥラの表情がこの後の一瞬を除いて一度も出ないのは、怒りを通りこして茫然自失になっているからだろう。
そこで代わりにぶん殴ってくれるのがコルレオ。
人の心が分からないグリシャを人の痛みを誰より感じとれる勇者が殴る。
これなかったらさすがにモヤっとしてた。
前は糸ノコで自分の紋章を人質に脅すことはできても殴れなかったから、今回で余計すっきり。

「…必ず」

ミネルヴァが行くことは、絶対にコルレオの本意じゃない。
単なる自己犠牲で敵地に身を投じることをコルレオが望まないことはミネルヴァにも分かっている。
それでも行くことを決意したミネルヴァの表情を見て、即座にその決意を尊重して「必ず」と約束する。
一番欲しい言葉を返す。

最近は主人公の魅力をそこまで重視してない(最強キャラとかライバルキャラに食われる)漫画もある気がするけど、コルレオは話のど真ん中に置ける魅力がある主人公だと思う。

◆まとめ

今回も最高に面白かった!
いや黒閃二話連続で続くと、「次の感想も熱量維持できるかな」とか考えたりもするんですよ。どんな漫画にだって波はあるからね。
でも本当にずっと面白いなあ。
また二週間空くのが辛いよ…

掲載順について思うところはあるけれど、次の改編を乗り切り、その次の改編までには掲載順が上昇して安定という流れに乗れるんじゃないかと思っている。
主観をなるべく排除した上で、あれが打ち切りで、あれよりはアンケ入るみたいなことを考えた結果の分析。
ただ、別の漫画を槍玉にあげるのはスタイルに反するので具体的には言及しない。
そもそもどの漫画も面白いからね。
とにかくアンケートを出すのみ!
アンケートを出すのみですよ皆さん!!
あなたの一票がこの漫画を救うのです!

◆過去話感想

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◆特別編 魔々勇々の魅力


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