魔々勇々第12話「ミネルヴァという少女がおりました」感想(ジャンプ52号)

この記事で掲載している画像は全て2023年週刊少年ジャンプ52号「魔々勇々」(林快彦)から引用しています。著作権・肖像権等は全て権利所有者に帰属致します。

次話(13話)感想はこちら

12話も…待たせやがって…
ってわけできた!コルレオが覚醒する展開!
こういうの見たかった~。
駆けつけるシーンの迫力といい、もう言うことなしです。
ありがとうございます。

今回は、紋章バトル→ミネルヴァの回想→コルレオ登場!
で綺麗に3場面に分かれていたので場面ごとに感想。

紋章バトル

能力をどう使ってるのかわかりやすいし面白いなあ。
相手の能力を互いに推測しながら戦ってるのも能力バトル好きとしては嬉しい。
そして推測しながらも能力関係なく狂人の目で襲いかかるラルフレッドの必殺の覚悟が際立ってる。

…うん 勝てない

ここすっごい好き!
ラルフレッドがミネルヴァの紋章術を褒めるシーンも含め。
強者が強者であるが故に戦いの結論を悟っちゃうシーンいいよなあ。
クロロがゼノとシルバの能力盗むのを諦めたときに似てる。
ミネルヴァの株がストップ高だから勝手にラルフレッドの格が上がる。

紋章術でも身体能力でもなく、環境による差で勝てない。
攻撃を一応いなせたにもかかわらずこの結論。
そもそもの戦いへの姿勢の差で勝てるはずがないことを瞬時に見抜くミネルヴァの分析が早くて的確。
初見の炎の鎖を攻撃を誘導して相手に切らせたり即座に時間稼ぎに移行したりと、その都度ベストを尽くしているのがすごく好感触。
あのミネルヴァが正しい判断をしているのに逃げることすら叶わないことで、ラルフレッドのずば抜けた強さが分かる。
命の取り合いの経験という自分ではどうにもできない部分の差のせいで勝てないってだけで、ミネルヴァの格は落ちてないのもいい。

タイマン性能で言えば、意識をそらすという能力は強い部類だと思う。
少なくとも初撃をかわせるのはほぼ確実。
半分遊びで戦ってた感もあるとはいえ、戦い慣れているはずのエスカバも適応に多少時間がかかってたし。

にもかかわらず、ラルフレッドは一発目の時点でスカされながらもカウンターで足枷をかけた。
エンタメではない「命の取り合い」に常に身を置いていたからこその戦闘経験値。
相手の能力が分からない以上、最初に見せた隙が最後のチャンスかもしれない。
攻撃を受けつつも、瞬時に相手を捕らえる判断をできるラルフレッドは正に百戦錬磨。
足枷で引っ張った後のラルフレッドの表情を筆頭に、戦闘中の表情の差で覚悟の差を描き分けているのが林先生らしくて好き。

命の取り合いって感じじゃないミネルヴァ


目がイッちゃってるラルフ


ミネルヴァがあくまで戦いを楽しんでいる反面、ラルフレッドは完全にバーサーカーって感じ。

華火燕焔

名前かっこいいな!
バトル漫画の炎属性って難しいよね。
炎の名を借りた衝撃波的な扱いになりがち。
本来、受け止めたからセーフみたいな話じゃなくてかすめるだけで大火傷だよねっていう。
魔々勇々では、侵入が原則不可、鎖として使ったところは拘束するだけでなく火傷しているってあたりで、ちゃんと炎として扱ってる様子。
そりゃ足首に炎がまとわりついたら動けない以前に熱いよね。

ミネルヴァの過去

それぞれの元いた世界が描写されるのは想像が膨らんで嬉しいなあ。
魔王勇者の役割自体が1000年前に廃れた世界。
世界が無数にあるならどんな世界があってもおかしくない。
・「人」がいなくなった「魔人」だけの世界
・結果「勇者」もいない
・「魔人」の血が濃くなった結果身長が伸びた
・「魔王」は定期的に生まれ、政府が管理
ということで、紋章術は世界で魔王一人しか使えないが、魔王は単に紋章術が使える以外特別な存在ではないってことなのかな。
魔人と人の争いの結果人が滅びて久しい世界で、もはや人は争う対象とかそういう次元じゃないって感じに思える。我々がネアンデルタール人とかに敵意を感じないのと近いか。

血が濃くなるのくだりだけ謎。
魔人と人は初めから交わらないのでは?人が滅びる前と後で血の濃さは変わらないのでは?
と思ったけど、争っててもマママとハロハロみたいに人と魔人が惹かれ合うことはあるのか。

今日も怖い日だったらやだな…

切なすぎる。
二面性を持つ片親の元で健気に育っていたのか。
愛にこだわっていた理由が重すぎる。
重いヒロインの多い漫画だ。
DVされた側の心情として、優しいときの言葉に縛られ続けてしまうというのはありがちらしいもんなあ。
母の真意がどこにあったのかはわからないけど、暴力の合間に時折見せる優しさは子供にとっては愛じゃなくて呪いだよ。

羨ましいよお前らが

結局欲しかったものは得られなかった。
与えられていたのは偶像として戦う姿への期待と賞賛。
ミネルヴァはアイドルのときだけ「愛を感じられる」と以前言っていたが、与えられていたものが欲しかったそれではないことに気付いていたんだろう。

それでも自らは愛を捧げ続ける。
ファンの期待に応えひたすら勝ち続ける。
敵も味方も分からない世界で、足手まといだとしてもコルレオ達を守り指導する。

いつか返ってくることを信じてぼろぼろになるまで無償の愛を捧げる中、コルレオとエリシアの絆を見て本当はどう感じていたんだろう。
無邪気な笑顔の裏に隠していた羨ましいという気持ちが、「分けてくれよ私に」という言葉と共に溢れてしまったと思うと切ない。

からのコルレオ登場!

うおおお!これこれ!
味方の本当のピンチを主人公が何とかするシーンが見たかった!
エリシアを助けたときも熱かったけど、あれは相手がそんなに強くなくて「コルレオにしては頑張った」ってレベル。
今回に関してはここまでで株を上げきったミネルヴァが勝てないと判断した相手に対しての救援。
絵面も申し分なし。
泣いてるのがコルレオらしくて最高だよ。

よかったなあミネルヴァ

自分の想像を越えた良いことがあったとき、喜びより先に驚きがくるんだよな。
信じられないという気持ちの奥に嬉しさが見える最高の表情。
この表情が描ける漫画が打ち切られていいんですか!駄目ですよね!!!

母からもらったのは愛ではなく呪い。
ファンからもらったのも愛ではなく期待。
それでも捧げ続けた無償の愛に、傷だらけで不器用だけど真っ直ぐな愛がやっと返ってきた。
ミネルヴァ良かったなあ。
心の底から良かったなって思ったよ。

ミネルヴァから離れろ…!!ラルフ!!

お前が主人公だ。
お前が主人公だよコルレオ。

この場に駆け付けて助けることができたのはこの世界でコルレオだけ。
炎を単独突破した上でラルフに攻撃を通せるのは今の情報だと本当にコルレオだけだからね。
「コルレオ頑張れ」から「コルレオならなんとかしてくれる」にちゃんとなった。
やっぱり主人公には「コルレオー!早く来てくれー!」って言われたり、「お前に勝てる」って言いきってくれる強さが欲しい。
最高だよ。
助けにきてもらってなお自分のために来てくれたことを信じきれないであろうミネルヴァに「ミネルヴァから離れろ!」ってちゃんと言ったのも最高。
「分けてくれよ」に対し、分けるどころか正面からお前を助けに来たことを伝える熱さがかっこよすぎる。
もう最高。
語彙が足りない。
この後のミネルヴァの情緒がどうなるのか心配で楽しみ。

飛ぶ残撃

そういやそんなことやってたねエヴァン。
木を削って木刀作ってるときは、炎出せて瞬間移動できるんだから遠隔攻撃なんて当然できるよねとしか思ってなかった。
第1話でコルレオが取得する紋章術の伏線を散りばめてたんだなあ。すげえ。
今読み返すと、炎を見せて瞬間移動して木刀作ってって3種類の紋章術使ってるのにストック一つも消費してないの燃費良すぎ。

これまでのコルレオは攻撃手段が結局肉弾戦しかなかったからどうしても絵面が地味だったけど、今後は見た目にもかっこいいバトルが見られそうなのは嬉しい。

まとめ

あー、最高だった。
ここ最近の話へのアンケートが反映される頃にはしっかり順位が上がってるから大丈夫。
打ち切られない確信がある。
この記事を読んでくれるような人達はきっと魔々勇々が好きな人達だと思うので、一緒に楽しんでいきましょう!

過去話感想

第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話 第10話    第11話
◆特別編 魔々勇々の魅力

この記事が参加している募集

#マンガ感想文

20,045件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?