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魔々勇々第23話感想・考察 ついに踏み込む世界の謎。ハロハロの今は?(ジャンプ13号)

この記事で掲載している画像は全て集英社「魔々勇々」(林快彦)から引用しています(掲載誌又はコミックスは画像に付記)。著作権・肖像権等は全て権利所有者に帰属致します。

次話感想はこちら

サブタイトルは「信じて送り出した自慢の息子」
感動のタイトル回収からのギャグで落とす。
サブタイトルの使い方も毎回極まってるなあ。

記事タイトルのとおり、遂に気になっていたコルレオ世界の紋章術の謎に踏み込んだ。嬉しい!
①修行(完了まで)②情報開示③マママ・エリシアの心情描写④モニカ・サディコの心情描写
を無理なく1話に収めてしまう密度。
毎週贅沢すぎる。
考察が捗りすぎるので、世界の謎に関する考察は最後にまとめて行います。
修行+情報開示、それぞれの関係性、考察の3部構成で。

◆修行+情報開示パート

あの、1ページ目の、後ろで腕組むサディコえっちすぎませんかね。
反対側のホクロの見せ方含めて林先生分かってんなあ…

・少なくともあと2つ・・・!

2つはコルレオの能力を引き出す予定と。
第1話で使っていたエヴァンの紋章術のうち、まだ使っていないのは蘇生を除くとエンドへの攻撃に使った圧縮と瞬間移動のみ。
どっちも有用だけど、圧縮はバトル映えするのか?ということ、瞬間移動は便利すぎんか?ってことからこの二つなのかは読めないところ。
単に押し潰すって描写は別として、圧縮をバトル漫画の技として使っているのを一度も見たことないから見てみたくはある。
むしろ林先生のスタイルだとコマ割りまで生かせる圧縮は噛み合うかもしれない。

・故孤零霊

サディコの紋章術名は「幽悠霊令」と予想していたんだけどさすがに当たらなかった。
そして「孤独故に」から始まる術名がサディコに合いすぎててやっぱり本家の方が100倍かっこいい。

魂の模倣(しかも紋章術まで使わせられる)というとんでもない紋章術。
複数の紋章術を使いこなしているに近い。
あまりにも強すぎるサディコ。母なる紋章術はそれでも次元が違うのか?

発動のときの手の形が厨ニ心を刺激する。
2024年週刊少年ジャンプ13号

「霊にまつわる」ということで、魂を使った憑依的な効果は技の一つに過ぎないらしい。
自分が浮いたり他者や物を浮かせたりするのは誰かの魂を利用するってわけではなさそう。
ポルターガイスト=サイコキネシスも使えると理解すればいいのかな。

・勇者オタク

分厚い”歴代勇者”を左ポケットから取り出しているように見えるコマを入れるなwww「ごそ」じゃないでしょ。
「推しのファンブックを常に持ち歩きたい」という強い目的意識が対象物を持ち運び可能なサイズに圧縮した…!
とはならんやろ!そうだとしたらオタクの想い強すぎやろ!
…え?さすがに伏線じゃないよね?

サディコも勇者オタクなのいいなあ。
自分が理想の勇者になれなかったことで、歴代勇者に思いを馳せたりしてたんだろうな。
分かるよ。「勇者」って存在が実在したらそりゃオタクになるでしょ。

・「瓦羅羅愚羅羅」「津々浦々」

あわわわわ!
2024年週刊少年ジャンプ13号

興奮しすぎてあわわわわ!ってなった。
これを見た瞬間のテンションの上がり方を分かってもらえるだろうか。
・コルレオ世界にも過去に紋章術があったはずという考察が当たった喜び
・技名のかっこよさ
・それぞれ「地震」「津波」を想起させるスケールのでかさ
・「設定の粗」ではなく「これから説明される」と信じていたことが報われた感慨深さ(文字数制限のある漫画という媒体でファンタジーを扱う以上、設定の大部分は後から説明せざるを得ない。)

第1話のときに多くの読者が期待した方向の面白さがこの二人の勇者の紋章術にはたっぷり乗っている。
勇者の名に恥じない技のスケール、世界の謎に高まる期待。
これまでの紋章術名の「【々】は一回」とか「基本四文字」とかをあえて外してるのが桁違い感を演出してる。
津々浦々っていう普通の四字熟語なのが逆にかっこいい。
手で触れた対象に効果をのせる演出とか何回使われても燃えてしまう。
俺の中の中学二年生が一向に黙る気配がない。ほっとくと一生喋ってしまう。

「おや おやァ…!?」のソワソワサディコの気持ちめっちゃ分かるよ!

・サディコ

そしてサディコが良キャラすぎる。
「やめるか!?」とか「早めに宣告したまえよ!!」とかの楽しそうなテンションがたまらん。
台詞からも姿勢からもウキウキな様子がビンビンに伝わってくる。
よくもまあキャラガチャでSSRを出し続けられるものだ。

サディコが魅力的かつ強すぎて、最終的にパンネロと対峙してボロボロになった状態でコルレオに助けられるも力を使い果たしていて事切れる…みたいな展開になりそうで怖い。
「力を使い果たしてしまったから脱け殻みたいなものだ」って言って、能力は使えなくなったものの生き残るってラインでお願いします。
満足な顔で死ぬのだけは…それだけは勘弁してください…(存在しない記憶で勝手に窮地に陥っている)

◆それぞれの関係性

修行の合間のたった6ページで掘り下げるキャラの関係性。
一コマ、一台詞を読むのが楽しい。

・エリシアとモニカ

当然のように膝にだっこしたりおんぶしたりあっちこっち走り回ってドキムネしながら何奴って言って電話出てるの尊すぎる。
俺別にかわいい女の子がわいわいやる系の漫画好きじゃなかったのになあ。
魔々勇々のキャラ見てるのは幸せなんだよな。

・マママとエリシア

定期的にマママ成分を投下してくださりありがとうございます!
マママ手紙もらえて良かったね…(コミックス1巻おまけ参照)

コルレオに対しては全然素直になれないくせに、直前で(勘違いとはいえ)罵った相手に「隣で支えてやってくれ」とお願いできるマママはやっぱりコルレオの親だよなって思う。
信じて送り出した自慢の息子なんだよな。
大切だからこそ心配なんだよな。
他人に託すしかできなくてもどかしいよな。

コルレオが守れなかった左手の義手で手紙を持ちながらマママは何を思っただろうか。
何の力も持たなかったコルレオに「守れなかった」後悔をさせたことを思い出しての涙だろうか。
コルレオが守ったエリシアが同じく左手で持つ受話器で受け取るバトンがエモい。
アリアシアを思い出して頷くエリシアに涙腺が…親になってしまうと親子の絆系のエピソードほんと効いてしまう。

そこから脳を破壊されるマママに笑わせてもらった。
信じて送り出した自慢の息子の息子は元気ですってやかましいわ。俺の涙を返せ。

・サディコとモニカ

漫画のキャラの語尾ってつっこんでいいの!?
いや、方言以上に染み付いているっていうか、キャラの服装が変わらないのと同じとかそういうものだと思ってたから…

まあそこはおいておいて、この短い会話もすごく好き。
コルレオ世界を除き、同じ世界の魔勇初めての歩み寄り。
モニカが共生の可能性をコルレオから感じたという話、サディコも当然共感したと思う。
それでも、自分のしてきたことを考えれば簡単に同意することが許されるはずがない。
共生が達成できなかったせいで魔王の命を奪ってきたのだから。
共生が実現できるかもしれない可能性を絶ってきたのは自分なのだから。

口先だけの謝罪が求められているわけでもなく、かといって安易な同意も憚られる、そんなサディコが選んだのが歩み寄りを示す軽口だったのかなと思う。
ずっと器用に立ち回ってきたサディコが見せる不器用さがじんわりくる。
1ページですよ。1ページでこれやってるんですよ。すごくない?

◆考察

考察についてはプロ魔々勇々ブロス達が詳細な考察を繰り広げてくださっているので、あまり風呂敷を広げすぎないように気を付けながら考察していきます。

今回の情報開示で、今まで気になっていた部分について大分考察が深められるようになった。

こんな感じで実は予想してたんだけど、かなりいい線いってるんじゃないだろうか。

今までの描写からすると、紋章術の存在以外、魔王・勇者は通常人と何らの差異がない。
紋章術が存在しないなら、コルレオ世界は手に痣が浮かぶだけの存在を勇者として祭り上げていたことになる。
さすがに不合理である。
単身で軍勢の侵攻に7日耐えるというのも、単に強い人間ができることのレベルを越えている。

だとすれば、紋章術は過去に存在していたことは間違いない。
今にそれが引き継がれていないのは、何らかの特殊な力を使ったとしか考えられない。
それが命を賭したハロハロの紋章術、というのが今回を読む前の考察。
ハロハロが命を賭して共生を実現したという説明があっても、具体的にはどう命を使ったのか全く説明がないのは、紋章術そのもののと共に、ハロハロがそれに関する記憶を奪ったからではないかと考えた。
少なくとも今回の展開はこの考察と矛盾していない。

・ハロハロはどんな状態?

さて、ここまでの考察を前提に、ハロハロが今どういう状態にあるのか考察を進めてみる。
「魂が読み取れない」というサディコの言葉からすると、少なくとも普通に死んでいるというわけではない。
①普通に生きている
②消滅
③魂が取り出せない場所にある

の3つが浮かんだ。

①は却下かな。
生きてるのに姿を隠すのは、更なる悪意と戦うために身を隠す時だと思うんだけど、命を賭すときのハロハロの目的はこの世界の共生であって、更なる裏の目的があるようには見えない。
生きているのにコルレオに紋章が浮かぶのはちゃぶ台返しにもほどがあるし。

②は物語的に盛り上がらないから却下。
ハロハロともうコンタクト取れないのはダメでしょ。
「全世界の記憶消去というとんでもない規模の力を使ったから魂すら残せず消滅」というのはあり得そうだけど。
一応以下で述べるように、却下する根拠はある。

ということで③だと思う。
紋章術とそれに関わる記憶消去の代償として、ハロハロはその効果を維持するために魂だけの存在となって勇者の紋章の中に永遠に留まることを余儀なくされた。というのが自分の予想。

呼び掛ける正体不明の声
魔々勇々コミックス1巻151頁より

だいぶ初期の話だけど、この呼び掛けの主はハロハロなんじゃないかな。
エヴァンの出現によりコルレオ世界に再び紋章術が現れたことで、ハロハロの意識も紋章の中で復活した。
ここも②の消滅が違うという根拠にはなってる。
本当は歴代勇者の魂は連綿と紋章に重なっていくのかなと思っていたんだけど、今回でそれは否定されたように思う。
ポポロポとビピッペの魂はハロハロとは違う扱いだし紋章術も別物だったので、原則各勇者は独立した存在なんだろう。

こうなってくると、コルレオには
①エヴァンの紋章術を引き出す
②ハロハロの紋章術の復活
③コルレオ自身の紋章術の発現
という三種の覚醒が用意されていることになる。

今回の展開で巻きっぽく感じた人もいると思うけど、むしろどこまでも広がる世界の一端を見せてくれたのであり、展開を急いでいるわけではないと思う。
グリシャも単に世界の謎、構造を利用しようとしているだけの中ボスであり、裏にはもっと大きな何かが潜んでいるんじゃないだろうか。

◆まとめ

そしてちゃんと修行を終えたところで23話は終了。
すっげえ面白いな。
伏線って、張ってる瞬間は面白い一方で回収のときにはスケールダウンしたりしがちだけど、少しずつ回収している今の魔々勇々は本当に面白い。
アンケートも入れるし100巻まで出ても全部紙も電子も買うから、どうか林先生の構想を最後まで読ませてください。
今週も最高でした。

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