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魔々勇々第22話感想・考察 「勇者とは」の答えの出し方は(ジャンプ12号)

この記事で掲載している画像は全て2024年週刊少年ジャンプ12号「魔々勇々」(林快彦)から引用しています。著作権・肖像権等は全て権利所有者に帰属致します。

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サブタイトルは「SOWA SOWA」
珍しく、シンプルにそわそわした二人を指すだけのサブタイ…と思ったけど、コルレオの出す答えに期待するサディコもそわそわしていたのかな。
 
先週のサディコのキャラへの予想をいい意味で外してくれた。
「勇者とは何か」という原点に立ち返りつつ王道の熱さを見せてくれた22話。
毎回「成ったな」って言いたくなるくらい、いろんな方向で展開の覚醒を見せてくれて嬉しい!
感想が捗ります。
今回はギャグパートと勇者とは何かパートの二本立てで。

◆ギャグパート

毎回必ず挟まれるから最初に拾うことにした。
面白いだけじゃなくて、コルレオがいなければこの緩い空気を味わえるようにならなかったことが分かっているからこそ後半のエリシアモニカの介入が熱いんだよなあ。

・くっ目のやり場が…

サディコから目を逸らした先にバニーのエリシア。
「本人も割と楽しんでた」は本当と思わせるものがエリシアにはある。
そもそも敵陣で座ってくつろいでたの冷静に考えればおかしい。
あれだけある衣装の中からバニーチョイスしたんか。
コミックスのおまけで衣装選びパートやってくれねえかなあ。
ミネルヴァとのゲリラライブといい、この世界に来て新しい扉を開きながら一番楽しんでいるのは間違いなくエリシア。

・「ポチンくん!?」「チポンなのよ!」「ポンチ君だ!!」

楽しそうだなお前らwww
「ン」で始まるものを除くと「チ〇ポ」以外全部潰してて草。
当たってないからセーフ理論。
いや、世の中には消去法ってものがあってだな…
ところでポンチ君、最初中身入ってるとしたらかわいそうって思ったけどさすがに中身入ってないよね。…ないよね?

・人生ゲーム

遊びたいなら遊びたいって言いなさい

なんなのこのかわいい子達。
「ぷ!雑魚なのよ!」とかほんと楽しそうだな。
怯えていた筈のサディコを前に無邪気に遊ぶモニカで幸せになれる。
機嫌を損なわないで話すためって建前すら貫き通す気がないポンコツ達かわいい。
コルレオ以外ゲームのことしか考えてないじゃないか。
エリシアもサディコに一つくらい質問しなよ。
1回休み何回も踏んでる場合じゃないのよ。
「これやりたい!!」って無邪気さを見せるサディコもいい感じ。
鵺さんを思い出すな。
強キャラは遊び心があってなんぼ。

サディコがジョブ変更マスで引いたカードの答え合わせは最終ページで。
こういうお洒落な演出毎回やってるのすんごいよなあ。楽しませてもらってます。

◆勇者とは何だと思う・・・?

コルレオの強さを看破した上でポンチ君を同じくらいの強さに調整できる時点で、強さの格が違うサディコ。
ここまででコルレオも相当成長したというのに。
そんなサディコでも「勇者とは何か」の答えにはたどり着けなかった。
理想像はあったけれど、分かったのは自分が成り損ねたことだけ。
エヴァンにもサディコにも出せなかった答え。
強さを極めた先には答えが存在しなかった問いに、今回コルレオはどう答えるのか。

・エリシアモニカは手を出すな

ここのサディコかっこええ…
ハッタリとかじゃなくて、やろうと思えばいつでもやれる実力差。
コルレオの答えに本気で期待しているからこそ脅しも本気。
このあたりで「あれ、サディコ変化球じゃない王道キャラ…?」と思い始めた。

・君が強くならなければいい

この点には、絶対にいつか向き合わなければいけなかった。
目的意識が出力に直結する紋章術バトルにおいて、敵との戦闘中に行動原理の根幹を揺らがされたら致命的。
グリシャを止めることだけを目指すなら「お前じゃなくてもいいだろ。むしろお前じゃないほうがいいだろ」というのはそのとおり。
生贄を受け入れることに抵抗がなかった、合理性に寄ったサディコからすれば当然の選択肢。
ここで、サディコは先週感じた雰囲気とは全然違って、主人公が乗り越えるべき壁を提示する正統派師匠キャラだったと確信した。

・その選択肢はずっど気づいてる・・・

この漫画の表情が本当に好き。

腕を切り落とす覚悟を問う刃を顔で受ける。
かわしはしないが弾き返すこともできない葛藤が表情にめっちゃ現れている。
自己犠牲を第一に考えるコルレオが、自分を捨てる選択肢に気づかないわけがない。
それでも、「守る」のが勇者だと考えるコルレオが戦ってこられたのは、その選択肢を封じても実際に守れた命があったから。
他方で、自分のせいで傷ついた人がいたことも事実。
「助けた命だってある!」と自分では言えない善者性はコルレオの強みでもあり弱さでもある。
全てを助けたいからこそ、傷付いてしまった存在から目が逸らせない。
「お前がいなければ」と正面から問われたときに立ち止まってしまうのは仕方がない。
ここだけは、自分以外に肯定してもらわなければいけない。

・あなたの周りに居る者は皆あなたが助けた人達だから

姉妹アタック!

これは本当に熱かったしページをめくったとき予想外で驚いた。
サディコの強さはもう分かっているのに、「手を出すな」という脅しを意に介さず何の迷いもなく介入する仲間二人。
介入したことが答えそのもの。

今まで「これ言ってくれ!」っていう台詞を全部言って仲間を救ってきたコルレオの葛藤に対して、今度は仲間が答えを出す展開が熱すぎる。
こういうのって「主人公が答えを出すために味方が介入を我慢する」ってありがちだと思うしそれはそれで熱いんだけど、今回は助けてもらった側が答えを出すのが最適解だったと思う。

勇者とは何かという問いに、「いつも何かを守ってる」という答えを第1話で既に出しているコルレオ。
では、自分の戦いが守ることにつながらないとしたら?
この迷いに対し、守った結果生まれた仲間がコルレオの代わりに答えを出すという展開が熱いし綺麗すぎる。
守り続けてきたことに間違いはなかった。
守ってきたからこそ仲間に恵まれた。
コルレオの答えとサディコの理想像が重なる名シーンだと思う。

「不幸を数えるな」も本当にそのとおりで、コルレオがグリシャ打倒を目指すことにはポジティブな側面だっていくらでもある。
失敗や後悔を振り返りがちなコルレオに前を向かせるエリシアは正妻の貫禄。

ところでキックしたモニカの足はサイの足かな。
前回感想で「戦いにそれほど役立ちそうもない」とか軽く言っちゃったけど、ゾウなんかに変身できれば普通に強いし幻獣って選択肢まで考えれば将来性抜群だった。
刻印解●(正式名称早く知りたい)によって麒麟とかに変身するモニカ見たいな。

・最強の勇者に出来る!

生贄を捧げられるほどに強くなってしまった世界では、もう仲間と呼べる存在など望むべくもなかったであろうサディコ。
だけどもしかしたら、この世界なら、なり損ねた勇者に成れるかもしれない。
楽しくボードゲームを遊ぶ中で、仲間と成り得る者達の前で引いた勇者カードがそれを暗示する。
でも選んだのはコルレオを新の勇者にするための仲間となること。
転職マスで手に入れた勇者カードを、自分が勇者になるためではなくコルレオを勇者にするために使う。
「魔王打倒」という意味では今までの登場キャラの中で最も勇者としての職責を果たしてきたサディコが「勇者に成り損ねた」と言ってコルレオに自分なりの勇者像を託す展開が熱すぎる。

◆まとめ

本当に面白い漫画だなあ。
勇者を扱っているのにテンプレじゃない。
テンプレじゃないのに王道。
今回で見えたサディコの格は、少年漫画に不可欠な頼りになる師匠キャラとして最高だったし、それでも自分が出せなかった答えを他者に委ねる魔々勇々らしい弱さもちゃんと抱えていて大満足だった。

掲載順については、18話感想のおまけで語ったとおり、このあたりに落ちることがあるのは想定の範囲内。
カラー前後は一気に落ちることが多い傾向からすれば、カラー前に第3カラーより前の順位に上がり、今回も団子集団の真ん中に収まったのだから問題なしだと思います。

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◆1巻レビュー
◆特別編 1巻書影を語る
◆特別編 魔々勇々の魅力
◆特別編 鵺の陰陽師、カグラバチ、魔々勇々の比較

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