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魔々勇々第25話感想・考察 マママの紋章術は?(ジャンプ15号)

この記事で掲載している画像は全て2024年週刊少年ジャンプ15号「魔々勇々」(林快彦)から引用しています。著作権・肖像権等は全て権利所有者に帰属致します。

次話はこちら

※3月15日、考察パートでマママの紋章術について追記しました。

サブタイトルは「超罵り星」
ミネルヴァの反撃にこれ以上なくふさわしいタイトル!

掲載順についてはもうXで呟きました。

夜桜の例もあるので、浮上の可能性を信じてアンケを入れるのみ。
以下ではもう掲載順には一切触れません。
こんなに面白い漫画、内容に集中しないのはもったいない。
毎週考察しがいのある要素がたくさん出てくるので、前半感想、後半考察で。

◆感想

・「あの時と同じだ」

助けに来たけど、自分だけでなんとかするんじゃなくて仲間の力も借りる。
サディコが目指す勇者の姿であり、ミネルヴァの必要とされたい想いに応える形でもある。
コピーすら使いこなし、圧倒的な個の力を備えても、「後は任せろ」ではなく仲間に頼るコルレオはもう完全に勇者。
コピーが使える以上、綺羅綺羅星だって使えるんだろう。
それでも一人で戦うより仲間と戦うほうが強いに決まっている。
「ミネルヴァが必要とされたがっているから」ではなく、仲間の力を信じてそれが最善だと自然と考えることができる心根は、きっとマママの教育の賜物だよなあ。

・「そのでかい口の割には ずっと焦ってるように見えるぜ…」

グリシャ、どんな気持ち?ねえ得意の煽りやり返されて今どんな気持ち?
グリシャの言葉に全くブレず、むしろグリシャを言葉で動揺させているコルレオが本当に頼もしくて気持ちいい。
グリシャの目的意識自体は多分ブレてないけど、気持ちは動揺している。
実はこいつは今までも些細な煽りにすぐに言い返しちゃうくらい煽り耐性がなかったりする。
コルレオに突破されるごとに慌てて違う攻撃を繰り出しては突破されるグリシャが惨めで本当に留飲が下がるぜ。

「芸のねェ奴」っていうのも的確で、グリシャは本当に中身がスカスカなんだよな。
これまでバトル・ロワイアル、林修、逆転裁判etc、色んなパロディをしてきたグリシャだけど、表情すらないグリシャの中身は全く見えないまま。
「次元の覇者」なんていう壮大なように見えて何をするのか分からない存在の何に惹かれているんだ。
お前自身の力ではなく、従えた魔王と勇者の力で統べた世で一体何をしたいんだ。
勇者と魔王の宿命に翻弄され葛藤するキャラクター達の中で、その宿命に縛られず中身のない欲望のまま動くグリシャは明らかに浮いている。
中身が空っぽという意味で、ラスボスとは違うんだと思う。
でも、こいつの存在理由自体にはラスボスというか世界の謎につながるものが隠されていると思う。

ちなみに、「突然小物になった」という意見も見たけど、グリシャは最初から小物ではある。
煽り耐性のない小物のメンタルと人の心を解さない異物感に、得体の知れない強さが加わったことがキャラを引き立ててたのであって、「強さ」という面でコルレオに劣った時点でグリシャはただの空気の読めない小物だ。
ただ、「こいつ誰かマジでぶん殴ってくれ」って思わせる不快感の与え方としては絶妙で、キャラクターとしては好き。嫌いだけど好き。

・「ワシは十分やれただろうか」

やれましたとも!
不器用ながらも一生懸命に育てた子は立派な優しい勇者に育ちました。
謎を提示するパートにもかかわらず、マママとハロハロの関係には少なくとも歪んだものはなかったんだろうなと思わせる描写が好き。
ただ、ここでコルレオの優しさを強調したからこそ終盤のコルレオの覚悟が不穏にも見えてしまう。

・「てめェ●●●が!!!」

超罵ってる

このご時世に中指立てるの一周回って勇者だよ!モニカ耳ふさいで!それが本音であるかどうかって君にとって世界で一番どうでもいい情報だから!

このシーンのいいところは、ミネルヴァに意識を逸らさせてコルレオが攻撃するという戦略を取ること自体は読者でも容易に想像がつくところ。
ミネルヴァの能力と性格、「あの時」というメッセージを読めば、具体的な行動とまではいかなくても、コルレオが何を意図してるかは何となく分かる。

でも、グリシャには分からない。
ミネルヴァが言葉のとおりお淑やかにしているわけがないことが読み取れない。
「任せた」と言いたいのではなく、任されることを求めるミネルヴァの心情に思い至らない。
コルレオに「人の心がないのか!」と言われたグリシャには結局人の心などなかった。
人の心があれば言えない台詞、言えないような行動ができたのは人の心が本当になかったからだった。
それを見透かしたコルレオの戦略だったんじゃないかと思う。
グリシャがこれを見破れるような相手だったら、コルレオはもしかしたらまだ対話を試みていたかもしれない。

・剛豪力々!

ミネルヴァ初登場の、エリシアがエスカバを殴った時のミネルヴァの台詞は「これは私の喧嘩じゃない」
ラルフ戦で救援に駆けつけたコルレオがミネルヴァに言ったのは「この喧嘩は俺が買う」
でも、この喧嘩は全員の喧嘩。

以前パンネロが推理したところによれば、ワープ能力は移動先を事前に設定する必要がある。
ミネルヴァがモニカと合流しているということは、コルレオは予めモニカをワープ先に指定していたことになる。
サディコが鍛え、モニカに支えられたミネルヴァが意識を反らし、エリシアの紋章術で敵を貫く。
一人で局面を打開し続けるコルレオも良かったけど、仲間の力を結集してとどめのパンチを放つのがコルレオの勇者性を反映している。
とにかくグリシャをぶん殴ってほしかったから、気持ちのいいパンチだった。
サディコも気持ちよさそうな顔してるなあ…。

攻撃メンバーにラルフがいないのは寂しいけど、ラルフだけは物語の本体が依然元の世界にあるってことを暗示してるようにも思う。
他のメンバーはもう元の世界に戻る理由がないからね。
ミネルヴァも、もう元の世界でアイドルをやりたいとは思ってないんじゃないだろうか。

◆考察

かなりの量の考察パーツが提示されたので、思うままに考察してみる。

◆”模倣(コピー)”

コルレオがエヴァンからもらった紋章術がコピーなのか、何でも使えるだけなのかってところはファンの間でもよく話題にのぼっていた。
個人的にはコピーではなく何でもできる寄りだったんだけど、解答は「コピーも能力の一つ」というもの。
なるほどこれは母なる紋章。強すぎる。

今回治癒を超えてエンドのものと思われる回復(復元?)で足を復活させていたところを見ると、死屍累々もコピーできることになる。
もはや死屍累々の上位互換では?という気もしてくるが、エヴァンが蘇生を自分の命と引き換えに行っていたことからすれば、出力の差があるんだろう。
死屍累々は完全回復すればほいほい蘇生できそうな雰囲気あるし。

・見えん所に片したんじゃったか

ここがわからん!
思い出に浸るために写真の入ったロケットを見るってレベルじゃない何かを示しているとは思うんだけど、しっくりくるものが思いつかない。
このロケットにハロハロの魂を封印しているんだろうか。
サディコが魂を呼べなかったのはこれで解決するけど、あえてここで見せる意味はなんだろうか。

とか書いている途中に思いついた。
・ハロハロとマママは、協力してこの世界の紋章術とそれに関する記憶を封印した。
①術やら記憶やらを抽出するのはハロハロの紋章術。
②封印はマママの紋章術
・①の効力は大規模だから命賭けだった。それでも効果を長期間維持することはできないので、ハロハロの魂をマママが封印することで効果を永続のものとした。

どうだろう。
ロケットにはハロハロの魂が封印されていて、封印を解くとどうなるかは分からないけど、絶対解かないとハロハロと約束してるんじゃないだろうか。

・【追記】マママの紋章術

マママについては深く考察しているものが見あたらなかったので考えてみる。
考察パーツが少ないので、考察が少ないのはやむを得ないところではある。

①ハロハロとマママが紋章術を使えたこと
②紋章術に関する記憶がコルレオ世界では失われたこと
ここまでは間違いないと思っている。

①については、今思えば、第2話の「ワシは魔王でありながら弱かった」って台詞は、魔王と勇者に普通は特別な力があることを前提にしている。
紋章を「こんなもの」と言ったマママ自身も、この世界の魔王勇者には手に紋章が現れる以上の特別な力ががあると認識しているのだ。
これまでに作中に出た情報からすれば、その特別な力は紋章術以外あり得ない。
②についても、パンネロさんが4話で「聞いた事がないな…」と言っている以上、現状、存在しないという認識が共通なのは明らか。

マママが紋章術について語ろうとしない理由が、他者同様に紋章術の記憶が失われたからなのか、覚えているけど隠しているからのかはわからない。
個人的には、この世界で唯一マママだけは紋章術のことを覚えているけれど、ハロハロとの約束で隠している説を推したい。
マママが紋章術について一切言及するシーンがないのも伏線の一つ。

では、マママの紋章術はどんなものだったか。
ほぼ妄想になるが、制限付きで他者を強化できる能力だったんじゃないかと思う。
そして、その強化は魂を利用して行うもの。
自分は戦えないけど他者なら強化できるというのはマママらしくてなんとなくしっくりくるんだよな。
そしてそれを最大出力で使うと、強化幅もでかい代わりに対象は魂だけの存在となり、肉体が失われる。
上で語った「封印」は、魂だけの存在となった対象にだけ使える付随的な能力。
こう考えると、ここまでの展開が矛盾なく説明できそうな気がする。
正しいかはわからないけど、心を痛めながら仲間の魔人をバフして勇者軍と戦うマママ過去編は見たい。
ハロハロがそのマママを見て中立軍の立ち上げを決意する展開とか熱いよね。

・グリシャとは

結局こいつは何なんだろう。
この世界から浮いていることは感想の方で語ったとおりなんだけど、世界を渡れる別次元の存在の中の異端児なんだろうか。
「世界を渡れる」という能力は持ちつつも他の点ではずば抜けているわけではない存在なのであれば、母なる紋章を利用するという発想に至るのは納得ではある。

今回の「時間がない」というのも、グリシャ自身に圧倒的な力があるわけではなく、何らかの約束に縛られていることを示しているようにも思う。
もしこういう広い世界感なら、グリシャも結局母なる紋章に振り回された一人でしかなく、本当のラスボスはまた別のところにいるということになる。

・コルレオの覚悟とは?

今回最後のコルレオの「覚悟を決める」というのは、相討ちの覚悟程度のものではない。
単なる相討ちなら、その前のページで覚悟を決めている。

この時点で覚悟決まりすぎてる

グリシャを見ているのではなく、母なる紋章の力を使って、魔王と勇者の紋章を全ての世界からなくそうとしてるんじゃないだろうか。
それも、自分の命と引き換えに。
コルレオならできてしまいそうな気がする。
最終頁のエンドのテンションの高まりは、コルレオにエヴァンを重ねてしまうほどに紋章術のレベルが高まっていることの証左であり、目的意識によっては何ができてもおかしくはない。

これによるなんやかんやで(途中経過の考察放棄)、結果として母なる紋章だけが失われる→グリシャ・エヴァン・エンド関係は一応解決→この世界に魔王と勇者を生み出した上位存在が現れる→紋章術がなくなったコルレオが戦えない→マママのロケット解放→コルレオの本来の紋章術解放→新章開幕
みたいなことを考えたんだけど、→の部分の展開説明してみろって言われると厳しい。
ただ、マママを今回出した意味は出てくるかなと。
もちろんグリシャが人質にするためってのが素直な読み方だけど、それ以外の意味も持たせにきてるように思えるんだよなあ。

想像を膨らませようとすればどの方向にでもまだまだ話が広がるので考察のネタを各所に落とすのがうまい漫画だなあとしみじみ思います。

◆まとめ

毎週面白いなあ…。
漫画のバトル描写には、敵を倒すまでの経過でキャラクターの成長とか関係性を織り込んでほしいと考える自分にとって、今回の展開は大満足。
自身も人間性を失ったレベルの迫力で迫りつつも、仲間を信頼することで、これまで苦しめられてきたグリシャの非人間的な部分を突いてぶん殴るコルレオが最高だった。
反面、今回覚悟が決まりすぎてて、優しさを前面に出すあのコルレオに戻ってこられるか不安になりかけたけど、その点は頼りになる仲間たちがいるから大丈夫でしょう!

もはや強さ面ではグリシャとコルレオの格付けは済んだ感があるので、ここからのグリシャの粘りからどんな展開が生み出されるかが気になるところ。
刻印解●も見たいなあ。

最期に紙&電子のアンケート投下結果を貼って終わります。
引き続き楽しみながら応援していきましょう!

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