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目標のマネジメント!真のやりたいことをゴールにする本質を学ぶ〜マネプロ#27

こんにちは! 
DeNAでHRビジネスパートナーをしている坪井(@tsubot0905)です。

マネジメントの進化を探求するnote
『マネプロ』は今回が第27回目です。

このマネプロnoteのシリーズでは、5分で分かりやすく学べるシンプルな構成と、相手とのコミュニケーションで使えるようなシンクロしやすい問いを意識した内容を心がけています。

さて、今回から連載していくマネプロのテーマは
「目標」のマネジメントについて取り扱います。

新年の目標をもう立てている人は今回の記事を参考に見直しを。まだ立てていない人はぜひ立てるときの参考にしてみてはいかがでしょうか?

実は、今回のマネプロで新しい試みをしました。

それは、その道のプロに4つの切り口から
お話を伺った内容を記事にまとめたことです。

今年からはマネジメントの進化の探求を1人でやるのではなく、世の中のプロフェッショナルな方々と対話をしながら、学びと刺激を得ていきます。

今回は目標の本質に迫る対話を目指して
4つの探求ポイントを設定してみました!

この4つの問い / テーマについて対話させていただいたその道のプロは、『チームが自然に生まれ変わる』の著書の一人、李英俊さんです。

李さんのことを紹介すると

外資コンサルティングファームで戦略コンサルタントとしてキャリアを開始し、インキュベーター企業でビジネスプロデューサー兼人材開発責任者を歴任。後に、事業再生コンサルティング企業で取締役を務め、Mindset,incを創業。

人材開発者としての研修・セミナー実績は、自主開催で年間1万人以上を指導し、過去15年間で、1900回以上、3.5万時間以上の実績を誇る。

ミッションに生きる人を増やすこと、ミッションに生きる人のサポート、そのドライビングフォースであることが、李さんのミッション。

こんなプロと対話ができた機会なわけです。
話が盛り上がらないわけがありません(笑)

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では、そろそろ刺激のある内容に進みましょう。

目次はこちら!

<やりたいことは役割の中にはない>

あなたの目標はなんですか?

そう聞かれて本当に自分がやりたいことを
目標にできている人はどのくらいいるでしょう。

人の夢や目標となる「真のやりたいこと(want to)」をやることは、難しいことなのだろうか?

そこで、多くのリーダーやコーチを育成している李さんに、want toを引き出す極意についてストレートに聞いてみたところ

難しいのはみなさんが社会人としての役割を果たしているから。

役割の中に真のwant toはない。

周りの人から「こうしてほしい」というものを一生懸命に応えている。

役割から来る行動はwant to にはなり得ない。

と言うのです。

「マネージャーなんだから…」「期日があるから…」「お給料をもらっている以上やらなきゃな…」といったものは全て同じ。外圧です。

「外圧」によってやることはwant toではない。

力強い李さんのメッセージを受け取りました。

これらはよくよく振り返れば外からの働きかけがあってしていることだと気づけるものの、ふだんは「そうすることが当たり前」になっており、「気づけばいつの間にかそうしてしまっている」ことです。

外からの刺激がなければやらない行動がhave toであり、たとえ外から求められない領域でもやろうとする行動がwant toという学びを対話から得られました。

<権威への反発がwant toのヒント>

無意識の行動パターンは、
発達段階での「権威」とともに作られる。

と李さん。

権威とは、自分の行動を決める際によりどころとなる人のことです。例えばあなたの親や上司は権威になり得ます。権威のある人に「〜するな」「〜しろ」と言われると抵抗するのは難しいと感じるかもしれません。

子供の頃「親が褒めてくれるから」「親が構ってくれるから」「親に叱られるから」という理由で行動を促された人も多いのではないでしょうか。

そういった権威によって作られた無意識の行動パターンから、だんだん自分が本当は何が好きかわからなくなってしまいます。自分にはやりたいことはありません、と言いきる人もいますよね。

そんな方には、李さんから一言

「嘘つくのやめてもらっていいですか?」

痛烈な一言ですね(笑)

周りから同じことばかり言われても続けているものがあるとしたら、それはあなたが抵抗している証拠。

なにか「真にやりたいこと」「大事にしたい価値観」とぶつかっているから反発してるんでしょ?

たしかになと。

want  toでないことをしていたら、無意識的であれ、意識的であれ、人は抵抗や反発をしているものです。

例えば、何回「宿題をやりなさい」と言われてもすぐに手をつけなかったり、「遅刻しないように」と言われても早く着く努力をしなかったり。

思い当たるところはありますよね。

逆を言えば、「誰になんと言われようとしたこと」「誰に反対されても大切にしたいこと」はすでにあり、これまでもずっと貫いてきている反発の中にwant  toがあるということです。

なにも今から急に心からしたいことを見つけ出して「誰になんと言われようとやるぞ!」と決めるわけではないのです。

want toは自分以外の権威の排除がコツ。
真なる欲求は、自分以外に権威性がない。

と李さんは続けて話されていました。

want toの最大の権威は自分自身。
あなたの人生の経営者はあなたであり、
全て自分次第でしょ?というメッセージです。

<真なる欲求をゴールにしよう>

罵倒されようが、無視されようが、一度失敗しようが「もういいや」となることなく続ける行為。それがあなたの真にやりたいことです。

ずっと周りからの「こうしろ」「こうした方がいいぞ」に反発してあなたが守ってきたこと。

それはいったいなんでしょう?

すぐに分からなくても構いません。これかなと思うものを見つけたら、追いかけることにワクワクする目標を立て、チャレンジしてみてください。

李さんにはwant  toの育て方を聞いてみました。

いっぱい成功して、いっぱい失敗して、いっぱい挫折すること。

成果が出ても出なくても、やろうとするかどうかが意志。
逆風になるような強い外的刺激があってもやめないかどうか。
その瞬間に立ち会った時、真のやりたいことが浮き彫りになる。

まず、やりたいことで歩み始める。
その時点で1つの成功を掴んでいるのでしょうね。

逆風にあえば失敗もあるかもしれません。でも、それも自分が決めて歩んだ人生です。違う道を歩んでいたら真のwant toにつながる道をまた探せば良いのだと思います。

これらを踏まえると、自分の目標が外圧によるhave toでないかを見直し、誰からも求められてなかったり周りから止められたとしても続けたくなる欲求から、自分のwant toを探求することが目標のマネジメントには大事なのだと思います。(このマネプロの活動は正にコレです。笑)

<あなたは何屋さんですか?>

やりたいことの方向性が見えたら
次にやるのは目標というゴールの設定です。

よし、新年の抱負がてらドカーンと目標を打ち立てたぞと思ったそこのあなた、ちょっと待った!

仕事でのゴールを立てる前に、自らの「職業機能の定義」をする必要があると李さんは言います。

あなたはどういう価値を提供している何屋さんなのか?

会社・職場の中でどんな地位にいるかではなく、
マーケットに対してどんな機能を果たしているのか?

なぜ「職業機能の定義」が必要なのか。

それは、自分の仕事が何かを自己定義して意義づけできれば、臨場感と意味のあるゴールを設定できるからです。

例えば、私の仕事を例にして見てみましょう。

坪井は「DeNAの人」「HRBPをしている人」
これらは客観的に見えるFactで分かりやすい。
ですが、李さんの質問の答えにはなってません。

私の場合、人事のミッションは「人を通じて事を成す」ことだと考えており、その上で、HRBPという人事の中でもビジネス貢献できる最前線の仕事を通じて「戦略人事の実践」を機能として果たそうとしています。

この自己定義からいえば、DeNAやHRBPでなくても、同じミッションや機能であれば同じような心持ちでwant toに向かえるので、自身の置かれた状況での臨場感と意味のあるゴールが設定できるわけです。

<ゴールは現状の外側におく目標>

さてさて、いよいよゴール設定の話です。
と言いながら、まず例え話から入ります(笑)

自由な働き方がしたいからという理由で「会社を辞めて独立する!」と目標を掲げて実行したと思ったら、結局は業務委託の同じ働き方で自由がない…みたいな人がいたらどう感じますか?

「目標は達成しても目的は達成してないじゃん」
とツッコミたくなったのではないでしょうか。

目的のある目標をゴールとして達成を目指す。
これは目標を考える時の大前提です。

その上で、李さんからは

コーチングにおけるゴールの定義は
「真のやりたいことに基づいた現状の外側に設定された目標」

という考え方の話へ。

「現状の外側って、なんとなく意味はわかるけど、実際どうしたら自分の現状の外側にあるゴールと認識して良いものなのか?」

と私が尋ねてみたところ、
李さんの回答は次の通りでした。

現状の外側のゴールとは、自分の内部モデルを変革しないと成しえない夢。今のステークホルダーに便益がないこと。

現状の外側のゴールを描くために必要なことは、他者評価ではなく自己評価から抽象度を一つ上げること。

アスリートの話でいえば「日本は制覇した。次は世界制覇だ!」と抽象度を一つあげてゴールを描くイメージですね。

ただし、ゴールを描く時に抽象度を1つ上げるということは、目標のリアリティや手触り感がなくなる可能性があります。

そうなるとゴールが想定内の現状のままになったり、妄想になってしまうケースもあるとのこと。

視座・思考・抽象度に向き合えない人は
現状の外側にゴールを描くことができない。

ここで「やる気」ではなく「やれる気」が大事という話も出ました。
書籍では、やれる気を「エフィカシー」という言葉で表現しています。

エフィカシーは、ゴール達成能力の自己評価。ゴールがあることを前提として、成果を出せるという自分自身への評価( 別名「謎の自信」)。
周りからできる!と言われて、やれる気がするのとは違います。

李さんから注意点としてもらったのは

現状の定義をミスらないこと。
「現状」とは、今のままだと十分あり得る未来のこと。

例えば「このやり方で、今のメンバーで、いつもより多く働いて1年間を経てば売り上げ150%達成だ」というのは現状の延長に過ぎません。先程の自由になりたくて独立した人の話も現状の延長です。Want toっぽく見える仮面をつけて自分を誤魔化さないように気をつけましょう。

逃げの一手を現状の外と勘違いしてはいけない。
コトに向き合えていなければ理想的な現状に過ぎない。
理想の現状には変化があっても『進化』はない。

やれる気のエフィカシーによって現状だと出来ないことでもやる!と決めるから、内部モデルの変革が起きて人は進化しようとする。これが現状の外側のゴールに向かっている状態です。「変化をリードするコーチ」を目指す私にとって、クライアントの未来の『進化』に目を向ける視点は心に刺さりました。

<あなたの過去は、あなたの未来を決めない>

最後に。

ここまでの話を聞いて、「私みたいな人には難しすぎる」「今の私には自分を変える自信が持てない」と感じられた方に届けたい話をします。

私が李さんに「過去の自分がやってきたことに自信を持てないと未来に踏み出せない人もいるんじゃないでしょうか?」と質問してみたところ・・

「それは当たっているかもしれないけど」と前置きした上で、語気を強めてこんなことを伝えてくれました。

我々コーチが教えるべきは、あなたの過去はあなたの未来に一切影響を与えないんだというビリーフ(信念)を教えることでしょ?

これには痺れました。

人間の過去は未来に影響を与えない。
大事なのは未来の話しかない。

これまであなたの身に起きたことは、これから起こることに1ミリも関係ないんだというビリーフ(信念)をいかに伝えるか。これがコーチの仕事。

もちろん、過去に意味がないのではありません。

しかし、過去の出来事から生まれた信念によってあなたが現在も、そしてこの先の未来の可能性も閉ざしてしまうことを本物のコーチは許さない、という李さんの話にはエネルギーを感じました。そして「過去は未来を変えない」という言葉は、とっても力強かった。

目標のマネジメントは未来をマネジメントすることであり「進化のマネジメント」とも言えます。

現状の最適化ではなく、変化する未来に対して、進化できるゴールをつくり、歩み出せているか。いま一度立ち返って考えたい。そう感じる対談でした。

<今回のQuestions>

以上が27回目のマネプロでお届けしたかったコンテンツでした!
いかがでしたでしょうか?

ということでマネプロ恒例、最後の問いです。

今回のテーマを通じて、リーダーやマネージャーの方々に問いかけたい4つの質問を選びました。忙しい皆さんの思考の整理と、新たな行動の後押しになれますように!


<次回にむけて>

今回は、『チームが自然に生まれ変わる』の著者、李英俊さんにお話を伺い、目標の本質について探求してきました。

この刺激的だった話をきっかけに「目標」のマネジメントの探求を連載していきたいと思います。

次回のマネプロは「目標の構造」がテーマ。
今後、want toの見つけ方もお伝えする予定です。

次回は2週間後の水曜日。お楽しみに!
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最後まで読んでもらえて嬉しいです。
ありがとうございました!

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@tsubot0905

2022年から「変化をリードするコーチ」として社外のリーダーへのコーチ業も取り組んでいます。HR経験者限定のコーチコミュニティも運営中です。ご興味ある方がいたら連絡くださいね!

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