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伝説のこどもたち

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私の出会った子どもたち、私にいろんなことを教えてくれた子どもたちについて綴っています。
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#就労支援

伝説のこどもたち けんちゃん

伝説のこどもたち けんちゃん


肢体不自由児施設で働きはじめて数年経った頃、

感覚統合療法の講習会後、しばらくして感覚統合療法室を作ってもらいました。

私がデザインした滑り台、運動発達のおくれたこどもたちを介助しながら滑ったり、四つ這いで登らせたりするためのものです。未だに、同じデザインのものを今の職場で使っています。そのほかにも、ブランコ、小豆のプール、バネ付きブランコいろいろなものを自分で作ってこどもたちとあそんでまし

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伝説のこどもたち ゆずひこ

伝説のこどもたち ゆずひこ

いまは、四十歳くらいなのかな?ゆうちゃんが、来始めたのは小学校1年生くらい?細くてよく動く子でした。当時は、「自閉症」という診断名だったかもしれません。典型的な「高機能自閉症」の子どもさんでした。知的に高いので、小学校4年生くらいまでは、通常クラスにいたと思います。それから、中学校まで支援クラスでした。勉強はできるのですが、休み時間に友達とトラブルになったりしていました。先生にもよく怒られていまし

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伝説のこどもたち ちえちゃん 1  就労支援ってなんだろ?

伝説のこどもたち ちえちゃん 1  就労支援ってなんだろ?

ちえちゃん(仮名)のことは、幼児期から知ってますが、選択性場面緘黙の女の子です。彼女は、学習面では問題ないのですが、家族以外の人とは、話すことができません。長いこと付き合っているわたしの質問にも、タブレットを使っての返事がやっとです。

中学までは、支援クラスにいました。そのころから編み物が得意で、注文に応じることができます。たとえば「50センチのワニを作って!」と頼むとほぼこちらの思い通りのもの

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伝説のこどもたち KANA3  KANAちゃんの失敗と支援

伝説のこどもたち KANA3  KANAちゃんの失敗と支援

予告編でもお話したように、KANAちゃんは、ADHDです。いろんな失敗をしますが、一番多いのが忘れ物です。これは、私と張り合います。実は、わたしも忘れ物チャンピオンなのです。財布、スマホ、メガネは、一日中探しています。このことは、こどもたちがわかっていてくれるので、「あそこにあったよ」とか教えてくれます。いや、わたしのことは、どうでもいいのです。

大学を卒業して就職が決まり引越しを手伝いに行きま

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伝説のこどもたち Kくん1 「人は食べてはいけない。」

伝説のこどもたち Kくん1 「人は食べてはいけない。」

Kくんがきたのは、高校3年の時でした。高校を辞めたので就労させたいとのおかあさんの希望とは異なり、Kくんは、別の高校に行きたいと思っていました。

当時はとりあえず、彼に就労というものを意識させようと、まずは、彼を知るためにいろんな話をしてました。

学校の宿題で、新聞を読みなさいと言われていたらしく、いろんなことをよく知っていました。ところが、当時の新聞にたくさん載っていたのは、練炭自殺の記事で

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