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#独身

一人の食事というのは気楽な反面時に虚無感と辛苦を生むがそれでも堪えねばならぬのが人生である。

 牛皿とワンカップが今日の晩酌である。
 一味を山ほどかけた牛皿をワンカップで流し込む喜びといったらない。独り身ならではの悦楽。脳が馬鹿になるようなこの作法、所帯持ちに真似できまい。

 しかし所帯か。本当はあった方がいいだろうが、相手がいなければできぬのが結婚。俺には無縁の話だ。

 一人が嫌いなわけではない。しかし、貧乏くさい電球に照らされる安い一人分の食事と酒を見ると、寂しさが込み上げてくる

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女もなく粗末な食事と安い酒で雑な夜を過ごす他ないという悲しみ

女もなく粗末な食事と安い酒で雑な夜を過ごす他ないという悲しみ

 酷く疲れたが誰もいない部屋で他者の労りなどあるはずもなく金がないから残業であっても自炊しなければならない。

 やる気がない。身体が重い。これはまずい。
 もういいや開けちゃおうと買ってきた安ウィスキーをタンブラーに注ぐ。喉から胃にかけて熱が入り活が湧き上がる。あぁ身体に悪い。しかし飲まねばやってられん。

 フライパンをコンロに置き具材を投入。レシピはない。適当に炒めた肉と野菜はもはや餌。フラ

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