白川津 中々

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白川津 中々

カクヨムで小説書いています。作品紹介の他、なにか書けたら書こうかと思います。https://twitter.com/home

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作品紹介 まとめ

カクヨムに投稿している作品をまとめたページのマガジンです。 読んでください。

    • 1

      毎日が不安だ。 何をやるにしても楽しくない。何か食べても、酒を飲んでも、動画を観ても、漫画を読んでも、ゲームをやっても何も楽しくない。毎日毎日心臓が苦しく、気持ちが沈む。ただ眠りたい。毎日眠りたい。誰とも関わらずにずっと寝ていたい。

      • 水の致死量

        水の致死量は6Lから10Lといわれている。 血中のナトリウムが薄まると昏睡に至り、神経が麻痺して死ぬのだ。 つい先日嫌な事があり、この先到底生きる望みもないと考え水のバカ飲みをやってみる事にした。 開始時刻は13時。10L分の炭酸水(箱で常備している500mlを20本取り出してきた)を用意して飲水開始。500mは簡単にクリアしたが、そこから急にキツくなる。 「飲みたくねぇ」 現れる拒否感。身体が水はもういいと訴えている。たった1Lでこれかぁと挫折しかけるも仕事について

        • ここは酷いインターネッツですね

            一昔に「恋人や友人など不要だね」などと強がってみせていたが、歳と共に孤独が堪えるようになると猛烈に過去の自分に対して怒りが湧いてくるのだった。  今年で五十。仕事は契約社員としてデータ入力。若い時分、パソコン通信時代からPCに触っていたおかげでなんとかデスクワークに就けてはいるが非正規の不安定と賃金の低さは如何ともしがたい。安普請に帰ってきて電気をつけた時の寒さといったら! 半額弁当と六十円のお茶では温まらない。心はずっと冷たいままだ。  空腹を満たすためだけの飯を食

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        作品紹介 まとめ

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          しんどい しんどい

          「みんな~元気してる~!?」  最初に耳を疑い、次に目を疑った。聞こえてくる甲高ボイス。見ればメイド服のツインテール女がサラリーマンに圧し潰されながらコール&レスポンスを強行しているのだ。地下鉄の中で! 「声聞こえないよ~!? 今日はチルッってる感じ~?」  木曜の朝から元気なサラリーマンがいるか。気力も希望も失われる週半ばの8時半。みんな限界のクタクタ。命散る間際の亡者もどき達に元気を求めるな馬鹿。 「じゃあ~ルナの曲でみんなテンション爆膨してもらおっかな~ちなみに

          しんどい しんどい

          すくないけれど、たくさんの、

          息子がハンカチを買ってきた。 何も言わず、「ありがとう」とだけ書かれた付箋がそのまま貼ってあった。リボンも包装もない、いつも行くデパートのワゴンでひときれ幾らで売っているような、何の変哲もないハンカチ。 けれど、それでも、息子にしてみれば、十分に高級なものである。 月額工賃12000円。 それが、就労支援に行っている息子が月にもらえる金額である。 放っておくとお菓子やジュースばかり買うので、毎月五百円だけ渡して後は私が管理している(欲しい物があれば相談して購入の可不可

          すくないけれど、たくさんの、

          アナリティクス

          「その、彼女とできなくなったらさ、別れるか?」 急に居酒屋に呼び出されたと思ったらくだらないお悩み相談。高校生か。 「相互に承知していたうえで契約を結んでいたにも関わらず履行されないのであれば関係見直しの材料になるんじゃないか?」 「そういうんじゃないんだよ僕が求めてるのは」 「だったらどういう返答を求めているのか事前に伝えておくべきだぜ」 長い付き合いだが、こいつは未だに察して欲しいとか行間を読めとか俺に言ってくる馬鹿な奴である。それこそ、いい加減に察しろと言う話

          アナリティクス

          再生

          ドン、ドン、ドン

          創作短編

          ドン、ドン、ドン

          再生

          一転アンチ

          「好きだったコンテンツが有名になるとなんか離れちゃうよね」 「分からんでもない」 「それでアンチになったりするのよ」 「それは分からん」 「分かんないかなぁ……今までずっと好きで俺しか知らなかったのにさぁ。ある日突然皆が"あれいいよねぇ"って言うんだよ。なんだよそれ、お前ら今までくだらねぇもんばっか消費していたくせに今更俺の感性領域に入ってくんじゃねーよ一般人がよぉ……ってなるじゃん?」 「そこまで過激なお気持ちにはなった事がない」 「そうなると、そのコンテンツを

          ドン、ドン、ドン

          ズドン。 駅を降りると爆発音。地響きのようにドン、ドン、ドン。あぁ、そういえば盆か、花火か。どれどれと空を仰ぐ。しかし、見えるのはマンションの外壁。花火は容赦なしにドン、ドン、ドン。これでは高層階のブルジョワしか見物できぬ。やれやれ、Tokyo Cityは金がなければ先祖のお迎えもなならないようだ。孝行も風情も情緒もない夏夜模様。さもしい。こんな夜はコンビニで酒と肴を買って帰る。西京焼きを箸で掘り、安い純米酒で暑さを誤魔化す腹積り。自動ドアからこんばんは。セルフレジでありが

          ドン、ドン、ドン

          遊んじゃいられない

          筆を折った友人宅を訪ねると腹を重くした彼の嫁さんが茶を出してくれた。 最初は小さな西瓜程の膨らみに圧倒されもてなされていたが途中倫理を取り戻し「本当におかまいなく」と述べて部屋に戻ってもらった。そうして茶を飲んでいるとかなり経って友人がやってきたから、俺はまず「妊婦に接客させるな」と口を尖らせたら。しかし、「来る方が悪い」と反撃され返す言葉なく話題を変える。 「何故小説をやめた」 聞くまでもなかった。 友人の言葉は「子供ができちまったからだよ」である。 「望んじゃいな

          遊んじゃいられない

          建前は飲食店

           誕生日を迎え妻から好きなプレイをしていいよという一見すると魅力的な提案を受けたわけだがこれはとどのつまりマンネリ打開策を考えろというお達しであり大変頭を悩ませる事態なのであった。  安直なのは道具の使用だがメンテナンスが面倒だし捨てる際に困りそうなので却下。だいいち俺の小遣いじゃコケシを買うだけで予算オーバー。平均以下の月収で働く身で贅沢はできん。タオルで簡易的な猿ぐつわと目隠しを用意する事はできるが恐らく否決されるだろう。先方は少しでも特殊性が入ると忌避感を出す傾向にある

          建前は飲食店

          横浜のクラゲ

           港から見える水面は赤潮に染まって、褐色だった。 「見て、クラゲが浮いてる」  彼女が指差した方向に目をやると、確かに小さなクラゲがプカリと浮かんでいた。小さく半透明なクラゲが、錆びた海の中でじっとしていた。  このクラゲは普段、自分で餌を探して食べ、生命活動を停止したら海底へ沈み、生物ポンプとなって炭素をくみ上げる役割を果たすのだろう。自然生物の一部として、自身の役割をまっとうするのだ。  俺はクラゲのようにはなれない。社会からはみ出した人間は生涯はみ出したままで、他者

          謎の鳥のコロッケ

           異世界に飛ばされて尚、俺は引きこもっているのだった。  好物の野菜コロッケを鍋で揚げている最中、飲んでいたビールをひっくり返してしまい、そのままビールが鍋に入って引火。火だるまとなり死亡。意味のない人生に飽き飽きしていたところようやくお陀仏かと思った矢先、不可思議な空間にて奇妙な存在に問われた二択。 「汝、罪深き者なり。故に、現世にて苦しみ生きるか、新たなる生を進むか、いずれにて禊ぐ」  偉そうに。何様だこの野郎馬鹿野郎。  という言葉をグッと飲み込み後者を選択。機

          謎の鳥のコロッケ

          全然関係ないんだけども、猫の手も借りたいって言ったら「猫には足しかないじゃないですか」なんて笑われて、ちょ、お前マジかぁ……ってなった話する?

          「ネコ。君はクビだよ」 「そ、そんにゃ~~~~」  大手薬局チェーン、カンニャビスを解雇されそうになっている猫が一匹。名前はネコ。この世界において猫は一匹しか存在しないユニーク個体であるため、生物名が必然固有ネームとなる。 「だ、だってそんにゃ! 忙しいから誰でもいいから手伝ってほしいって……」 「君がいるといらない仕事は増えるうえに儲けがなくなっていくんだよ」 「そ、そんな事ないですって! ちゃんと利益出せてますにゃー!」 「帳簿を見てくれよ。この数字のどこを見

          全然関係ないんだけども、猫の手も借りたいって言ったら「猫には足しかないじゃないですか」なんて笑われて、ちょ、お前マジかぁ……ってなった話する?

          三丁目に沈む夕陽は血の如く、かくも赤く

           三丁目昼食戦争は激戦の様相を呈していた。  事は一年前。バッファロー亭とカウカウ軒の骨肉の争いに端を発する。  両店はいずれも中華飯店であったが、バッファロー亭は炒飯、天津飯、中華丼などの米系商品が、カウカウ軒は餃子、焼売、小籠包などの天津商品が売りであり、それぞれ住み分けができていた。  ところがある日、バッファロー亭が急に天津系商品を推すようになる。何があったと食してみれば仰天。カウカウ軒と瓜二つの味なのであった。  これは勿論偶然ではない。バッファロー亭の主人

          三丁目に沈む夕陽は血の如く、かくも赤く