柏原 雪

深夜ラジオと読書がすきです。文章が好きなです。followとlikeされると喜びます。…

柏原 雪

深夜ラジオと読書がすきです。文章が好きなです。followとlikeされると喜びます。不定期投稿なのでのんびりお待ちいただければ幸いです。

記事一覧

コスモナウト--月--

必死にただ闇雲に空に手を伸ばして あまりにも大きな感情のもとで、彼の魂は 気の遠くなるくらい向こうにある何かを見つめて… 私の目の前からロケットが、雲が、夕陽が静…

柏原 雪
5年前
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真雪アナザー[4]

胸の痛みは気の所為じゃない。 春休みの最終日、真雪は自分に課していた春休み中の説得を守れなかった事実に酷くうろたえた。 どれだけの期間があったことだろう。そして…

柏原 雪
5年前
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真雪アナザー [3]

梅雨の登校路は嫌いだ、肩は濡れるしスカートも濡れる。梅雨の玄関や廊下は嫌いだ、不躾に濡れた廊下や階段は茶色く濡れていて汚らしくそして滑りやすくて危険。梅雨の教室…

柏原 雪
5年前
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真雪アナザー [2]

○登場人物紹介 ・真雪(まゆき) 自称ちょっと憂鬱なセブンティーン、確かにちょっとはそうだが確かにちょっとである。自分で思っているより自己分析が得意で客観視を自然…

柏原 雪
5年前
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真雪アナザー [1]

上野美術大学空間デザイン学科。 高校三年生の春、進路志望調査の紙にそう書き記し提出した。 一年前の高二の春には何と書いて提出しただろう。県内にある適当な国立大学だ…

柏原 雪
5年前
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人気の無い夜の電車、不思議なおっさん達

会社帰りの電車、仕事の疲れもあってうっかり眠ってしまった。 いつもよりやけに人が少ないのもあるだろう。 しばらくして目を覚ます。目の前には二人のおっさん。 おっさ…

柏原 雪
5年前

長野県の山奥の里に伝わる、祭りの儀式の歌

夏休み明け、カワシマは肌の黒さ加減からすると相当夏を満喫したようだ。イガラシも夏を楽しみはしたが、カワシマのような楽しみ方ではなかったため肌はそれほど黒くなって…

柏原 雪
5年前
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コスモナウト--月--

コスモナウト--月--

必死にただ闇雲に空に手を伸ばして
あまりにも大きな感情のもとで、彼の魂は
気の遠くなるくらい向こうにある何かを見つめて…

私の目の前からロケットが、雲が、夕陽が静かに姿を消した
輝く夜空に気付かずに、コツコツと鳴る靴の音、私の音じゃないみたいだ
肘を曲げてポケットに手を入れたまま歩く彼、白線と私より少し左を歩く彼

彼が他の人と違って見える理由が少しだけわかった気がした
そして同時に彼は私を見て

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真雪アナザー[4]

真雪アナザー[4]

胸の痛みは気の所為じゃない。

春休みの最終日、真雪は自分に課していた春休み中の説得を守れなかった事実に酷くうろたえた。
どれだけの期間があったことだろう。そしてすべき事を成した後に増しただろう集中力を、先延ばしにすることでどれだけ失ってきただろう。
全てを分かっていながらもただ一つ、その全てを齎せられる唯一つのことができない自分に底知れぬ過信と浅ましさを感じ悶えた。
私の身体を動かせるのは私だけ

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真雪アナザー [3]

真雪アナザー [3]

梅雨の登校路は嫌いだ、肩は濡れるしスカートも濡れる。梅雨の玄関や廊下は嫌いだ、不躾に濡れた廊下や階段は茶色く濡れていて汚らしくそして滑りやすくて危険。梅雨の教室は嫌いだ、締め切った教室では皆の髪や服から水気が空気に含まれて少しの熱を纏いムワッとした空気は集中力を微かに奪う。梅雨の図書館は嫌いだ、くたびれた本たちから独特の匂いが湿度の高い空気に移り新鮮な空気とはとても言えない。

だけれど真雪は梅雨

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真雪アナザー [2]

真雪アナザー [2]

○登場人物紹介
・真雪(まゆき)
自称ちょっと憂鬱なセブンティーン、確かにちょっとはそうだが確かにちょっとである。自分で思っているより自己分析が得意で客観視を自然に行える、が気付いてやってるわけではないので得意なんだかどっちだか分からないかもしれないがそのバランスが味を出してる(はず)。無意識のバランス能力とタイミングの良い大胆さが役立つのはもう少しあとの話。
・沙衣(さえ)
からかい上手の高木さ

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真雪アナザー [1]

真雪アナザー [1]

上野美術大学空間デザイン学科。
高校三年生の春、進路志望調査の紙にそう書き記し提出した。
一年前の高二の春には何と書いて提出しただろう。県内にある適当な国立大学だった気もするし親や教師そして一年後の自分に見栄を張り、少しの期待も添えて学力より背伸びした偏差値の大学を探して書いたかもしれない。
しかし今となっては取るに足らないことで、記憶を辿ろうとするのを意識的に止め、上野美術大学のホームページを映

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人気の無い夜の電車、不思議なおっさん達

人気の無い夜の電車、不思議なおっさん達

会社帰りの電車、仕事の疲れもあってうっかり眠ってしまった。
いつもよりやけに人が少ないのもあるだろう。
しばらくして目を覚ます。目の前には二人のおっさん。
おっさんたちは何か喋っていた。
でかい声、いやが応にも耳に入る。

「そしたらようお前、何がでてきたってよお、一尺三寸の穴子が飛び出してきたんだよ」

相手のおっさんが少し笑いながらしゃがれた声で返す。

「いやいやいや、穴子って黒澤さんじゃな

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長野県の山奥の里に伝わる、祭りの儀式の歌

長野県の山奥の里に伝わる、祭りの儀式の歌

夏休み明け、カワシマは肌の黒さ加減からすると相当夏を満喫したようだ。イガラシも夏を楽しみはしたが、カワシマのような楽しみ方ではなかったため肌はそれほど黒くなってはいない。

2ヶ月学校に行くことはなくても前期座っていた席に無意識に向かっているイガラシにカワシマは振り向いてニコッと笑った。

イガラシはカワシマに話しかける。
「すっげえ日焼けだな、ハワイにでも行ってきたのか?」
「ハワイかあ、行きた

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