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人手や予算、年齢など、諦めないといけない理由が少しずつ減っている現場からのレポート

デジタル化による生活の変化を、40代後半の私と77歳になろうとする母との経験を通して描きます。

1947年生まれの母は、生き物や幼い子が好きな、どこにでもいる高齢者です。本人が言うには亥年だから、少々頑固です。

2023年の5月から、母に生成AIを教え始め、夏頃から最後のチャンスだと、母のDXに取り組みました。当時76歳の母が、デジタル社会に取り残されたまま、寿命を迎えるのを待つのは許容出来ないからです。

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バーコード決済のPayPayは、ドラッグストアやコンビニやスーパーで、レジでまごまごせずに支払えるから、若い世代をレジで待たせずに済むと喜んでいます。

60代後半で免許を返納し、自転車で買い物をしていましたが、体力の衰えを感じていました。ネットスーパーは、家まで届けてくれます。Amazonや楽天などのECサイトは、高齢者も若者と同じように扱ってくれます。本人が、自分で選んで買い物できるように教えました。

もともと昭和の主婦だったから、スーパーは頭に入っており詳しいです。たから、ネットスーパーは理解しやすかったです。一人暮らしの後期高齢者の女性はそんなに沢山食べられない(子育て世帯と比較して)から、送料無料ラインがお得な楽天西友を母は気に入っています。数社ある中で、本人が選びました。

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情報リテラシーはそれだけではありません。母は週1回更新されるYouTubeチャンネルを楽しみにし、お気に入りのラジオ番組をらじる⭐︎らじるで聴き、iPadのSiriにSpotifyを操作させるようになりました。生成AIとの対話も並行して進めています。確率で間違うことも、理解していますから、クロスチェックします。

後期高齢者になると、友人付き合いが難しくなります。寿命を迎える、介護で施設に入る、自宅で療養するという三つの理由があり、とくに信頼する年上の世代の友人が安静を必要としています。

本を読むことも含めてインプットは多くても、アウトプットのバランスが悪いのです。

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デジタルデバイドは、新しいことに慣れるための前提知識や機会の有無に大きく影響されます。例えば、母の場合、父が作った使いにくいすぐフリーズする家計簿ソフトの経験から、コンピューターに対する第一印象が悪かったです。80年代のマウスがないワークステーションで、父が自分の専門外で作ったものだから、使いにくいだろうと想像はします。母は、大学ノートで家計簿をつけることを確信するほど、トラウマになったようです。

また、年の離れたきょうだい、我が家の下の子が重い病気で療養していたから、隙間時間にメールやSkypeをしたい時に、Windowsのアップデートに悩まされ、パソコンへの苦手意識が深まりました。

しかし、2011年に私がiPad2をプレゼントしたことをきっかけに、少しずつデジタル機器に慣れてくれました。

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ChatGPTの公式アプリに搭載されているWhisperという文字起こしAIを活用し、音声入力で文章を作成する方法を母に教えました。5分程度話して文字に変換し、テキストエディターに貼り付けることを繰り返します。そして、生成AIに「文字起こしデータだから読みにくくて申し訳ないけど、前後の文脈で読んでください。不明点があれば私に確認してください」と指示することで、音声認識の課題である誤変換や誤認識のチェックを効率化できました。

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ドストエフスキーの時代にあった口述筆記が、生成AIの力を借りて誰でも行えるようになりました。これは、高齢者が自分の感情や思いを文章化する力を獲得し、磨き、保つための、文字通りアシスタントです。デジタル化がもたらしたこの変化は、まるで「本来人間にはこういうのが必要だった」と言いたくなるほど、我々親子には不可欠です。おかげで、本人のペースで、noteにエッセイを書き始めました。

ちなみに、母が「息子にこう言われたんだけど」とClaude 3.5 Sonnetに話してみると、「息子さんの意見に賛成です。小さなことから始めてみては……」と言われたと、笑って教えてくれたこともあります。

人である私が責任を持ちますが、生成AIという人とは異なる知性、疲れることのない知性が、私とは異なる角度で母と接してくれることは、とても助かります。それだけ見落としによる不利益を減らせますから。

コンピューターの家庭への普及、インターネットやスマホの普及、そして生成AIの普及という流れの中で、かつては諦めざるを得なかったことが可能になりつつあります。

人手と予算で諦めたことが、諦めなく良くなっている。自分の親のQOL向上だけでなく、他の方々にも共有できるように、福祉や医療の専門家が0から始めずに済むように、探究と知見の共有を進めます。

#デジタルで変わったこと は、デジタルデバイド自体は残っていても、生成AIと人が手分けして支援すれば、問題は問題でなくなることです。デジタルデバイドは共生可能です、工夫さえすれば。


参加したお題企画


参考資料

母の使っているアプリ例


母のnoteの例

(高齢になっても、努力すると成長できると、私は観察しています)

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