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イケメン金持ちで友達多いあいつが自殺した 〜意味無き時代をどう生きるか〜

【注意】センシティブな内容ですが、「自殺」というのは現代における大きな社会問題の一つです。タブー視して議論をせず目を逸らすというのは、同じ人間として無責任であると考えます。誰にでも起こり得る問題だからこそ、しっかりと考え議論することが重要であると考えたため扱うことにしました。

彼は、500メートル四方の土地を持つ大地主の息子で、経済的には何不自由なく育ちました。地元では優等生で、都内の一流私立大学の経済学部に進学します。小さい頃から社交的で、性別、年齢関係なく誰とでも付き合える子でした。大学に入っても、同性にも異性にも人気がありました。

はたから見る限りは、本人の資質も育った環境も、本当に欠けた所のない若者でした。普通に考えたら自殺する理由も持たない人間です。自殺したA君は日記風のノートをつけていました。出会った人間のこと、読んだ本のこと、思ったことが、小さい文字でびっしり書きつけてあります。その5冊のノートには一口で言えば「意味のない世界をどう生きたらいいか」に迷い、苦しんでいました。

藤原和博・宮台真司(2005)「世の中のルール」ちくま文庫


この文章を読んでどう感じるかどうかは
人それぞれだと思います。

ある人は「理解ができない」
ある人は「自分のことのようだ」と感じるでしょう。

良い悪いはなく、
どちらも正解だと思います。

僕は後者でした。

異常なほど感情移入してしまい、
数日とても気が重くなってしまいました。

大学二年生の時にこの問題にひどく悩んだからです。

なぜ意味のない時代に突入したのか

彼は意味のない世界に絶望していました。

ではなぜ意味がない世界という認識を
持ってしまったのでしょう。

原因は主に二つあると筆者は述べます。

①社会構造の変化
②何一つ不自由がなかった

①社会構造の変化

これに関して、
高度経済成長の時代、日本は

天下国家のため、立身出世のため、
世のため人のために生きるというのが標準で
頑張れば頑張るほど物質的に豊かになり、
家族、会社、社会が豊かになる時代でした。

したがって、
「意味」を求める必要などなかったのです。

しかし、近代成熟期では、
これ以上豊かになることはありません。

資本主義の仕組みとしても、
物やサービスがコモディティ化し、
企業間の価格競争が起こっています。

マルクスが予言した通りとなっており、
イノベーションが起こっても、
すぐに模倣され価格競争に陥る流れ、
このサイクルが早まっています。

大義も見失い
これ以上物質的な豊かさを求める必要もない。

こうなってしまうと「意味」を実感することは
難しい世の中になってしまっているということです。


②何一つ不自由なかった

壁や障害にぶつかって悪戦苦闘するのも
生きがいの大きな泉源だと筆者は言います。

容姿や才能に恵まれ、家族や友人の愛情に恵まれ、
家族や金銭に恵まれていた。

良い成績を取るのも、良い大学に入るのも、
友達を作るのも、ナンパをするのも
欲しいものを会うのも、
A君にとては大したことではなかったのです。
藤原和博・宮台真司(2005)「世の中のルール」ちくま文庫

このように、全てが満たされ
不自由がないというのは一見幸福に見えて
幸福ではないということがあります。

意味なき時代をどう生きるか

哲学者ニーチェの「生の歓喜」という概念があります。

「意味が見つからないから
良き生が送れないのではなく、
逆に、良き生を送れていないから
意味に縋ろうとするのだ」ということです。

つまり、良い人生を自分で定義し、
それを楽しみ充実させていれば
意味など求める必要がないということ。


この世に意味などないことを受け入れ、
「今ここ」の充実や楽しさを求める。

意味を求めるのならば
それは宗教がその役割を果たしているので、
宗教に頼るしかないということです。

宗教に頼ることは悪いことだと思いません。

しかし、どうしても歴史の中で
政治的に使われてきたり
自治するために使われてきた事実があります。

それをどう捉えるかは個人の勝手です。

僕は自分の頭で考え、
宗教の一歩手前である哲学を通して
この世を考えたいと思っています。

※宗教を否定しているわけではありません。
人によっては素晴らしいものとなるでしょう。

幸福というのは主観的なものなので、
他人から見て幸福でも
本人にとっては不幸ということも
往々にしてあるということでしょう。

だからこそ自分の価値観、ものさしで
物事を捉えることが重要なのだと考えました。

この世は無意味であり、
「今ここ」を充実させ楽しむしかない。

意味を求めるのなら宗教に頼る。


という結論になります。

僕も今ここの充実を達成していきたいものです。

吉田カオル

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