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【20代女の意見】女子が低容量ピルを使うことは、男性の責任を軽くする?

日本でピル、低容量ピル、経口避妊薬が海外程ほど普及しない理由について、【女性がピルを飲むことは、避妊に対して男性の責任を軽くし、女性だけに負担を強いること】という意見がある、あったらしい。20代女子として考えたことをまとめてみた。

海外では多くの女性がピルを使ってるのに、
日本でなぜ普及しないのか?
遊んでいる女の子と思われるから?
婦人科受診と処方箋が必要だから?
性教育が不十分で知らないから?
副作用が心配だから?

なぜ?という疑問になり
どうしたら一般化される?という議論がされたり
そもそもピルは必要?という話になったり
性の活発化の助長だといわれたり。

日本におけるピルの問題は
一貫した論点にならない印象をうけている。

ただ、私自身は、海外では一般的だから、という理由だけで日本でも!という議論は
少し乱暴に思う。

荻野美穂さんの著書
『女のからだ フェミニズム以後』
のなかに、フェミニズムの歴史の中で日本女性たちが抱いた、
“ピルは使いたいけど、使いたくない”という
ピルへの複雑な思い
が語られていた。

“使いたくない”理由のなかで
一番印象的だった意見は
【女性が一方的にピルを飲むことによって、相手の男性は避妊に無感覚になる。
女だけが飲むことによって、男を避妊の責任から逃れさせる。】

というものだった。

強烈🙄
こんな意見はなかなかに公の場で言いにくいだろう。
でも、ちょっとわかる気もする。
ちょっとわかる気がする理由と、それでもその理由でピルを拒否していいものか、という疑問の2つを、正直にまとめてみたい。

★ちょっとわかる気がする理由。
『ピル 私たちは選ばない』という 1987年の雑誌の項目では、
【ピルは最も相手とのコミュニケーションを欠く方法で、男がなんの煩わしさもなしに、女に一方的に苦労(飲み続けるという苦労)する避妊】
とかかれている。

コミュニケーションを欠く方法、という意見は一度置いておく。
ピルを女性が飲む“煩わしさ(わずらわしさ)”とは具体的に何か。

その“煩わしさ”が、本の中では、なんだかぼんやりと書かれている。

ウーマン・リブ活動をする日本の女性達が実際にピルを使用した体験として
●確かにつらい月経はとまったが、頭痛や吐き気などの副作用が悩ましい
●特に目立つ副作用はなくても、“なんだかいつもの自分と違う感じ”という違和感
●ピルによって排卵には伴わない出血が定期的に起こされ、自分の体がただただ機械のように操作されて出血することがショック
だったという。
これら全部を合わせて、女性がピルを飲む“煩わしさ”だと書かれている。

ぼんやりしているけれど、このぼんやりが、ピルを使ってみた私はなんとなくわかる。
体の外からホルモンを注入され、自然な排卵と関係ない出血をする自分の体。
例は適切ではないかもしれないが、二日酔いの感覚に似ているかもしれない。
アルコールが体に残り、自分の体が自分ではないような、自分でコントロールしているはずなのにできない部分があるもどかしさ。

自分の体を自分でコントロールできていないような、他のもの(ピルの場合ホルモン)に影響されている感覚があることは
女性の自律や権利の主張には、沿わないものだったのかもしれない。
そんな“煩わしさ”も知らないで、女だけが避妊に“苦労”して
男をもっと避妊に、女性の“煩わしさ”に無責任になるんじゃないか、という意見が湧いてきたのかもしれない。

男女平等や、女性の権利向上を叫ぶ人たちにとって
女だけピルを買って飲んで、苦労するのは不公平😠
男は避妊に対してなにもしなくてもいい、なんて許さない😠
男性も避妊に責任を持て😠
という“どこかやり場のない怒り”が、
この“煩わしさ”を助長するのかもしれない。

ただ、女だけ苦労して不公平だ!という主張を
私はちょっと納得する一方、

★その理由でピルを拒否していいものか、という疑問
も抱く。

本の中のある文章がストンと胸に落ちた。
1973年に発行されたリブニュースの第5号に掲載されていたという
【ピルはあくまで女が生き方を余裕をもって選択しようとするときに役立つホルモン剤であって、それ以上でもそれ以下でもないという認識がまずもって大切だ。あなたあってのピルだということ。ピルは飲んでも飲まれるな。】
というものだ。

ホルモン剤であって、それ以上でもそれ以下でもない。
それを使うか使わないかもあなた次第、それをパートナーや周りの人に伝えるかもあなた次第、
男を無責任にするから嫌だ、と思うのも
自分の体が不自然にコントロールされる感覚があるから嫌だ、と思うのも。
女性の権利や男女不平等や、フェミニズムの問題とつなげるのも。
あなた次第、あなたの選択次第だということ。

ピルこそ、女自身の産む・産まないの選択権を保障する女性にとっての最上の方法、と全員にごり押しはできないけれど
しかし選択肢の一つとしては残しておいてよいはずだと、確かに思う。

ここで、海外と比べて日本でピルが普及しない問題に、改めて戻る。
ピルを使うも使わないもあなた次第、どんな意見をもつのもあなた次第、の前提に
そもそもピルとは何か、を知っていないと意味がない。
そしていろいろ自分が考えをもつのなら、それをふまえて自分で選び取るもの、という感覚がないと、たぶん意味がない。

知識をもって、自分の意見をまとめ、選び取る感覚、それこそが
もともとフェミニズムとか、女性の権利とか、自律とか
考える上で大切なんじゃないだろうか。

【女性がピルを飲むことは、避妊に対して男性の責任を軽くし、女性だけに負担を強いること】という意見は面白いけれど、強烈。
でも、何故そう感じるのか、それならどうしたらいいのか、に進んでいかないと
ヒステリックな女性が、悲痛な顔で、訴えかけているだけにきこえてしまうのかも、と思う。

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