喉元過ぎたトイペとマスク
また数日眠れない日が続いた。最長に眠れなかった日はある人の命日であった。きっと未だにこの人を想って胸を痛めて夜を過ごしている人がいるのだろう。なんてことを言い出したら一年中、誰かの命日だし、誰かの誕生日なのである。桜の木の下どころではなく地面はすべて死の堆積である。過剰に死を美化したり特別視したりするのはどうだろうかと思うがそんな人間の過剰さが死んだ瞬間になくなることが理解できなくてだからいつもこわい。幽霊が死んだことを自覚できなくて成仏できないのは考えること感じることをやめ