狼ヶ森 爽籟

改めまして、ウルフから狼ヶ森 爽籟(おいがもり そうらい)と名前を改めました。 個人的…

狼ヶ森 爽籟

改めまして、ウルフから狼ヶ森 爽籟(おいがもり そうらい)と名前を改めました。 個人的趣味で怪談や奇妙な出来事、ときどき特撮のことなどを書いています。文章下手で、まだまだですが頑張っていきますのでよろしくお願いします!

最近の記事

朱色の子守唄③

十数年前 私は、タロという。ご主人の子供がいつも私をそう呼んでいたから、それが名前なのだろう。今日は私を連れてハイキングとやらに行くそうだ。久々に外の世界を堪能できる。心が躍った。しかし...私に突きつけられたのは地獄だった。何度も吠えた。だが、ご主人たちは私を車に残して行ってしまった。暑い!暑すぎる!死んでしまう!誰か私をここから出してくれ!死んでしまうよ!!嫌だ!死にたくない!子供よ助けてくれ!!嫌だ!嫌だ!嫌だ!... 次に目を覚ました私は憎悪に塗れていた。憎い。この

    • 風の音

      子供の頃から好きな人がいた。 その人とは幼稚園と中学が一緒だった。素朴な子で優しい人でした。中学を卒業しても縁は多少あって、メールとか電話のやり取りをしていた。正直に付き合って、結婚までしたかった。けど、それは叶わぬ夢だった。結局、ある人から 「そんな女のために時間使うなんて、人生の無駄よ」 その言葉はとても重かった。それが刺さってしまって何も言わずに彼女の元を離れた。 それから数年して、東日本大震災が起きた。その日は有給で山の頂上にいたおかげか?僕は無傷で助かった。何時

          登山道の怪

          親友Tと奥多摩のある山を登っていた時の話。 その年は七月だというのに今ほど暑くもなく、その日の天気は曇と霧雨という事でどちらかと言うと涼しい陽気だった。霧雨は登っている最中に降り出したことから中止にするほどでもなかった。 僅か700m前後の登山。僕とTは出会って20年記念と言う事での旅行であった。やはり山はいいなと僕らは話しながら歩いていた。野生動物の足跡を発見したり、次はどこへ行こうとかいろいろ話し合っていた時だった。そのとき僕らは、登山道沿いの開けた広場の様な所で水分補給

          登山道の怪

          追う男

          中学時代の元担任F先生から聞いた話。 先生が北海道から上京して2年が経ったある日のこと。カズキさんという親友の女性が、イズミさんという後輩の相談に乗っていると聞いた。そんなカズキさんから先生も相談を受けた。 「後輩のイズミって子が変な相談をしてきてさ...。なんかどうも心霊系みたいなんだよね」 先生も、なんでそんな話をするのよ...と思ったが話を聞くことにした。 イズミさんという子は大学のある土地の地元の学生だったそうだ。彼女に異変が起こったのは中学生の頃。手足に紫色の字

          朱の盆

          前の会社の同僚Oの話。 今から13年前、故郷の新潟から東京へ上京するため彼は一人で新幹線に乗っていた。東京では上手くやっていけるだろうか...?そんな心配をしながらボーっと景色を眺めていると新幹線が突然停車した。アナウンスによると線路内に何者かが立ち入ったようであると言う。所謂、鉄ちゃんか何かが撮影のために入り込んだんだろうとOは思っていた。 しばらく寝ていたOが目を覚ますと、まだ新幹線は動いていないようであった。携帯の時計を見るとまだ10、15分くらいしか経っていなかった。

          影男

          同級生のN君の話。 N君っていう同級生がいる。彼には歳の離れた妹さんがいて、そんな妹さんと家路を歩いていた時だったと言う。 「背後から声が聞こえたんだ...」 最初は幻聴かと思ったが、また突然背後から 「おいってば」 そこは国道から一本入った住宅街で、時間は冬の夕暮れ、人も自分たち以外には見えなかったという。N君と妹さんは気味が悪くなって早歩きになった。すると誰かが後ろからついてくる気配を感じた。N君は妹さんを抱き寄せて、後ろを振り返った。しかし誰もいない。夕闇だけが

          足柄のツチノコ

          ツチノコを見た事があるだろうか? これは祖母の話で太平洋戦争が始まる少し前のことだったそうだ。力松さんが結婚を機に足柄の山の中から小田原の風祭のほうへ出てくることになった。なにぶん今まで両親と住んでいたところは、鹿、猪、猿、熊、野犬などなどの野生動物、町では見慣れないデカさの虫たちが当たり前に現れるような場所であった。祖母...美代は赤マントの一件以来、よく行くようになったがいかんせん、そう言った動物や虫たちには慣れることはなかったと美代は笑っていた。 そんなある日、力松さん

          足柄のツチノコ

          狼奇談・狼谷戸

          よく見知らぬ土地が気になって、降りたことのない駅で降りて町を散策する事がよくある僕です。 ウルフも歩けば狼に当たる的なエピソードです。その日は京王永山が気になり降りてみました。ちょうど今ぐらいの時期でその日は生憎の雨でした。きっとこのあたりは開発されるまでは山の中だったんだろうな...そんなことを思いながら町の情景を眺めながら2、30分くらい歩いていると小さな小道で急に風景が変わり始めました。弱りましたね...そんな風に思ってGoogle先生に助けてもらおうかとマップを開くと

          狼奇談・狼谷戸

          人柱-鬼-

          人柱をしていた一族の話。 山奥の神社で働くKさんについて、あるお屋敷に行ったときのこと。代々栄えてきたという屋敷になんでKさんは一年に一度拝みにくるのか。理由は直ぐに分かった。 家の隅に山に面する部分がある。そこは所謂、座敷牢というやつだった。今でこそ使われていないが暗く、重く、媚びりついた何かを感じざる得なかった。部屋の真ん中に柱が立っていた。縄の痕や、おそらく折檻された痕なんだろう。触ったら泣き声や死にたくないという子供の声が聞こえてきた...。 Kさんは涙を堪えて拝んで

          怪猫ババのデスドライブ

          甥っ子2号とその飼い猫ババの話。 その日も2号はババの部屋へ呼ばれ穴から上半身のみを入れて下半身は廊下に突き出ていたそうだ。なぜかズボンがずり落ちてお尻が露わになっていたのだと言う。まったく何たる無様な格好なのか...。そして当のババは部屋でソファーに座りながらネズミのジャーキーを頬張っていた。テレビからはとあるカーアクションものの映画が流れていたと言う。 「ババちゃん、それ美味しいの?」 そういう2号の問いにババは 「美味いぜ?食うか?まあ人間が食ったらやられちまうけ

          怪猫ババのデスドライブ

          パチクリさん

          パチクリさんの家... そう呼ばれている空き家が地元にあった。最初にこれを話して来たのはOという同級生だった。なんでも、この空き家にはパチクリさんという謎の人物が住んでいると言う。彼は知的障害を患っている男性で片方の目が潰れ、残った片方の目は大きく見開かれているのだと言う。なんでも気に入った人間を見つけると執拗に尾行し、人気のない所を見計らって拉致して家に連れ帰って片方の目玉をくり抜くと言う怪異だそうだ。 とにかくOはこの怪談が好きだ。なぜなのか尋ねてみると実際に夜中、その家

          パチクリさん

          バルコニー

          ミホさんという知り合いの女性から聞いた話。 彼女は数年前まで妻子ある人と不倫をしていたという。 「別れる一年くらい前かな。前に住んでたマンションのバルコニーで全裸の小学生くらいの女の子が見えて...」 まさかお隣の子供か?と思ったが、どうやら違うようだ。両隣とも子供は既に成人の男性だと聞いたそうである。そして目撃した日から度々、彼女は全裸の女児をバルコニーで見るようになった。一度声をかけようとして近寄ったときにふと消えてしまったので直ぐに幽霊なのでは...?と思ったという

          朧車

          刑事をしていた先生の話。 先生は、警察学校の指導教官として勤務後に退官された。僕とは今から28年前に知り合った。というのも先生が休みの日に指導に来ていた柔道場での出会いだ。そんな先生が刑事として勤務していた時の話を聞いた。 ある日の夕暮れ、一人の少女が白い車に轢き逃げされた。目撃者は大勢いたおかげで直ぐに少女は救急車や蘇生措置を施された。しかし残念なことにその日の未明に息を引き取った。目撃者の多くは、運転者の対応に憤っていた人たちが多かった。悪びれもせず、車から顔だけ出すと「

          朱色の子守唄②

          心臓の弱い方、お一人で読まれる方は、ご遠慮下さい...。 子供の頃、いつも酷い目に遭っていた。意味もなくイジメを受け、いつも一人だった。両親も学校も取り合ってすらくれなかった。生まれつき霊感みたいなものがあって、それがイジメの原因だった。別に持ちたくて持ったわけではない。こんな理不尽が世の中に転がっている。よく死んだばあさんが 「お前は狼に選ばれた子なんだよ」 そう言っていたが、狼ってなんだよ。そいつが守ってくれたっていうのかよ。なまじ変な感が働いたり霊現象が起きるせい

          朱色の子守唄②