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人柱-鬼-

人柱をしていた一族の話。
山奥の神社で働くKさんについて、あるお屋敷に行ったときのこと。代々栄えてきたという屋敷になんでKさんは一年に一度拝みにくるのか。理由は直ぐに分かった。
家の隅に山に面する部分がある。そこは所謂、座敷牢というやつだった。今でこそ使われていないが暗く、重く、媚びりついた何かを感じざる得なかった。部屋の真ん中に柱が立っていた。縄の痕や、おそらく折檻された痕なんだろう。触ったら泣き声や死にたくないという子供の声が聞こえてきた...。
Kさんは涙を堪えて拝んでた。家の連中は何事もなかったようにただの作業として目を瞑って拝んでいる。俺は気が狂いそうだった。年端もいかない子供たちがここで...それだけ考えたら反吐が出そうだった。
全てが終わって帰る途中、Kさんはずっと無言だった。家の連中はニコニコな笑顔で見送ってきた。思わず言葉が漏れた。

「あいつら鬼か...」

Kさんがシッ!と強い口調で俺を諌めた。あの時ほど嫌な怪異体験はなかった。

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