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影男
同級生のN君の話。
N君っていう同級生がいる。彼には歳の離れた妹さんがいて、そんな妹さんと家路を歩いていた時だったと言う。
「背後から声が聞こえたんだ...」
最初は幻聴かと思ったが、また突然背後から
「おいってば」
そこは国道から一本入った住宅街で、時間は冬の夕暮れ、人も自分たち以外には見えなかったという。N君と妹さんは気味が悪くなって早歩きになった。すると誰かが後ろからついてくる気配を感じた。N君は妹さんを抱き寄せて、後ろを振り返った。しかし誰もいない。夕闇だけがそこにあった。すると妹さんがポカンと口を開けて何かを見つめていた。わずかな夕陽に照らされた道路だったという。N君は目を凝らしてよく見てみると影が見えた。誰かいるのかと思ったが誰もいない。影だけがあった。N君は妹を抱っこして走って自宅のあるマンションへ戻った。
その後は何事もなく、あれは何だったんだろう?くらいにしか思わなかった。そう思ったとき家の電話が鳴り、近くにいたN君が電話を取った。
「もしもし、Nですがどちら様ですか?」
相手は無言を貫いている。N君はイタズラ電話だと思い受話器を戻そうとした。そのとき
「うへへへへへへへへへへへ!!」
気味の悪い男の低い笑い声が受話器の向こうから響いた。N君は思わずゾッとしてその場に凍りついてしまった。そして電話の主は最後に
「俺は、影男さ」
そう言って電話が切れた。
その後、N君には何もなかったが妹さんが小学校で転んで大怪我をする事があった。N君が保健室に様子を見に行くと妹とその友達がおり、彼に影が妹さんの足を掴んだと言われたと言う。それ以来、N君は影が自分のを含めて怖いのだと言う。だから、あまり地面は見ない事にしているそうだ。
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