ひとり親の貧困「君たちにサンタは来ない」(朝田 寅)
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ひとり親の貧困「君たちにサンタは来ない」(朝田 寅)

シングルファザーなんて言葉が定着したのは、つい最近。ほんの数年前までは、その生活を理解する人はいないに等しかった

だから、相談しようにも、相談先も、対応できる職員もいなかった。どこに行っても冷たく退かされた父子家庭の生活は、想像をはるかに超える

この時代にテレビがない?寒さ厳しい真冬の北関東、小さな兄弟がシャワーだけ?月八万円足らずで父子三人の生活?

これが、実話にもとづくライフヒストリー、生きる意味を問う。 最初に『君たちにサンタは来ない』(朝田 寅介 ヨシモトブックス)の広告を見たのは、

去年の夏、FACEBOOKの記事だった「何て切ないタイトルだろう」と、心にキリキリ響いたのは、私も同じような境遇だったからかもしれない

昨日、仕事の参考資料の中に、この本を見つけた。あれから一年、私も明日生きるために精いっぱいで、さっき考えていたことも忘れてしまうような

慌しい毎日を過ごしていた。だから、すぐに買いに行くはずだった本の記憶も飛んでしまって、結局読んでいなかった本だ

今回は、抱えて持ち帰り一日時間をかけてゆっくり読んだ。ページをめぐるたびに、心の中で次ページでは良いことが起こりますようにと祈りながら…

生きるか死ぬか、明日を迎えられるのか?父子家庭など理解を得れなかった頃、たった独りで二人の息子を育てるということが、どんなに大変なことか

家族の裏切り、続けられぬ仕事、極貧の暮らし、子どもの成長、終わりのない不安、追い打ちをかける不運…

ハッピーエンドで終わるドラマとは確実に異なる。壮絶な「愛と贖罪」の日々を父親が記憶をたどり綴る

できることなら、本の中に飛び込み、幼い兄弟を抱きしめたいと思った。懸命にいきる父子の日常が苦しい… 

これは、データではわからない貧困の現実、明るい笑顔の裏側。日本は相対的貧困だと言われているが…

それは、食べるものに困るような貧困ではなく、その国の文化水準、生活水準と比較して困窮した状態をいう

それに対して、絶対的貧困は人間として最低限の生存を維持することが困難な状態を指す

 【日本の相対的貧困率】                       日本の相対的貧困率は、6~7人に一人 

子どもの相対的貧困率は、7~8人に一人

 ひとり親家族の相対的貧困率は、2世帯に1世帯 

 しかし、見えてないだけで、絶対的貧困家庭が増えていると思えてならない。この親子も、暖も取れず、おなかいっぱい食べられず、父親は食事さえ我慢し…

テレビもない、小学生の兄が弟の世話に学校を休む 、日本国憲法で保障された健康で文化的な最低限度の生活すらも危うい、

極貧にあえぐ環境に我慢の限界を超えたと、著者は無気力になっていく…しかも、その無気力さえも許されず働かなければならない

鬱さえも自力で治していく、なんて残酷なことだろうか!比較にはならないが、私もひとり親の一人として、同じく明日を迎えるため鬱にもなれない、

なっていたとしても認めることさえできない、ひき篭ることさえできない。だから、歩みを止められない苦しみには痛く共感した

いまは、たとえ、スマホやゲーム機、自転車やみんなと同じ文房具をもっていたとしても、必ずしもその子の家庭の生活が、自分と同じとは限らない

誰しもいろんな事情を抱えているから…もちろん、それが何かを突きとめる必要はないが、自分本位になり他人に無関心にならないことと想像力が必要だ

笑顔の裏に、明日の生活も保障されない不安を抱えている家庭もあることを知ってほしい。そんなことをこの本を読んで改めて感じた

同じひとり親として生きる私の願いでもある

ヒトリダマリノミチナガイ。フタリハナシノミチミジカイ。(安野光雅『絵のある自伝』)

 石油ストーブの灯油を買いに、40分かけて歩いた車道、寂しさ、悔しさ、孤独感… きっと著者も誰かとハナシをしたかったことだろう… 

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ラグジュアリー業界で約20年はたらき、女性の生きづらさに疑問を持ち42歳で大学院へ。女性の心理や生きづらさを紐解く研究をした。根拠のない常識の呪縛に気づき、「知らないことは怖いこと、これまでの常識は非常識?」を自分なりのテーマとして女性の生きづらさの原因を考えながら過ごしている。