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【連続強盗事件】「週刊朝日」や「サンデー毎日」の「東大合格者名簿」が悪用されていないか心配

「ルフィ」が登場する連続強盗事件のニュースを見ていると、高額納税者や高級車購買者の名簿が密かに売買され、強盗団はそれらを使って標的を決めるのだという。

テレビで専門家が、個人情報を決して漏らさないよう注意喚起していた。一度漏れたら、デジタル化され、二度と消えなくなる。


それで不安になったのは、「週刊朝日」や「サンデー毎日」がやっていた「東大合格者全氏名」のような名簿だ。


「週刊朝日へのレクイエム」でも書いたが、そうした新聞社系の週刊誌は、2000年ごろまで、「東大合格者全氏名」号を売り物にしていた。東大が発表する氏名から、週刊誌の編集部が出身高校を割り出して、その高校名とともに氏名を載せる。

個人情報がうるさくなり、東大が氏名公表をやめたので、「週刊朝日」などもそれができなくなったが、それはせいぜい20年前くらいの話だ。当時名前が載った人たちは、まだ現役であろう。

東大合格者なら、高い確率で高額所得者だと推測できる。そもそも、東大合格者を出す家庭は高額所得である確率が高い。

載っているのは、たしか出身高校と名前だけだが、当時の電話帳や、進学校の名簿などを組み合わせれば、住所まで割り出せるかもしれない(実際、そうした資料から、新聞社系週刊誌は合格者の氏名を特定していったのだろう)。そういう名簿を高額商品のセールスマンが利用しているという話を当時聞いた。


小説「1989年のアウトポスト」でも書いたが、こうした実名の名簿づくりは、新聞社系の得意分野だった。組織力が活かせるし、実名報道はジャーナリズムの本道とされた。

東大以外でも、京大などの国立大、有名私大の合格者名も載っていたかもしれない。そうした「名簿」を全国で堂々と、何十万部と売っていた。

背後にあるのは、エリート度の高い名簿ほどニュース価値がある、という思想だから、どうしても「高額所得者名簿」のニーズと合致してしまう。


当時、そういう週刊誌に名前が載るのは、本人や家族にとって名誉なことだったろう。判明率100パーセントとかうたっていたから、本人や家族が掲載拒否する例はほとんどなかったのだと思う。

新聞社系週刊誌も、もちろん強盗団や詐欺団のために仕事をしたわけではない。個人情報についての認識が、今と違ったのである。

しかし、こんなニュースが流れると、載せた方も、載せられた方も、今になってゾッとしているのではないか。



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